豪州のサイバーセキュリティー会社が発表した、中国・上海当局が9万人の個人情報データを保管していたという報道。これは、日本人にとって他人事どころか当事者そのものであると警告するのは、メルマガ『黄文雄の「日本人に教えたい本当の歴史、中国・韓国の真実」』著者で台湾出身の評論家・黄文雄さん。中国在中の日本人895人に「逮捕」の危険性があるとする黄さんは、G7が発表した共同声明の影響を根拠に、他国の逮捕例をあげながら、日本政府がいくら中国に配慮しても「人質外交」が無くなることはないと注意喚起しています。

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【中国】対中批判の共同声明で在中日本人が逮捕される可能性

● 上海市当局、ウィグル巡り「監視リスト」 日本人も895人

朝日新聞によると、オーストラリアのサイバーセキュリティ会社「インターネット2.0」の調査で、中国の上海市当局が、少なくとも9万人の個人情報データを「ウイグル・テロリスト」として保管していることが判明したそうです。

そのデータのなかには複数のリストがあり、「科学技術局ブラックリスト」のなかには中国籍とみられる1万人の氏名や中国の身分証情報などが記載されており、そのうち7600人がウイグル人で、また、7088人については当局が行った事情聴取の内容と思われる記述があったとのこと。

また、「とくに注意する人物」として、2017人が掲載されており、それらは「上海で新たにインターネットを開設したウイグル人」だったそうです。

出入国管理局が作成したと思われるリストには、上海の空港で出入国した約1万人のパスポート情報などが記載されており、そのうち5000人が外国籍で、日本人895人が一番多く、ついで米国籍697人、韓国籍673人だったと報じています。

インターネット2.0は、昨年末、上海の通信会社が運営するクラウドにあったデータを入手し、IPアドレスから上海市当局が管理しているデータだと判断したとのこと。

これらの日本人については、政府関係者によれば実在しているそうで、大手商社や電機・繊維メーカーなどの社員が比較的に多かったといいます。

つまり、中国当局はウイグル人の独立運動や、ウイグル弾圧を批判する外国人、そして日本人をリストアップしているということです。

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中国には国家安全法という法律があります。ここには各民族の団結(26条)、宗教の名を騙った違法活動(27条)、テロリズム(28条)といった項目があり、これらに違反したものは処罰の対象になります。

したがって、895人の日本人もこの国家安全法に違反したとして摘発される可能性もあります。中国の場合、人質外交をよく行いますので、日本がウイグル問題で厳しい態度をとった場合、報復的に日本人を逮捕することもありえます。

たとえば昨年、オーストラリアが新型コロナウイルスの大流行の起源に関する正式調査を中国で実施するよう求めると、中国はこれに反発し、オーストラリア産のワインを輸入禁止にし、さらには中国で活躍するオーストラリア籍の女性を拘束しました。

● 中国テレビ局のオーストラリア人キャスター、中国で拘束

ファーウェイの孟晩舟副会長がカナダで逮捕された際には、中国でカナダ人が拘束されるケースが増えました。さらには、カナダ人の死刑判決も急増したのです。明らかな報復であり、人質外交です。

● 2日連続でカナダ人死刑判決 ファーウェイ問題で圧力か―中国

とくに、6月11〜13日にかけて、G7首脳会議が開催されます。すでに、共同声明において、新疆ウイグル自治区での人権問題などで中国を名指しで批判することで調整に入ったと報じられています。

● G7サミット 中国を名指しし、懸念表明へ 五輪開催支持も検討

場合によっては、このリストに含まれている在中外国人のうち、G7のいずれかの国籍の人たちが逮捕される可能性も否定できません。もちろんそのときは日本人も標的になるでしょう。ただし、東京オリンピックを1カ月後に控えているため、日本とは摩擦を避けるかもしれませんが。とはいえ、安心はできません。

オーストラリアの場合、中国の人質外交に対して、毅然とした対応で反撃しました。4月、国内のビクトリア州の政府が中国の「一帯一路」への協力のために中国政府と結んだ2つの協定を、オーストラリア政府は破棄しました。

● オーストラリア 州政府と中国の「一帯一路」協力協定破棄発表

はたして、日本にこのような対応ができるでしょうか。もしも出来ないのであれば、中国にいる日本人を早く帰国させるべきでしょう。結局、人質外交の道具にされてしまうからです。また、日本企業も、いつでも社員が逮捕される可能性があることを認識すべきです。今回のリストの存在は、そのことを裏付けたともいえます。

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加えて、中国では現在、「反外国制裁法案」をスピード審議しており、近く可決されると見られています。法案の概要は明らかになっていませんが、新疆ウイグルや香港を口実に中国に圧力をかけてきた場合に、報復措置をとるための法律であることは間違いありません。

● 中国、「反外国制裁法案」を審議 対中圧力をけん制

ウイグル問題に関しては、アメリカ、イギリス、カナダ、EUなどが中国に制裁措置をかけています。アメリカは香港問題でも香港自治法で制裁措置を行っています。一方、日本はまったく対中制裁を行っていません。ウイグルで起きていることをジェノサイドとも認定していません。G7で対中制裁を行っていないのは日本だけです。

しかし先のニュースでは、中国は諸外国のうちもっとも日本を警戒していることになります。いくら日本が中国に配慮しても、中国はいざとなれば人質外交で脅そうとしていることが見え見えなのです。

では、なぜ現在の中国はウイグル人をはじめ少数民族を弾圧するのかといえば、長い歴史のなかで、次のような事実があったからです。

漢の天下崩壊後に五胡のなかで鮮卑系(トルコ諸族)は、シベリアから南下、しかも、中原の歴史主役となった。ことに晋時代の八王の乱から南北朝時代より、宋がモンゴル人に滅ぼされるまで、約1000年ほど、中国はトルコ諸族の時代でした。

なぜトルコ諸族が南下して、さらに中原を捨てることになったのかといえば、私の推測では、中元の地はすでに水害と干ばつが頻発、モンゴル人と女真人の脅威が増大し、トルコ諸族は中近東へ移住せざるをえなかったのです。

今日のウイグル人は、モンゴルに文化、ことに文字を伝えた突厥や回?(ウイグル)とは違い、ウズベキスタンとキルギスの人々と同胞関係にあります。

そもそも今日の新疆(昔の西域)は、ペルシア人活躍の地だったのですが、漢の武帝は万里の長城を超え、この地を領土にしました。しかし、戎兵の食糧問題が生じて、この領土を守ることができませんでした。

今日、中国にとって新疆の地は死守すべき領土となっていますが、そうした過去の経験から、中国は異民族をジェノサイドするしかないのです。これを邪魔することは、中国にとっては分離主義者ということになります。

戦後の日本は中国に配慮しすぎるほど配慮してきました。巨額のODAを拠出して、新幹線技術まで提供して、中国経済を加速させたのです。その見返りとして、中国は尖閣を狙い、日本の新幹線技術は中国の「独自技術」として盗用され、中国の技術輸出品目になってしまいました。

しかし、もう日本だけがG7の対中制裁の蚊帳の外にいるわけにはいきません。そのためには中国との衝突も辞さない覚悟が必要なのです。そして、そのタイムリミットは刻々と近づいてきているのです。

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