前回の記事『少子化の原因にも。日本にしかない時代遅れの戸籍制度を廃止すべき訳』で日本の戸籍制度を廃止すべきであると、主にフランスの少子化を解消方法を例として語っていたジャーナリストの上杉隆さん。上杉さんは自身のメルマガ『上杉隆の「ニッポンの問題点」』で今回、その後編として日本の戸籍制度を「個籍制度」にすべき理由について明らかにしています。

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戸籍制度の限界〜差別の温床。ジダンも、アンリも、ロナウドも…。時代は「戸」から「個」へ 後編

このように、フランスの少子化対策(妊娠出産育児支援)は、日本のそれの比ではないとはいえ、なぜ移民を制限したにもかかわらず、人口増に成功したのか。日本との決定的な違いはどこになるのか?疑問を持って日本に戻ると、ちょうどそのころ、小泉政権で移民政策(のちの「上げ潮政策」)を打ち出していた中川秀直さんと話しているうちにひとつのヒントをもらった。戦前からの古い民法が改革を邪魔しているとのことだった。

厳密な戸籍制度が移民の流入を妨げているというならば、結婚や出産や家族を規定する少子化対策も同じ理由ではないか?実際、少子化対策の問題は結婚率の低下と相関関係にある。『結婚しないかもしれない症候群』という本もあったが、未婚の大きな理由は、戸籍制度にあると睨んだ。そのいずれににしても、この前時代的な制度こそが、現在日本の発展を妨げているのではないか?

給付が「戸」(家庭)にされるから、お金は旦那に取られる。育児に費用がかかるけど、結婚しなければ手当もでない。しかも、こどもは婚外子として社会的にも法的にもずっと差別されてしまう(当時民法改正前)。しかも、相手の家とはそりが合わなく、家庭内戦争に発展する可能性が高い。戸籍制度が「婚姻」と「出産」を妨げてきたのは疑いないように思えた。少子化は、女性の問題ではなく、民法の問題だったのだ。

今年(2022年)2月10日に『オプエド』に出演した、時事通信元パリ支局長の原野城二解説委員長はこう語っている。

「私のいたフランスでは、出産子育てに対して、同性婚を認めて、女性の住宅手当を出し、こどもの教育手当を月10万円(当時)給付していました。少子化のカギは民法なんですよ」

フランスの少子化対策の成功のカギは、厚生福祉、健康保険、経済問題ではなく、法律(民法)にあった。日本の戸籍制度のようなものはなく、夫婦の入籍率は10%台、婚外子の割合も50%を超えている。フランスの状況を知れば、そもそも「家族」とはなんだろうか?と考えざるをえない。

少子化対策成功の看板をひっさげて、サルコジ内務大臣は大統領選に打って出て、ロワイヤル女史(のちの首相)を打ち破った。そのロワイヤル首相も任期中に出産、育児を始めるが、未婚であり、子の父親を公表していない。ワールドカップの最中だが、クリスティアーノ・ロナウド(ポルトガル)もまた未婚であるが、5人の父親である(ひとり男児が死亡)。最初の3人のこどもの母親はそれぞれ違っており、その存在を明かしていない。末の2人の子の母と、その3人を加えて、7人家族で幸せに暮らしている。

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日本に固有といってもいい戸籍制度は、本来多様であるべき家族集団を、個ではなく戸で縛っている。時代に合わないばかりか、そもそも明治政府(長州藩)の作った行政管理システムは、様々な点において差別の温床となっている。

隠し子という差別用語が平気で使われる婚外子の問題もそうだが、在日朝鮮人や部落の問題も、すべて戸籍制度の改正で解決できると思う(ある程度)。

少なくとも、戸籍をたどって、わざわざ差別を掘り起こすこともできなくなるだろう。近親相姦の危険性もいまやDNA鑑定で回避可能となった。

時代は、戸ではなく個を要請している。マイナンバー制度が完璧だとは思わないが、いまこそマイナを使って「個籍制度」に移行すべき時期に来ているのではないだろうか。

日本の未来のために戸籍制度の廃止を訴えて20年。「戸籍制度」は過去の日本を守る大切なものだったことは否定しない。だが、未来の日本のためには「個籍制度」で十分で、その役割は終えたと考える。機は熟した。時代は追いついた。あとは「同志」がそれぞれ声を上げるだけなのだ。

以下に、戸籍制度に反対、もしくは疑問を持っているかと思われる人物を、筆者の備忘として記しておく。

橋下徹、原野城二、前澤友作、細野豪志、山口真由、倉持麟太郎

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