「人気作=すぐアニメ化される」わけではない?

 近年は少年誌作品ながら過激な描写も多い、『ジョジョの奇妙な冒険』や『刃牙』シリーズが連載から時を置いてアニメ化されたほか、さらに『ゴールデンカムイ』や『ヴィンランド・サガ』などの容赦ない描写が多い青年マンガも、続々とアニメ化されています。そんな一方で、そこまで危険なネタや過激描写があるわけでもないのに、アニメ化されていない少年誌の人気作品もいくつか存在します。

●『BE BLUES!〜青になれ〜』

「週刊少年サンデー」で2011年9号-2022年46号まで連載されていた『BE BLUES!〜青になれ〜』は、一条龍が小学生時代の大事故などの苦難を乗り越えながら成長していく姿を、小学生時代から高校生までの長いスパンで描いたサッカーマンガです。主人公はFW(フォワード)で舞台は主に高校サッカー、魅力的なヒロインも登場する超正統派のサッカーマンガですが、なぜかいまだにアニメ化のアナウンスすらありません。少年誌のサッカーマンガは多数ありますが、2022年だけでも『ブルーロック』『アオアシ』などがアニメ化されていることを考えると、正直不可解です。

 作者の田中モトユキ先生は、『最強!都立あおい坂高校野球部』も5年近い長期連載になりましたが、こちらもなぜかアニメ化されていません。完結したばかりだからこそ、なるべく早くアニメ化してほしいというファンの声も多いので、今後に期待です。

●『コータローまかりとおる!』

『コータローまかりとおる!』は蛭田達也先生による人気シリーズで、続編の『新・コータローまかりとおる! 柔道編』、「週刊少年マガジン」から「マガジンSPECIAL」への移籍を挟んだ『コータローまかりとおる! L』も合わせると、10年越え(1982年〜1994年)の長期連載になりました。シリーズ1作目の『コータローまかりとおる!』だけでも、単行本は59巻を数えます。

 同作は一度実写映画になっていますが、アニメ化はされていません。こちらは一応、暴力描写もお色気描写もありますが、連載当時の時代を考えると特別きわどい描写というわけでもないので、まだアニメ化される可能性は消えていないと思われます。SNSでも、「『うる星やつら』と同じノリで『コータローまかりとおる!』を令和のクオリティでアニメ化して欲しい」などの声もありました。

●『帯をギュッとね!』

『帯をギュッとね!』は「週刊少年サンデー」1989年1・2合併号から、1995年52号まで連載されました。ギャグを交えながら努力と根性と汗のイメージが強い柔道を爽やかに描き、今も人気を博しています。学園モノの要素もあり、何より本作の柔道は「武道」と言うより「スポーツ」と言った方がしっくりくる描かれ方をしていて、安心して見ることができます。

 コンプライアンスに厳しくなった21世紀にも合った内容で、こちらもアニメ化してほしい一作です。「『うしおととら』、『からくりサーカス』や『スプリガン』がアニメ化されたし、『帯をギュッとね!』もアニメ化期待してしまう」と、往年のサンデーファンの期待は高まっています。

●『ACMA:GAME』

「週刊少年マガジン」にて2013年19号から2017年14号まで連載された『ACMA:GAME』は、悪魔の能力を持つ者同士がお互いの大事なモノをかけて「ゲーム」をする、『DEATH NOTE』や『賭ケグルイ』のような頭脳戦系サスペンスです。長期連載作品かつ少年誌らしい正統派な内容ですが、本作もやはりアニメ化されていません。

 恵広史先生は龍門諒先生と組んだ『BLOODY MONDAY』も人気作になりましたが、同作も実写化はあったもののアニメにはなっておらず、こちらももったいない作品と言えます。まだ連載終了から5年、近年の時間をおいてアニメ化されたマンガの例を考えれば可能性はあるでしょう。

「週刊少年サンデー」連載の『古見さんは、コミュ症です。』はぼっち属性主人公が人気になりアニメ化。同じくぼっち属性の『湯神くんには友達がいない』は未アニメ化。画像は『湯神くんには友達がいない』1巻(小学館)

