日本の最高裁に相当する韓国「大法院」の長官とは、どのような人物なのか、知っている日本人は少ないのではないでしょうか。長官に就任してから5年が経過し、何をなし得たかを国民が見極める時期となった今、長官である金明洙(キム・ミョンス)氏について、韓国在住歴30年を超える日本人著者が発行するメルマガ『キムチパワー』で詳しく紹介しています。それは「ウソ」だらけの5年間でした。

大法院長官5年、嘘だけが残った

現在韓国の大法院(最高裁に相当)の長官が金明洙(キム・ミョンス)という人間で、文在寅により指名された「左」バリバリの人間だ。司法府の長(おさ)が自身の政治性向を大上段に構えたりしたら歪みがあちこちに出てくるだろうことは当然予想されるわけだが、やっぱり、という文章が朝鮮日報に載っていた。ご紹介しよう。

来月26日で金明洙(キム・ミョンス)最高裁長官が就任して5年になる。任期6年のうち5年が過ぎたので成績表をつける時になった。寡聞のせいなのか分からないが、彼が司法府のために何をしたのか分からない。思い出すのは嘘だけだ。それでももしかして知らないことがあるかと思い、彼の就任演説を読んでみたところそれも結果的にほとんど嘘になった。

彼は就任演説で「裁判官の独立を侵害しようとするいかなる試みも全身で防ぐ」と話した。その後の行動は正反対だった。前政権(=文政権)の時、裁判官弾劾を推進する与党によく見られようと、与党が弾劾対象に名指しした後輩判事の辞表受理を拒否した。政権の顔色をうかがうために司法府の独立を自ら踏みにじったのだ。そうしておいて昨年2月、最高裁名義で「そんなことはない」という偽りの答弁書まで出した。

法廷で言った嘘を偽証として断罪された判事は、このような嘘が明らかになれば、己の職を守ることは難しい。ところが、大法院長官が国民を相手に初めての偽証をし、しかもまだ持ちこたえている。

先月、ボリス・ジョンソン英首相は側近の性的不正の前歴を知りながらも主要党役員に座らせ、マスコミに「知らなかった」と嘘をついたが、結局辞任を発表した。真実を最も重要な価値と考えるべき司法府の長の嘘が、首相の嘘より軽いとは言えない。それでも持ちこたえているのは、彼が厚かましいか、韓国社会が寛大かのどちらかだろう。

彼は「良い裁判実現を最優先価値とする」と話した。だが、彼が会長を務めたウリ法研究会(この、ウリ=わたしたちの意=なんとかという組織はほとんどが左翼系と決まっている)と国際人権法研究会、そして民弁(民主社会のための弁護士の会。これも左翼系だ。文在寅なども所属していた)が掌握した大法院は「選挙テレビ討論で言った嘘は虚偽事実公表ではない」という納得し難い判決でイ・ジェミョン当時京畿道知事の知事職を維持させた。

検察が控訴状を不良記載したという枝葉末節的な理由で不法政治資金を受け取ったウン・スミ城南市長に事実上免罪符を与えたのも大法院だ。「蔚山市長選挙介入事件」の1審を引き受けたウリ法出身判事は15か月間、本案審理を進行しなかった。文在寅元大統領を批判する大字報(デジャブ=チラシのこと)を大学の建物に貼り付けて建造物侵入という荒唐無稽な疑いで起訴された青年に1審判事は有罪を宣告した。こんなことを「良い裁判」とは言えない。ある判事は「あまりにも情けないので顔を上げることができない」と述べた。

彼の在任5年間、全国裁判所で2年以内に1審判決が下されなかった長期未解決事件が民事訴訟は3倍に、刑事訴訟は2倍に増えた。彼が高裁部長判事昇進制を廃止し、裁判所長候補推薦制を導入して判事たちが熱心に働かなければならない理由が消えたためだ。昇進概念をなくし、裁判所長も人気投票で選ぶという状況で、どの判事が熱心に働くだろうか。

判事たちの「ウォラベル=(work-life balance。仕事と個人の生活のバランス)」は良くなったが、裁判遅延で国民の苦痛はさらに増えた。迅速な裁判と公正な裁判は憲法が規定した手続き的正義の二本の軸だ。「良い裁判」のための必須条件だが、キム・ミョンス司法府では二つとも崩れた。

彼は自身の大法院長官就任(文在寅の指名)は「それ自体で司法府変化と改革を象徴するもの」と話した。しかし、自分と理念的性向が同じ韓国法・人権法出身の判事を要職に就かせ、権力不正裁判で政権側に不利な判決を下した判事たちは閑職に送った。

私的な席で後輩判事に「お前は誰の味方なのか」と露骨な敵・味方論を展開したりした。彼の側近判事たちは法服を脱ぐやいなや青瓦台秘書官になり、実体も不明な前任司法府の「司法壟断」を告発したという判事たちは当時与党公認を受けて国会議員になった。これは改革ではなく退行だ。大韓民国司法史に大きな汚点を残した彼=金明洙が退任の辞でこのようなことをどんな言葉で粉飾しごまかすのか、今から気になる。(無料メルマガ『キムチパワー』2022年8月11日号より)

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