『デビルマン』や『キューティーハニー』には短縮バージョンとロングバージョンが?

 TVアニメのOPやEDは1コーラス、次回予告は30秒弱であることが多いです。しかし、1972年放送の『デビルマン』や『ミクロイドS』、1973年放送の『キューティーハニー』など、70年代のTVアニメには、やけに長いOPやED、次回予告がありました。その理由は、キー局とネット局で放映フォーマットが違っていたからです。

『デビルマン』が放送されていたのは土曜の夜8時半でした。昭和を代表するバラエティ番組『8時だヨ!全員集合』に対抗するために、同時に8時から始まった『人造人間キカイダー』とのカップリングで放送されていました。

 キー局の「NET」(のちのテレビ朝日)では、この時間帯で30分の放送でした。ところが、ネット局では違う時間帯に放送されて、短いニュースや天気予報を挟むために短いバージョンが作られています。ドラマパートを削ったり増やしたりすることはできないため、OPやED、次回予告で調整していたのです。

『懐かしのTVアニメ99の謎』(二見書房)によると、『キューティーハニー』の場合、ネット局ではOPやEDが縮小あるいは省略されていました。ネット局のエリアの子供たちは、『東映まんがまつり』で初めて「ロングバージョン」のOPやEDのハニーの姿を見て衝撃を受けたといいます。

 また「ロングバージョン」を視聴した世帯には、次回予告が長くて次回の内容を知ることができて喜んだ子供もいる半面、OPやED、次回予告が長く感じてしまう子供もいました。そこで、裏番組の『8時だヨ!全員集合』にチャンネルを変えてしまうケースも多かったようです。

 同じような例は、『デビルマン』『キューティーハニー』と同じ永井豪先生や安田達矢先生とダイナミック企画原作のロボットアニメ『鋼鉄ジーグ』(1975年)から始まった、日曜6時からの時間帯でもありました。磁石の力で合体するロボットアニメシリーズは、1976年『マグネロボ ガ・キーン』、1977年『超人戦隊バラタック』と続き、のちに「マグネロボ」シリーズと呼ばれることになります。

 昭和に放送されていた作品について振り返りましたが、「ショートバージョン」だった地域の人にはピンとこないかも知れません。「ロングバージョン」を視聴していた人は、懐かしく感じるエピソードだったのではないでしょうか。