まだまだある、アニメ化が待たれる人気少年マンガ

●『湯神くんには友達がいない』

『湯神くんには友達がいない』は、ぼっちの主人公・湯神裕二が活躍する日常モノのコメディです。「週刊少年サンデーS」にて、2012年7月号から2013年11月号まで17話分連載した後、「週刊少年サンデー」に移籍し、2013年48号から2019年25号まで月イチで連載されました。

 長寿作品でありながらメディアミックス展開は今のところボイスドラマだけですが、同じくぼっち属性の主人公が登場する『古見さんは、コミュ症です。』はアニメ化、実写化の両方が実現しています。根強いファンが今もアニメ化を望んでいますが、はたしてどうなるでしょうか。

●『PSYREN -サイレン-』

 週刊少年誌で最多の発行部数を誇る「週刊少年ジャンプ」は競争も激しく、連載を勝ち取るのも、継続させるのも難しいです。統計によると、ジャンプ連載作品の約7割は1年以内に打ち切りになっているそうで、例えば2021年に始まった新連載も12作品中8作品(約66%)が1年以内に終了しています。

 そんななか、2008年1号から2010年52号まで連載された岩代俊明先生の『PSYREN -サイレン-』は、厳しい競争に勝利した一本です。しかし、なぜか未だアニメ化はされていません。例えば、ほかにジャンプで5年続いた『Mr.FULLSWING』もアニメ化されていませんが、同作はギャグマンガでもあり、下ネタとギャグが満載で、映像化と折り合いがつかなかった可能性が考えられます。

 一方で、『PSYREN -サイレン-』はSF要素のあるサバイバルサスペンスかつ、アクション要素もある正統派作品で、映像化に特に問題のありそうな要素は見当たりません。根強い人気もあり、「Netflixでクールに縛られずにアニメ化してほしい」「CGでアゲハたちの超能力が見たい」と期待されています。

●『背すじをピン!と〜鹿高競技ダンス部へようこそ〜』

『背すじをピン!と〜鹿高競技ダンス部へようこそ〜』は、競技ダンスを題材にした作品で、「週刊少年ジャンプ」で2015年24号から2017年11号まで連載されました。

 少年誌らしい爽やかな内容で、絵柄もかわいらしく親しみやすい正統派ですが、本作もアニメ化されていません。第2回「次にくるマンガ大賞」でコミックス部門1位を獲得するなど評価も高く、同じく競技ダンスを題材にした『ボールルームへようこそ』はアニメ化されているだけに、本作もアニメ化されてもおかしくはないでしょう。「焦っているわたりちゃんをアニメで見たい」「短い分ちょうどいいと思う」と、アニメ化期待の声は少なくありません。

●『夜桜さんちの大作戦』

 こちらは「週刊少年ジャンプ」現役連載作品です。ジャンプ本誌の作品掲載の順番には、それぞれの作品の人気が反映されていると言われていますが、権平ひつじ先生の同作は安定して中位程度の人気を保っているものと思われます。

 内容は『家庭教師ヒットマンREBORN!』を思わせるアクションコメディーで、少年誌らしい正統派の作品です。しかし、連載3周年を超えてもアニメ化の報はなく、このままアニメにならずに連載が終了してしまうかもしれません。内容、人気規模から見ても、アニメ化される可能性は大いにあります。ファンも「キャラもみんな個性的で、有名声優を起用しやすいと思う」「ノリがポップでバトルも面白いし、絶対人気出るはず」と、期待しているようです。

 人気マンガがアニメ化されないままだと、ファンとしてはもどかしい限りですが、「なぜ?」と思いつつ待ち続けていると。思わぬタイミングでアニメ化される場合もあります。前述の『ジョジョ』などの作品のほか、連載終了からアニメ化まで10年かかった『ムヒョとロージーの魔法律相談事務所』、24年かかった『BANANA FISH』のような例もあるので気長に待ちましょう。