再び始まる物語

「何歳になってもアニメは面白い」。そう断言できる傑作が、2024年4月から何本も放送されます。今回は膨大な作品群のなかから、昭和生まれの方が特に楽しめると思われる作品を3つ、ご紹介します。

●『狼と香辛料 MERCHANT MEETS THE WISE WOLF』

 支倉凍砂先生のライトノベルを原作とし、かつて2度のTVアニメ化を果たした『狼と香辛料』が、『狼と香辛料 MERCHANT MEETS THE WISE WOLF』としてストーリーの最初からリブートされることとなりました。狼の化身である少女「ホロ」と旅の青年行商人「クラフト・ロレンス」がさまざまな騒動に巻き込まれながら続ける行商の旅は、本格的な経済活動として描かれており、非常に学びの多い作品としてお勧めです。

 ひとり行商の旅を続けていたロレンスはある日、黄金の麦畑が広がる村で、狼の耳と尻尾を持つ美しい少女と出会いました。ホロと名乗った少女は、かつては神としてあがめられ、長年麦の豊作のために力を尽くしていました。しかし、技術の発展によりないがしろにされるようになり、遠く北にあるはずの故郷・ヨイツの森へ帰りたいと望むようになったのです。

 ロレンスはホロの願いを聞き届け、道連れとして同行することを承諾します。かくして、波瀾にまみれたふたりの旅が幕を開けたのでした。なお、原作は一度完結しましたが、続編の『新説 狼と香辛料 狼と羊皮紙』が展開中です。アニメをきっかけに『狼と香辛料』に興味が湧いた方には、こちらもお勧めです。

●『鋼鉄神ジーグ』

地上波で初放送される『鋼鉄神ジーグ』 (C)永井豪/ダイナミック企画・ビルドベース

 2007年にWOWOWで放送されたTVアニメ『鋼鉄神ジーグ』が2024年に地上波(テレビ東京)で初放送されます。本作は、1975年に放送されたTVアニメ『鋼鉄ジーグ』の続編ではなく、テレビ雑誌「テレビマガジン」で連載されていたマンガ版の続編となっています。

 初代「鋼鉄ジーグ」こと「司馬宙(しば ひろし)」は死闘の末に邪魔大王国(じゃまだいおうこく)の女王、「妃魅禍(ヒミカ)」の封印に成功しましたが、ふたつの強大なパワーにより謎のゾーンが発生。決戦の地となった九州はそのままゾーンに覆われてしまい、宙もまたゾーンに飲み込まれて消息不明となりました。

 それから50年が経過したある日、突如として下関に「ハニワ幻人」が姿を現します。かつて宙のパートナーだったミッチーこと「珠城美和(たましろ みわ)」に育てられ、新たなジーグのパイロットとして選ばれた「草薙剣児(くさなぎ けんじ)」は、美和の孫娘である「つばき」や仲間たちとともに、邪魔大王国との戦いに臨みます。

 作品全体を通して感じられるのが、熱血主人公やヒロインたちのお色気シーンといった、永井豪先生の作風が前面に押し出されているという点です。かつて『マジンガーZ』や『キューティハニー』をはじめとする永井先生の作品で育った方にとっては、シンパシーを感じる作品となるでしょう。また、行方不明となっている宙と、すでに孫を持つ身となったミッチーの関係性についても要注目です。

夢を追い、諦めず前に進む…大人に刺さるアニメ

●『怪獣8号』

夢を諦めてしまったことのある大人に刺さる『怪獣8号』 (C)防衛隊第3部隊 (C)松本直也/集英社

「少年ジャンプ+」で連載中の話題作、『怪獣8号』も「怪獣」が重要なファクターとなっている変身ヒーローが主人公という要素から、昭和世代におすすめの作品です。

 舞台は、怪獣が日常的に人類の脅威となっている世界。主人公の「日比野カフカ」は幼い頃に街が襲われ大きな被害を出した際、幼なじみの「亜白ミナ」と「怪獣を全滅させよう」と約束します。怪獣を退治する「日本防衛隊」の入隊を目指し、怪獣の死体を解体する業者で働きながら日々努力を続けたカフカでしたが、願いはかなうことがなく、入隊制限の32歳を迎えてしまいました。一方ミナは才能を開花させて防衛隊で活躍を続け、第3部隊長となっており、カフカとは住む世界が違う人間となっていたのです。

 鬱屈した日々を送っていたカフカでしたが、ある日年齢制限が引き上げられたことを知り、同僚の「市川レノ」と共に再び防衛隊への入隊を目指して動き始めます。しかしある出来事をきっかけにカフカは強力な力を持つ怪獣に変身できるようになってしまい、彼の運命は思わぬ方向へと動き始めるのでした。