ビジュアルが違いすぎて「誰だかわからない」?

 マンガの実写化では、キャストや予算、上映時間や放送枠の都合などで、原作とは「別モノ」の作品ができることも少なくありません。原作にいたはずのキャラクターがいなくなっていたり、年齢や性別が変更されているケースもありました。

 今回はそのなかでも、もともとの原作ファンはもちろん、実写版を先に観てから原作マンガに触れた人も「あのキャラって原作だとこうなの?」と驚いた、「改変されたキャラ」を振り返ります。

●大人気のあのキャラがいない?『進撃の巨人』のリヴァイ

「別冊少年マガジン」で連載され、国内外で高い人気を得たマンガ『進撃の巨人』は、2015年に2部構成で実写映画化されています。実写映画のキャストが発表された際、原作ファンは人気キャラのひとりであるリヴァイがいないことに、衝撃を受けていました。実写映画にリヴァイという名の役はなく、似た設定の新キャラクターである「人類最強の男・シキシマ」が追加されていたのです。

 リヴァイは身長と体重は160cm、65kgと小柄でありながらも、一般的な兵士4000人ほどの戦闘力を持つキャラクターです。実写版の脚本を担当した映画評論家の町山智浩氏は、ラジオで「日本人キャストである以上、名前を変更せざるを得なかった」と発言していましたが、カリスマ的な人気と存在感を発揮するキャラクターを、実写に落とし込む難しさもあったのかもしれません。

 シキシマを演じた長谷川博己さんの身長が、リヴァイよりも20cm以上高い182cmだったこともあり、近いキャラクター設定でありながらも、違和感を隠せない人も見られました。それでも「リヴァイとは別ものだと思って観ていた」「リヴァイの存在を忘れることができれば、シキシマもかっこいい」という風に、原作とは切り替えて観たことで楽しめたという感想もあります。『進撃の巨人』は今後、ハリウッドでも実写化予定ですが、はたして今度こそ3次元のリヴァイが見られるのでしょうか。

●ネットで話題の名物キャラが女性に!『らーめん才遊記』の芹沢達也

 ラーメン店の経営や創作ラーメンの開発などを描いたマンガ「ラーメン発見伝」シリーズ(原作:久部緑郎、作画:河合単)は、ネットでたびたび話題に上がる名物キャラクター・芹沢達也の存在も、広く知られています。

 2作目『らーめん才遊記』でフード・コンサルティング会社「清流企画」の社長となった芹沢は、鋭い目つきで常に愛想笑いを浮かべた細身の男性で、「髪の毛がラーメンに入らないように」という理由から、スキンヘッドにしているキャラクターです。皮肉屋で毒舌ではあるものの、ラーメン作りや経営手腕で高い実力を持つ芹沢は、読者から「ラーメンハゲ」と呼ばれ親しまれています。

 そんな芹沢は、2020年4月に放送された実写ドラマ『行列の女神〜らーめん才遊記〜』で、鈴木京香さん演じる女性キャラ・芹沢達美として登場しました。キャスト発表の際、原作ファンは驚きを隠せず、「女性にする必要性をあまり感じない」と疑問に思う声もあったのですが、「原作のラーメンハゲは、合理的判断で『ヒットのために必要』と改変を認めそう」「厳しく現実を突きつける芹沢は、女性がやってもいいのかも」と、性別変更をポジティブにとらえた人もいたようです。

『らーめん才遊記』は、社会人になったばかりの主人公・汐見ゆとりに芹沢が正論をぶつける場面が多く、一見すると「パワハラ」にもとらえかねない描写です。実写化によって「女性同士」になることで、ドラマから作品を知る人には、受け入れやすかったのかもしれません。

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紅一点のお姉さんキャラが、「男勝りのパイロット」に?

●暴力団の女組長がヒロインポジションに? 『嘘喰い』の鞍馬蘭子

 個性的なキャラクターたちが命を賭けたギャンブルを繰り広げるマンガ『嘘喰い』は、現実離れした展開、高度な駆け引きや戦闘シーンも魅力の作品です。2022年に公開された実写映画では、主人公・斑目獏(まだらめ・ばく)を演じた横浜流星さんを中心とするキャラクターのビジュアルが評価された一方、原作の主要キャラクター・鞍馬蘭子(くらま・らんこ)が、「ヒロインポジション」となっていることに衝撃を受ける声があがっていました。

 原作の蘭子は暴力団「鞍馬組」の女組長であり、どこか蛇を思わせる凄みを持っています。目的のためならば、ためらわずに敵対者を殺す反面、「善人や女子供、弱者には手を掛けない」という信念もある女性です。そんな蘭子ですが、実写版では白石麻衣さんが「獏に恋愛感情を抱く女性」として演じていました。言葉遣いも荒々しく男勝りな蘭子が、乙女らしくなっていることに違和感を覚える原作ファンもいましたが、「原作にはない恋愛描写が逆に気になる」「原作とは違う、華やかで少女っぽい蘭子もかわいかった」と、新鮮に受け取る感想もあります。

●女性キャラが増加!『SPACE BATTLESHIP ヤマト』

 70年代に一世を風靡した名作SFアニメ『宇宙戦艦ヤマト』は、2010年に『SPACE BATTLESHIP ヤマト』として実写化されています。子供の頃から『ヤマト』ファンだったことを公言する木村拓哉さんが主人公・古代進役を演じ、CG技術を駆使した作品を多数手がけていた山崎貴さんが監督を務めるなど、公開前から注目を集めていました。

 映画の上映時間に合わせて省略はあったものの、『SPACE BATTLESHIP ヤマト』のストーリーはある程度原作通りでしたが、一部のキャラクターの性別や役職には、大きな変更が加えられています。たとえば看護師やレーダーの監視を兼任し、紅一点のお姉さんらしさを持っていた森雪は、黒木メイサさんが演じた実写版では「男勝りなパイロット」として描かれています。

 その影響からか、通信班長・相原(演:マイコ)も女性に変更され、レーダーの監視を兼任する形となっていました。また、原作では中年男性の船医・佐渡も、高島礼子さん演じる女性キャラに変更されています。酒と猫が好きな設定は変わらないものの、常識外れな性格のおじさんからおとなしい女性へと変貌し、別人のようになっていました。

『SPACE BATTLESHIP ヤマト』は、大胆な設定変更に戸惑う声も少なくありませんでした。それでもネットの感想を見ると、「女性キャラが多くなったのは時代の変化では?」「古代がキムタクになるくらいだから、他のキャラも変えて正解。別モノとして楽しめた」と、前向きに受け止めた人もいたようです。

 今後、Netflixが制作を発表している韓国版の実写ドラマ『寄生獣 −ザ・グレイ−』も、原作の主人公・泉新一とは別人の女性「チョン・スイン」が主役になることが明かされました。「意外と面白そう」「悪い改変にはならないかも」と好意的な意見もあり、注目が集まっています。