パクリだらけ中国の「科学強国化」で、人類は悪夢の時代を迎える

昨年末には人類史上初となる月の裏側への探査機着陸を成功させるなど、国家戦略「中国製造2025」のもと、その科学技術力の拡充に余念がない中国。米中貿易戦争の遠因にもなっているこの動きに対して、中国の科学強国化は人類の不幸であると断じているのが、台湾出身の評論家・黄文雄さん。その真意を自身のメルマガ『黄文雄の「日本人に教えたい本当の歴史、中国・韓国の真実」』で述べています。

中国が世界一の科学国となることは人類の不幸

●ただの着陸ではない ── 中国の「月の裏側」探査が世界を震撼させたワケ

昨年12月8日に打ち上げられた中国の「嫦娥4号」が、1月3日、人類で始めて月の裏側に着陸したことは、大きなニュースとなりました。

月の自転と公転が地球と同期しているため、地球からは月の裏側は見えません。電波も届かないため、中国は2018年5月、電波を中継する衛星「鵲橋(じゃっきょう)」を打ち上げました。これにより、月の裏側への着陸が可能となったわけです。

月に対する中国の動きとしては2つあります。まず、世界で初めて公然と、月の資源開発を公言しました。こうして中国政府は世界の反応を見ているのです。月についても尖閣諸島や台湾同様、中国では「絶対不可分の神聖なる固有領土である」という主張があります。主に、政府に雇われてネット世論を形成する「五毛党」やテレビユーザーを通じて、そうした主張を展開しています。

もともと中国人にとって、月に最初に行ったのは中国人ということになっています。「嫦娥昇月」という神話があるからです。その神話にちなんで、現在の月の観測衛星も「嫦娥」と名付けられました。

尖閣諸島や南シナ海について、中国の古典に出ている不確かな表現をもとに、中国政府は「古代から管理・支配していた」と主張し、「絶対不可分な領土」だと言い張っているわけですから、中国政府が嫦娥の伝説をもとに「月は中国の絶対不可分の領土」だと主張してくることも、遠いことではないかもしれません。

それはともかく、現在、「嫦娥4号」から送られてくる月の裏側の映像が毎日報じられていますが、イギリスの経済誌「economist」はこの中国の「快挙」を引き合いに出しながら、「赤い月 中国はどのように科学を独占できるか」という特集を組みました。

科学やハイテク分野で中国の躍進が伝えられています。全国に防犯カメラを配置し、AIを使った顔認証技術で一瞬にして人物を認識できるシステムなどが紹介され、実際にこのシステムで大勢の人民の中から犯罪者を探し出して逮捕したといったニュースも報じられています。

ビッグデータやAIを活用した社会管理システムが中国では加速度的に構築されていますが、こうしてデジタル技術を利用して社会を統制しようとする中国の動きは、「デジタル・レーニン主義」と呼ばれています。

● デジタル・レーニン主義、ビッグデータとAI活用、中国で構築進む壮大な社会管理システム

たしかに、人権意識がない中国では、人民のプライバシーや権利などは無いに等しいものです。それだけに、ビッグデータを入手し、活用しやすいという側面があることは確かです。そうした環境を利用して、中国が一気に科学やハイテク分野で世界のトップに立つのではないかという危惧が、世界的に囁かれているのです。

先進国にしても、データサンプルを取得するために、中国への進出を望む欧米や日本企業も多いと聞きます。人権問題が厳しい先進国にとっては、自国でできないことが中国では可能になるため、中国がいい実験場となるからでしょう。

一方で、ハイテクを利用した人民監視は、思想や情報の統制もしやすいということで、習近平の独裁体制の強化にも繋がります。もしも中国が最先端科学でリードしたときの問題としては、科学技術の発達が独裁と民衆弾圧を加速させる道具になる危険性があるということです。

もともと中国の科学技術は、先進国から盗み、コピーしてきたものです。中国企業が中国に進出するためには中国企業との合弁が義務付けられ、しかも企業内部には中国共産党の支部の設置が義務付けられています。もちろん、中国側が主導権を握り、海外の技術を自家薬籠中のものとするためです。

