事務所最年長の東山紀之(56)が言及するなど、終わりが見えない故ジャニー喜多川氏の性加害疑惑。しかし、ジャニーズ事務所に関する”疑惑”や”問題”はまだまだあると、メルマガ『モリの新しい社会をデザインする ニュースレター(有料版)』の著者でジャーナリストの伊東森さんは語ります。過去のスキャンダルや圧力疑惑を振り返ります。

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ジャニー喜多川性加害問題だけではない、ジャニーズ事務所の”闇” 〜1〜 大手メディアが“もみ消した”とされるジャニーズスキャンダル一覧とDA PUMPへの妨害工作

ジャニーズ事務所創業者、ジャニー喜多川氏(2019年死去)から所属タレントが性被害を受けていたとされる問題で、14日夜、現在の社長である藤島ジュリー景子氏が動画と社長名の書面を公式サイトに掲載。

約1分間にわたる動画では、藤島社長は

「何よりもまず被害を訴えられている方々に対して深く、深くお詫び申し上げます」

と謝罪。

一方で、書面では元ジャニーズJr.らが被害を訴えていることについて、

「当事者であるジャニー喜多川に確認できない中で、私どもの方から個別の告発内容について『事実」と認める、認めないと一言で言い切ることは容易ではない」

「憶測による誹謗中傷等の二次被害についても慎重に配慮しなければならない」

とし、事実の認定については明言を避ける。

しかしながらジャニーズ事務所をめぐる問題は、ジャニー喜多川氏の性加害問題だけにとどまらないのが実情だ。

所属タレントのスキャンダルをさまざまな手法で、もみ消し、あるいは旧統一協会との”接点”などの問題もある。

結局のところ強引な手法で自社タレントのスキャンダルを”もみ消し”、それが時間の経過とともに強まり、それに慌てふためく各種のメディアの”忖度”心も強まった。

さらにいえば、問題は日本独自の”アイドルビジネス”そのものにも人権侵害に関わる問題をはらんでいる。

目次

・大手メディアが”もみ消した”とされるジャニーズスキャンダル一覧
・DA PUMPへの妨害工作
・旧統一協会との浅からぬ”縁”も

大手メディアが“もみ消した”とされるジャニーズスキャンダル一覧

・1999年

芸能ブローカー主催の乱交パーティーに長瀬智也・松岡昌宏・山口達也・堂本光一が参加していたと雑誌「噂の真相」が報道。

・2008年

「週刊現代」が嵐・大野智の大麻吸引疑惑を報道。
「週刊女性」が元関ジャニ∞の渋谷 すばるの女性への飲酒強要を報道。

・2011年

大野智の大麻吸引疑惑を告発した女性が自殺。女性は、櫻井翔を除く嵐の他のメンバーとも関係があったと「週刊文春」が報道。

・2014年

山下智久が6月路上で20代の男女と口論になり、女性の携帯電話を破壊したとして 、器物損壊容疑で10月21日書類送検。示談金を支払い、不起訴処分。しかし、一緒にいた錦戸亮には処分なし。

ジャニーズWEST藤井流星が2年前に未成年飲酒・喫煙、女性への性的暴力を起こしていたと「週刊文春」が報道。

・2017年

東京スポ─ツが”アイドルグループのメンバー3人”が少女を妊娠させたという疑惑を報道。 グループ名はなかったものの、掲載されたシルエットからHey!Say!JUMPではないかと噂される。

「福岡金塊強奪事件」で逮捕された小松崎容疑者と一緒に写る手越祐也の写真を 小松崎容疑者のFacebookから発見。 

DA PUMPへの妨害工作

ジャニーズ事務所がここまでの栄華を極めることができた背景には、他事務所の男性アイドルグループへの数々の”妨害工作”があったからに他ならい。その代表格ともいえるのが、DA PUMPへの嫌がらせだ。

DA PUMPがデビューしたのは1997年。抜群の歌唱力とダンスのセンスで、翌1998年から「NHK 紅白歌合戦」に5年連続で出場するなど、人気を博す。

しかしブレイクにいたるまでには、ジャニーズ事務所からの陰湿な妨害工作があった。

その象徴的な出来事が、1997年12月に起こった Kinki Kidsの「ミュージックステーション」(テレビ朝日)出演ドタキャン事件だ。

これは、ジャニーズ事務所が、「ミュージックステーション」に出演予定だったKinki Kidsを前日になって出演しないと一方的に通告したもの。

その背景を写真週刊誌「FOCUS」(新潮社/2001年休刊)は以下のように綴る。

<番組には沖縄出身のダンスボーカルユニットで、目下人気急上昇中のDA PUMPも出演することになっていた。KinKi Kidsの突然の降板は「DA PUMPを出すなら、ウチのタレントは出演させない」というジャニーズ側の意思表示。つまりは、強大な力を背景にテレビ局に圧力をかけるための“恫喝”降板だったのだ>

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旧統一協会との浅からぬ”縁”も

ジャニーズ事務所は、かつて旧統一教会(世界平和統一家庭連合)との間にも接点を持っていた。旧統一教会の関連団体のPR活動にかかわっていた2人の人物と密接な関係があった。

旧統一教会の”フロント企業”のひとつに「一和(アルファ)」という会社がある。

公式サイトによれば、

「1971年に設立された(株)一和は食品、高麗人参、製薬を生産するヘルスケア専門企業です」

とのこと。この高麗人参のCMに出演していたのが、宝塚歌劇団の娘役出身の女優の月丘夢路(1922〜2017)だ。

月丘は戦前、宝塚歌劇団で活躍した元娘役スターで、戦後は数々の映画やドラマに出演。

私生活では、映画監督の井上梅次と結婚。その夫婦が、揃ってジャニーズ事務所創業者のジャニー喜多川氏とその姉のメリー喜多川氏と親しかった。

月丘は、統一教会とのつながりがささやかれるとともに、熱心な“自民党ファン”を公言していた。

もともと、ジャニーズ事務所に限らず、大手芸能プロダクションは、みずからの地位向上を目的とし、政権与党であった自民党と接近、その庇護を受けることで政治力をつけてきた経緯がある。

そういう点では、ジャニーズ事務所の“闇”は統一教会と同様、日本の戦後政治の“闇”を物語るものでもあるのだ。(『モリの新しい社会をデザインする ニュースレター(有料版)』2023年5月20日号より一部抜粋・文中一部敬称略)

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