UQモバイルが新料金プラン「コミコミプラン」を発表。ドコモの「ahamo」と楽天モバイルの「最強プラン」を意識していても、どちらにも「負けている感」が強いと評価するのは、ケータイ/スマートフォンジャーナリストの石川温さんです。今回のメルマガ『石川温の「スマホ業界新聞」』では、auの新プランも含め、KDDIには「値上げをしたい」思惑があると指摘。菅政権時代に下げざるを得なかった携帯料金も「いまが底」との見方を示しています。

UQモバイルが楽天モバイルとahamo対抗の「コミコミプラン」を発表──KDDIの本心としては「値上げ」したかったのか

KDDIは6月1日より、UQモバイルで新料金プラン「コミコミプラン」「トクトクプラン」「ミニミニプラン」を導入する。メインとなるのが「コミコミプラン」で、データ容量は20GBで翌月への繰り越しが可能、通話定額は1回10分までで、月額3278円だ。

これまでUQモバイルの料金プランはS・M・Lといったデータ容量別となっており、どちらかといえば、ワイモバイルを意識した立て付けになっていた。今回のコミコミプランは、メディア向けの資料ではNTTドコモ「ahamo」と楽天モバイル「最強プラン」と比較するなど、この2社に対抗するプランにしているのが明らかであった。

確かにahamoは5分定額でコミコミプランは10分定額という違いはあれど、ahamoは月額2970円で、コミコミプランは3278円であり、料金を単純に横並びにすると負けている感が強い。楽天モバイルと同じ金額ではあるが、そうなるとデータ使い放題の「最強プラン」に対して、コミコミプランは20GBとこちらも負けている感が出てしまっている。

もちろん「楽天モバイルのローミングに比べて、auネットワークの品質が良い」という主張もあるだろうが、ユーザーにはなかなか伝わりにくいところでもある。

今回のUQモバイルの新料金プランを見ると、KDDIとしては「値上げしたかった」というのが正直なところではないか。単純にS・M・Lの金額を上げれば「値上げするのか」と大騒ぎになる。そこで、これまでとは違った立て付けにし、さらに割引を適用させればこれまでと同額になるという仕掛けを入れることで、一見すると値上げとはわからないようにすることができる。

実際のところ、ミニミニプランは既存プランの「くりこしプランS」と比べても、データ容量は違えど値上げのように見える。「データ容量を増やして、ユーザーの需要に応える」という建前は成立するが、結局のところ「ユーザー一人あたりの収入を上げたい」という苦肉の策だろう。

auの料金プランにおいても「使い放題MAX 5G ALL STARパック2」が新登場し、セットになるコンテンツに新たに電子マンガ・ノベルサービス「ピッコマ」が加わった。これにより、「使い放題MAX 5G ALL STARパック」は、2023年5月31日をもって新規受付が終了となる。

「使い放題MAX 5G ALL STARパック」は割引前が1万428円、「使い放題MAX 5G ALL STARパック2」はピッコマが入ったが、1万648円で、これまた値上げといえるのだ。

今週、総務省から「電気通信サービスに係る内外価格差調査−令和4年度調査結果−」が発表になった。KDDIの動きは当然のことながら他社に波及するのは間違いないだけに、通信料金はいまが底で、今後はどの会社も値上げ方向にシフトしていきそうだ。

そもそも、菅政権によって、値下げしすぎて業界全体が疲弊。昨今、どの業界も値上げが当たり前になっている中、通信業界だけが値上げを許されないという風潮は間違っている。そろそろ各社とも通信品質に見合った料金プランに移行していってもいいのではないだろうか。

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image by:TK Kurikawa/Shutterstock.com

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