アスリートのセカンドキャリアも様々な個性が見られる時代となってきました。

私の友人にも元プロサッカー選手として世界を渡り歩き、現在は藍染アーティストとして活動するというおもしろいキャリアを歩んでいる人がいます。

 

彼女の名前は品田彩来。

現役当時はRCDエスパニョールやビジャレアルCFなど、サッカー好きであれば一度は必ず耳にするであろう歴史あるクラブで活躍しています。

 

学生時代にニューヨークのサマーチームで一緒にプレーしたことをきっかけに、今でもなんだかんだと交流が続いている彩来。

彼女は選手としてのキャリアを海外で終わらせていることもあり、日本でプレーしているうちに失ってしまいそうなマインドをいつも取り戻させてくれる大切な存在です。

 

現役時代からあまり努力を人にみせるタイプではありませんでしたが、裏ではとても考えて日々を過ごしていたことを知っているし、体格にも恵まれた彼女に対して、持つべき才能をもった上できちんと努力できる人だなと感じていました。

 

また、選手としてのキャリアを歩みながら、大学ではアート学科でメディア・アートを学び、サマーチームで同居生活をしている際も、自身のアートを販売する姿をみていました。

0からの創造が苦手な私にとってこんな才能を持ったサッカー選手もいるのかと、とても衝撃的でした。

 

大学を卒業後、アメリカのプロクラブやアマチュア契約を経て、欧州でのプロ契約を勝ち取ります。

2017年からは、彼女が幼い頃からテレビで見ていたというスペインリーグに参入し、ここでの出来事が彼女のキャリアを大きく変えることになりました。

 

2019年の大晦日。あるきっかけを通して今の地球の環境問題に対して絶望を感じた彩来は、それまで少しづつ抱えてきた社会や世界への疑問が一気に噴出したと言います。

そしてその僅か2週間後には、自分なりに今の世界に向き合おうと、クラブとの話し合いを経て退団。選手としての引退を決めました。

 

彩来が抱えている問題意識と自分らしさを同時に体現できると、彼女が次に選んだのが日本古来の藍染で、サステナブルアート・アパレルブランドとして「NORABI」を設立しています。

ブランドコンセプトとして【持続可能で環境負荷が少ない・生分解性が高い・スタイリッシュ・ジェンダーレス•スポーティー・手染め・一点物】を掲げ、これまですでに海外も含めた様々なブランドとのコラボも実現しています。

 

私は自分らしさを追求している人にとことん魅力を感じるのですが、彩来もその一人で、世界を見据えた視点から、社会問題にもきちんと向き合うスタイルを導き出していることが本当にすごいと思っています。

 

そして実は彼女、本当に一瞬ですが、スフィーダアカデミーにいた経歴を持っているのです。

スフィーダブルーと、藍の色。元々自由が丘出身で、駒沢公園とも馴染みが深いという彼女が、7月のホーム戦でブースを出したらおもしろいんじゃないかなといろいろとアイディアも膨らみます。

 

現在、本拠地を工房兼店舗にするためのクラウドファンディングに挑戦中ですので、ぜひ彼女のキャリアを応援していただけると嬉しいです。

藍染工房NORABIクラウドファンディングページ(別タブで開きます)

樫本芹菜
(かしもと・せりな)

サッカー選手。1993年、広島県生まれ。藤枝順心高校(静岡)では主将を務め、在学中は世代別代表に選出。U-17ワールドカップ準優勝メンバー。 高校卒業後は渡米し、大学でスポーツを多角的に学ぶ。ブンデス(ドイツ)でのシーズンを挟み、帰国後はマイナビベガルタ仙台レディースに加入。 現在は、スフィーダ世田谷FCで現役としてプレーしながら、地域に根ざすクラブづくりを目指して活動中。