ワクチンをめぐって台湾が大きく揺れています。日本から124万本が無償供給されたことが話題となりましたが、台湾ではワクチン不足や政府関係者を優先させた疑惑などによって蔡英文政権の支持率は急落。そこにつけ込んできたのが、シャープの親会社である鴻海(ホンハイ)創業者、テリー・ゴウこと郭台銘氏です。今回のメルマガ『黄文雄の「日本人に教えたい本当の歴史、中国・韓国の真実」』では台湾出身の評論家・黄文雄さんが、台湾で続くワクチンの混乱や中国によるフェイクニュースの報道を紹介。そして、自らワクチン調達の協力を名乗り出た「中国派」として知られる郭氏の思惑を問題視しています。

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【台湾】ホンハイ創業者のワクチン調達協力にはウラがある

● <台湾>蔡総統、ホンハイ郭氏らと面会 ワクチン調達で協力へ/台湾

台湾がワクチンで揺れています。ワクチン供給が進まない中、蔡英文政権は野党国民党などから執拗に責任を問われています。そんななか、鴻海(ホンハイ)精密工業の創業者、郭台銘が蔡総統との会談を執拗に迫り、台湾政府代理としてのワクチン購入交渉権を与えて欲しいと要求しました。

そして、ついに蔡英文総統は、郭台銘氏と、半導体の受託生産で世界最大手の台湾積体電路製造(TSMC)の劉徳音董事長の両氏と会談し、台湾政府代理としての交渉権を認めたのです。

ここに至るまでにも中国からの情報操作がありました。それは、日本が台湾に提供したワクチンについてです。以下、報道を引用します。

● 日本から台湾へのワクチン 中国“日本人が打たない期限切れ近いもの”

「日本が台湾に提供した新型コロナウイルスのワクチンについて、中国政府は『日本人が打たない、しかも、期限切れが近いもの』などと批判しました。

中国政府で台湾政策を担当する台湾事務弁公室の報道官は16日の記者会見で、『台湾メディアの報道に注意している。日本が送ったアストラゼネカのワクチンは日本人が打たない、しかも、期限切れが近いもの』と批判。そのうえで『ワクチンを接種した後に重い副反応が出た台湾の人もいる』と台湾メディアの報道を引用する形で指摘したということです。

アストラゼネカのワクチンについては、接種後ごくまれに血栓が出来る例なども報告されていて、日本では直ちに公的な接種には使わない方針になっています。

中国政府は『台湾は一日も早く中国が提供するワクチンを受け入れるべき』と訴えています」

アストラゼネカ製のワクチンを打った後に亡くなった人が少なくとも9名いるのは確かです。しかし、因果関係はまだ調査中です。

● アストラ製ワクチン接種の高齢者、少なくとも9人死亡/台湾

日本は、ベトナムにも日本で製造されたアストラゼネカのワクチンを約100万回分すでに無償供与しています。さらに、7月以降はインドネシア、タイ、フィリピン、マレーシアの計5カ国に提供すると発表しています。

● 東南アジア5カ国へワクチン提供、外相発表 台湾に続き

そして、なぜ海外に供給するのがアストラゼネカのワクチンなのかというと、報道では以下のように言っています。

「政府は米ファイザーや米モデルナから国民全員分のワクチンを確保したと判断し、アストラゼネカのワクチンは公的接種の対象から当面外すとしている。菅義偉首相は3000万回分を海外に供給する方針を掲げる」

日本は、アストラゼネカからワクチンの原液を輸入し、国内の拠点で容器に詰めるなどしたほか、アストラゼネカから技術移管を受けて原液の生産もはじめています。そのため、分量を比較的多く確保できるのがアストラゼネカということもあります。ただ、保存期間が半年ほどであるため、生産してから半年以内に使い道を見つけなければなりません。このように、様々な要因が相まっての海外供給です。

● 宙に浮く1億2000万回分 アストラゼネカ製ワクチン

少なくとも期限切れが近いから提供するといった単純なことではありません。このことを悪意を持ってニュースをでっちあげると、中国側が発信したようなフェイクニュースができあがるわけです。

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台湾がワクチンを巡って混乱しているのも確かです。ワクチンが足りない上に、ワクチン接種の順番についても、中央の政府機関職員などが優先されたことに対して賛否両論があり、蔡英文政権の支持率は急降下しています。

そんな蔡政権に付け込んできたのが郭台銘や国民党など中国派です。郭台銘は、「私はいつでも総統に会う準備はできている」と、強引に総統との会談を実現しました。そして、台湾政府代理としてドイツのビオンテック社と交渉するということを、政府に認めさせたのです。

郭台銘としては、中国からの圧力で購入交渉が叶わなかったビオンテック社と交渉し、蔡英文政ができないことを自分ならできると台湾市民に知らしめたい、我々中国派について損はない、ということを知らしめたいのでしょう。

政治的、商業的意図は全くないといいながら、期総統選挙をも視野にいれての行動かもしれません。

郭台銘は、自身の教育財団を通じて、ビオンテック社のコロナワクチン500万回分を購入する計画を表明しています。

ただし、ビオンテック社は、ワクチンは政府にしか販売しないと郭台銘に伝えており、台湾当局もドイツ政府の支援を得てビオンテックとの交渉を続けているため、郭台銘によって交渉がまとまるかどうかは不透明です。

● 台湾当局、テリー・ゴウ氏とTSMCにワクチン調達交渉を許可

一方、アメリカは蔡英文政権に助け舟を出しました。実質的なアメリカの大使館である米国在台湾協会(AIT)は6月19日、モデルナ製ワクチン250万回分を、6月20日着で台湾に送ったと発表したのです。しかも、台湾提供分は当初は75万回分だったのですが、これに175万回分が追加されたのです。

● 米国提供のワクチン、20日台湾に到着へ モデルナ製250万回分

先日のG7サミットの首脳宣言では、日米の後押しで、「台湾海峡の平和と安定の重要性」という内容が初めて盛り込まれました。加えて、G7は中国のワクチン外交に対抗するために、ワクチン不足が懸念されている途上国などにワクチンの現物供給などの対策を打ち出しました。アメリカの動きは、このG7を受けてのことであることは間違いありません。

蔡政権は日米欧諸国の協力を得ながらこの難関を一致団結して乗り越えなければなりません。

【関連】中国メディア「日本寄贈ワクチンで死者急増、台湾の対日感情悪化」は本当か?日台分断を煽る人間の正体

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