また、とくに近年は、国のカネと力を背景とする国営企業を使って海外企業を買収し、技術を根こそぎ自国のものにしてきました。

アメリカはこうした中国のやり方を「強制的な技術移転」だと批判し、現在、中国に対して貿易戦争を仕掛けているわけです。先進国企業の技術をパクり、国家を後ろ盾とする国営企業がその技術を駆使した製品を廉価で海外に売り込むわけですから、先進国にとってはたまったものではありません。

そのいい例が、中国の新幹線でしょう。日本が技術供与したにもかかわらず、中国は「自国の独自技術で開発した」と吹聴し、国際特許まで申請する厚顔ぶりです。技術開発費もかかっていないので、きわめて安価で売り出せることもあり、現在では、海外の高速鉄道建設の入札で、中国は日本の最大のライバルになっています。

● 中国、日本の新幹線技術を国際特許出願…なぜ川崎重工は技術を流出させたのか

トランプ政権が、習近平の掲げる「中国製造2025」を目の敵にするのも、こうした技術盗用によって、アメリカの知的財産権が侵害されるからです。中国は2025年までに製造業で世界トップになると宣言していますが、先進国が多くの開発費をかけて築いてきた技術を丸パクリして、一気に世界のトップを目指すというのですから、虫のいい話です。

中国の弱点は、独裁者がいなければ、まとまらないということです。そのために習近平は自分の権力強化に動き、「皇帝」となろうとしているわけですが、「一君万民」の皇帝制度は儒教の「天命思想」を理論背景としています。すなわち、「徳のある者が天命により皇帝につく」ということです。これが「易姓革命」の理論となりました。

民主主義のない中国では、現在でもこの「天命思想」によって政権が維持されています。中国共産党が「絶対に正しい」という正当性を死守するため、政権批判、党批判はタブーです。また、正統性を主張するために、「中国共産党が日本帝国主義を打破した」というフィクションをでっち上げています。つまり中国共産党の「徳」を強調して、中国を統治する理由としているわけです。

そして習近平はさらにその上に、自己の神格化と絶対化を進めているのであり、まさしく「徳ある皇帝」になろうとしているわけです。

習近平の権力集中については、たとえば国家主席の任期制限を撤廃した2018年の全人代では、反対・棄権は5人のみで、ほぼ満場一致で決定されました。

つまり現在でも「偉大な天子」に巨大な権力を集中することが、チャイナ・ドリームとなっているということです。こうしないとこの国は安定できないのです。皇帝が現れないと天下大乱となるため、「真命天子」(真に天命を受けた天子)がこの世に現れることを望むわけです。

しかし、共産主義において、本来、皇帝は打倒すべき対象です。100年前の5月4日、いわゆる「五四運動」が起こり、これに感銘を受けた陳独秀が中国共産党を結成しました。陳独秀は、「徳先生」(民主)と「賽先生」(科学)の必要性を掲げ、儒教排除や封建制の打倒を主張していました。このように、儒教や、それによって生まれる皇帝制度と、民主や科学は相容れないものなのです。清末の戊戌維新も、皇帝制度のもと、日本の明治維新を真似て近代化を進めようとしましたが、結局、失敗に終わり、辛亥革命により清朝は滅びました。

毛沢東は批林批孔によって儒教を否定しましたが、やはり自らが絶対権力者の皇帝となったことで、科学や民主は進化しませんでした。むしろ毛沢東の号令によって行われた大躍進政策では、たった1日でそれまでの1年間の収穫が得られたといった荒唐無稽な成果の水増しが行われたことで、数千万人が餓死するという惨事を招きました。

習近平は儒教を否定するどころか、世界中に孔子学院を建てています。自らの神格化によって権力を増強させるという、毛沢東と同じ道を辿っています。そのような皇帝制度復活と科学強国の道を両立させようとしているのが習近平なのです。

しかし、党や政権にとって都合の悪い情報を統制するのが共産党です。人民に対して失敗を認められない共産党は、失敗から学ぶことができません。独裁者と反対の意見が通ることもありません。そのような国家で、科学が発展するのでしょうか。

米中貿易戦争は、独裁国家と民主国家の闘い、国家社会主義と資本主義の闘いという側面があります。もしも中国が科学強国になることで独裁国家が民主国家を凌駕し、国家社会主義が資本主義を超えるならば、それは人類にとっては悪夢です。

中国の科学強国化というのは、そのような壮大な実験でもあるのです。

image by: photocosmos1 / Shutterstock.com

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