みんなが呼ぶから本名だと思っていたけれど?

『キテレツ大百科』のブタゴリラの本名が「熊田薫」だったり、ブラック・ジャックの本名が実は「間黒男」だったりと、マンガやアニメのキャラクターの普段の呼び名と本名がかけ離れていて驚くことは少なくありません。そして人気マンガ『ドラゴンボール』のキャラクターにも、実は意外な本名を持つキャラクターが存在します。

 まずひとり目は「ミスター・サタン」です。サタンは格闘技のチャンピオンとして、民衆の人気を集めています。普通の人間と比べるとはるかに強いキャラですが、作中に登場した当初は、地球の危機を幾度も救ってきた悟空たちに比べると「小物臭」がただよう人物でした。

 しかし、その後悟飯とセルとの戦いで悟飯覚醒のきっかけとなる「ナイスアシスト」をしたり、魔神ブウと仲良くなって人殺しをやめさせたりと、戦闘方面とは別の働きで功績を上げています。

 一般のファンはもちろん、後に一緒に暮らすことになった魔神ブウでさえも「サタン」と呼んでいるため、てっきり本名だと思いきや、日は「ミスター・サタン」はただのリングネームです。「最強ジャンプ」2014年6月号の「鳥山明先生 魔人ブウ編(秘)一問一答!」というコーナーで、鳥山先生はサタンの過去について「若い頃に『サタンの城』という道場に通っており、格闘技の大会で世界チャンピオンになって、出身道場にちなんで『ミスター・サタン』と呼ばれるようになった」ことを語っています。

 そんなサタンの本名は、『ドラゴンボール』公式サイトにはっきりと書いてあり、その名を「マーク」といいます(名字はなし)。一見、やけに普通の名前だと感じてしまいますが、「マーク」は「悪魔」をもじって作った名前だそう。「サタン」も悪魔なので、鳥山明先生らしい言葉遊びと言えるでしょう。娘のビーデルは「デビル」のもじりで、親子そろって同じ法則の名前です。

 次にご紹介するのは、「人造人間18号」です。ドクター・ゲロによって生み出された人造人間で、その驚異的な強さで超サイヤ人に変身したベジータを圧倒しました。人造人間とはいえ、18号と17号は完全な機械ではなく人間をベースにして造られています。当然、人間の頃には違った名前がありました。

 彼女の人間の頃の名前は、「ラズリ」です。本編では本名で呼ばれることはありませんが、『ドラゴンボール フルカラー 人造人間・セル編』のコミックス6巻で、読者の質問に鳥山明先生が答える形で明言されています。しかし、夫であるクリリンが、今も「18号(さん)」と呼んでいるのが気になるところです。夫にも本名を明かせない何かがあるのか、人間の頃の自分はもういないという意思表示なのか、クリリンがそう呼びたいだけなのか……。読者も長年、謎を感じているようです。

 そして当然、双子の弟・17号にも本名があります。彼が人間だった頃の名前は「ラピス」で、姉の18号と合わせると「ラピス・ラズリ」となります。和名で「瑠璃」と呼ばれる、とても美しい宝石の名前です。

『ドラゴンボール』に登場するキャラクターの名前は、ほとんどが何か別の言葉をもじって付けられていますが、宝石の名前が由来のキャラクターはあまりいません。一体なぜふたりにこんなにキレイな名前をつけたのか、気になるところです。