『東京2020オリンピック』開会式での白い衣装に身を包んだ「追悼のパフォーマンス」が話題を呼ぶなど、近年は俳優だけでなくダンサーとしての呼び声も高い森山未來。地元・神戸のホームスタジオ「モダンミリイ」で5歳のときにダンスに出逢ってから現在に至るまで、足が赴くままに国内外に出向いてパフォーマンスを続けており、森山はそんな自身の姿を「放浪者」と表現する。

取材・文/Lmaga.jp編集部 写真/Chisako

2022年になり、森山が新たに取り組むのは「コンテンポラリーダンス(現代舞踊)」作品の振付。芸術団体「DANCE BOX」の育成プログラムにて、プロのダンサー・振付家を目指し全国各地から神戸に集まってきた6人に『Re:Incarnation in Nagata(リ:インカネーションインナガタ)』という作品を振付することとなった。

◾️初めての振付に、森山「これがコレオグラファー(振付家)か〜!」

──森山さんが今回「DANCE BOX」に携わるきっかけはなんだったんですか?

11年前に矢﨑悠悟さん(旧性:ヤザキタケシ)というダンサー・振付家の方にお声がけいただき、作品に出演したことがきっかけでしたね。全国的に見てもここまでコンテンポラリーダンスに注力している芸術団体は珍しいので、ぜひもう一度お仕事させていただきたいと思っていました。

──森山さんが振付を手がける作品はこれまで無かったと思うのですが、 リハーサル中「これがコレオグラファー(振付家)か〜!」と叫んでおられるのを拝見しました(笑)。

そうでしたね(笑)。 以前に知り合いのダンサーに振り付けたことはあったんですが、初めましてのダンサーたち、しかも集団に振り付けるのは初めてなんです。

──新たな気付きや初めて得た感覚などはありましたか?

自分で踊る作品を考えるときはさまざまな方法で構築しながらも、最終的には直感的に創り上げていくので、今回はその1つひとつのパートがどう出来上がっていくかをしっかりと言語化してダンサーに伝える必要がありました。

──今回はそんなダンサーたちと街を歩いて「フィールドワーク」から作品作りをスタートさせたんだとか。神戸の「長田」という地をテーマにしたダンス作品というのもまた面白いですね。

はい。今回上演する『Re:Incarnation』は、僕が2020年に京都の「清水寺」で踊らせていただいた、その地に昔から暮らしていた人々や自然がテーマの作品でした。今回はそんな作品の舞台を神戸・長田に移し、まずは自分たちで歩いて川の源流を探したり、長田の地形を知ったりといったところからスタートさせました。

──長田といえば下町というイメージで、商店街や長田神社といったシンボル的なものが頭に思い浮かびます。そんななか長田の自然に着目したのは、神戸・長田出身の私(記者)からしても斬新です。

え、長田出身なんですか!なんという偶然!(笑)こうして作品を上演することで、地元の人々にも「この場所にはそんな意味があったんやー」って、改めて地元を再確認してもらったり新たな視点から見てもらうことに繋がればいいなと。

──ダンス作品を通して、その地域で新たな発見ができるって素敵ですね。どういった作品になるのか楽しみです。

まだまだ創作段階ではありますが、僕も楽しみです!

◾️今後は神戸で「仲間を増やしていきたい」

──2021年9月に神戸に事務所を設立されたと伺いました。どういった心境の変化からまた神戸に?

まあ地元ということもありますが、神戸が持つ多種多様な地域柄が改めて自分の性に合うなと思って。神戸は今も昔も港町として栄えているので、新たなものを取り込んだり、異国の人々や文化を受け入れる素地がそもそも備わっている。昔、神戸の北野に住んでたこともあって。そのとき僕はインド人が経営するマンションに住んでいて、少し歩けば近くに住んでいる外国人の友人にフラッと会えたりする。そんな神戸らしさみたいなとこが好きでしたね。

──「森山未來が神戸に帰ってきた!」まさにそんな感じですね。

ほんとうに!?(笑)いや〜でもなにか神戸でまた面白いことができたらいいなって思っています。神戸にもなにかを生み出せるポテンシャルはもちろんあると思っているので。まずは仲間を増やしていきたいですね。 賛同して一緒に何かを創っていく、そんな仲間が欲しいです。

──森山さんが日本のダンスシーンを盛り上げてくださることに期待しています!

日本って、ダンス人口だけならすごく多いように見えますが、例えば実際にバレエを習っている人でもバレエの舞台観劇には行かないって人が多かったりする。「バレエをしている自分が好き」っていうある種のステータスというか、日本の習い事文化ならではだなと思います。だから、ダンスというもののあり方の根本が海外とは違う、同じやりかたを真似たりしてもダメなんですよね。日本の国民性を活かしたなにかを考えないといけない。

──日本の国民性・・・なるほど。神戸だからこそ生み出せるダンスシーンがきっとあるはずですね。

はい、きっと。これから盛り上がっていきたいですね。

今回、森山が振付をおこなった作品『Re:Incarnation in Nagata(リ:インカネーションインナガタ)』は1月21日・22日に「ArtTheater dB KOBE」(神戸市長田区)にて上演される。