大腸は全身の健康の要とも言われる臓器ですが、加齢とともに機能が落ちていってしまい、年齢を重ね50代、60代になると便秘になってしまう方も多く見受けられます。

便秘の際に見られる「コロコロ便」、「硬い便」は大腸に長く留まり水分が搾り取られていることから“ミイラ便”とも呼ばれ、様々なリスクをもたらします。

大腸に関する医療・学術専門家の知識を集結し幅広い情報を発信している「大腸劣化」対策委員会によると、“ミイラ便”は全身不調や見た目・幸福度にまで影響するそう。今回は「大腸劣化」対策委員会が60〜80 代男女600 名に対し行ったWEB 調査の結果をお届けします。

調査結果

今回の調査ではまず、「お腹の調子が悪いことが原因で生活に支障がでているか」を質問。すると、便秘気味の人の約 8 割が何らかの支障が出ていると回答。理由としては「ストレスを感じる」「トイレに入っている時間が長い」「おならが出る回数が多い」といった回答があげられました。

また、具体的なエピソードとしては、「下腹部が張り食欲不振に陥り、ストレスとなり家人に対し苛立ちが表に出てしまう。」、「突然便意を感じるときがあると、外出するのを躊躇する事が多くある。」といったものがありました。

次に「便秘になりやすい時」を回答してもらうと、旅行先で便秘になりやすい人が 3 割を超え、環境が変わった時になりやすい人も 2 割以上という結果に。腸内の環境はまわりの環境変化とも大きく関係しているようです。

次の調査では「体の不調」の中から当てはまるものを選んでもらったところ、便秘気味の人は快便の人に比べて約 1.7 倍も「体の不調」が多いという結果に。お腹に直接関係しなさそうな全身の不調も多く含まれており、腸内環境が乱れた便秘気味の状態は、お腹以外の不調も招きやすくなることが考えられます。

続いて外見について質問すると、快便の人は実年齢より若く見られ、便秘気味の人は実年齢より上に見られる傾向があることが分かりました。腸内環境と肌などの見た目に相関性がある可能性が示唆されています。

さらに、「自身がどの程度幸せか」を10 点満点で自己採点してもらったところ、便秘気味の人の平均が6.6 点と、快便の人の7.2点に比べて幸福度が低い傾向にあることも明らかとなりました。

今回は調査結果を踏まえ、内科医の工藤孝文先生と工藤あき先生にコメントをいただいています。

「便秘気味の人に多い、硬く固まって排出しにくい“ミイラ便”を招く原因の一つには、水分不足が考えられます。大腸に長く滞留すると、便も水分を失って“ミイラ便”に変貌してしまいます。また水分だけではなく、食物繊維とビフィズス菌もとても大切な働きがあります。食物繊維は水分保持や善玉菌の働きを活性化し、善玉菌は腸内環境を良好にしてくれます。水分、食物繊維、ビフィズス菌は腸内環境を整える“3 種の神器”と言えるでしょう。

“3 種の神器”のうちビフィズス菌は善玉菌の代表格。ヒトの大腸に多く棲み、整腸作用に大きく寄与します。しかし、年齢を重ねると腸内のビフィズス菌は減少し、腸内フローラのバランスは乱れがちです。これがシニア世代の便秘の要因の一つでもあります。ビフィズス菌入りヨーグルトなどでビフィズス菌をお腹に届けて、不調の連鎖をストップさせましょう。」

 

様々なことに影響する腸内環境。“ミイラ便”になってしまっている方は、3 種の神器を活用し、腸内環境を整えていきましょう。