2日夜、静岡市内で開催された知事選の公開討論会。

 立候補を予定している3人が、出馬表明後初めて顔を合わせました。

 前浜松市長で、立憲民主党・国民民主党が推薦する鈴木康友氏。

鈴木康友氏:
「私の今回の選挙のスローガンは、“オール静岡”で、幸福度ナンバーワンの静岡県をつくる」

 元副知事で、自民党県連が推薦する大村慎一氏。

大村慎一氏:
「私が目指すのは、県民の皆様の声がまっすぐに届く県政。そのために“オール静岡”を掲げている」

 共産党公認で党県委員長の森大介氏。

森大介氏:
「ポスト川勝県政において、リニアの問題と浜岡原発の問題、これは避けて通れない」

浜岡原発の再稼働について、森氏が切り込みました。

森大介氏:
「やはり地震の問題は避けて通れないと思う。浜岡原発、今、再稼働するかどうか、原子力規制委員会の審査が行われているが、この問題については鈴木氏の態度はどうなのか」

鈴木康友氏:
「今、原子力規制委員会の話が出たが、まずこの独立した国の強大な機関、最も厳しい基準で判断した判定を検証して答えを導き出していく、これが私のスタンス」

森大介氏:
「浜岡原発を再稼働するに当たって、実効性ある避難計画がなければ再稼働してはいけない。大村さんの考えをぜひお聞きしたい」

大村慎一氏:
「とにかく安全性の確保、これが全ての議論の前提、第一だ。避難経路に通ずる、こういったところのインフラを確保していくことも重要」

 そして、リニア新幹線をテーマに、熱を帯びた舌戦が展開されました。

森大介氏:
「私はリニアの建設は中止を求めたい。リニア建設よりも南アルプスの自然環境と大井川流域の8市町の命の水を守ることを優先すべきだ」

鈴木康友氏:
「森氏がご覧になかったかどうかわからないが、今品川の駅前、リニアのスタート地、ものすごい都市開発が行われている。あるいはリニアの周辺の県や市町で、それを前提としたまちづくりが急ピッチで進んでいる。これ、リニアやめてしまうと、リニアを前提としたまちづくりはどうなるのか?」

森大介氏:
「そういう点は、詳しくは私もちょっとそこはわからないところがあるけれども、やはり静岡県の知事としては、県民の命と暮らし、環境を守ると主張をして、様々な問題を抱えていることを主張していくことが大事だ。先ほどリニアのメリットをはっきりさせるということで、新幹線の本数を増やすと言われたが、そのほかにどういったメリットがあると考えているのか?」

鈴木康友氏:
「例えば東海道新幹線が機能停止になったときにリニアがあることによって、東西の交通が守られる」

 「リニア推進」の鈴木氏と大村氏。

 違いがわかりにくいとの指摘もある中、討論会の終盤、大村氏が新たな方針を打ち出しました。

大村慎一氏:
「いつもいろいろ言っているが、なかなかわかりにくいという話を聞くので、ちょっとパネルを用意させていただいた」

 用意したフリップを持ち出した大村氏。

大村慎一氏
「まず私、早期解決のために5つの約束というのをさせていただきたい。第1に、流域の声を反映する。2つ目に、大井川の水を守る。3点目、静岡県のメリットを引き出す。4番目に、国の関与を明確にする」

 ここまでの4点は鈴木氏の主張と共通していますが…。

大村慎一氏:
「そして最後に5番目、1年以内にこの問題について結果を出したいと思う。私が約束して、早期解決5つの約束でございます」

 大村氏は、「1年以内に結果を出す」と明言。

 スピード感を強調し、鈴木氏との違いを明確にした形です。

 初の論戦を終えた3人。

 公開討論会には参加しませんでしたが、知事選には、このほかに、諸派の横山正文氏(56)が出馬表明しています。横山氏はリニア新幹線の早期開通や、浜岡原発の再稼働を主張しています。