最悪の世代の人気キャラにも壮絶な過去が?

 尾田栄一郎先生による大人気マンガ『ONE PIECE』には、主人公のモンキー・D・ルフィ率いる麦わらの一味をはじめ、魅力的なキャラが多数登場します。そんな彼らは物語で活躍するキャラほど、壮絶な過去を持っていることも多いです。この記事では、敵キャラも含め、麦わらの一味以外の作中で屈指ともいえる悲惨な過去を持つキャラを振り返ります。

※『ONE PIECE』108巻以降のネタバレを含みます。

●トラファルガー・ロー

「シャボンディ諸島編」で初登場した最悪の世代のひとり、トラファルガー・ローの過去は作中でもかなり悲惨でした。ローの過去が明かされたのは、「ドレスローザ編」でのことです。

 ローの故郷は、ノースブルーにある「白い町」と呼ばれるフレバンスという国です。この国の地層から取れる珀鉛という鉛が高値で取引されるため、国は栄えていました。しかし、この珀鉛には毒が含まれており、何世代にもわたって蓄積された毒のせいで、あるタイミングで国中の人間が「珀鉛病」という不治の病に掛かってしまいます。

 フレバンスの人びとは助けを求め国から脱出しようと試みますが、他国は珀鉛病を伝染病だと思い、彼らを拒絶します。それがきっかけで、フレバンスと他国との間で戦争が勃発して、ローの家族も全員殺されてしまいました。しかし、ローだけは死体の山に隠れて生きながらえて国境を超え、七武海のドンキホーテ・ドフラミンゴの海賊団に拾われることとなったのです。

 その後も、ローの壮絶な人生は続きます。珀鉛病を治すために海賊団の最高幹部だったコラソンとともにさまざまな国を巡りますが、全ての国の医者に断られ、「フレバンスの生き残りだ なぜ全員駆除しなかった」などと心ない言葉を浴びせられます。そして紆余曲折あったのちに、「オペオペの実」を食べ珀鉛病は治りますが、「オペオペの実」を横取りしたことやドフラミンゴを裏切ったことにより、恩人コラソンが殺されてしまうのです。

●ドンキホーテ・ドフラミンゴ

 上述したドフラミンゴ自身も、壮絶な過去を持ったキャラのひとりです。ドフラミンゴはもともと天竜人のドンキホーテ家の一員で、聖地マリージョアの住人でした。しかし、幼い頃に父親が「天竜人の地位を捨てて普通の人間として生活したかった」という理由で、一般人と同じ生活をすることになります。

 一般人となったドフラミンゴたちですが、天竜人に恨みを持つ人びとによって一家全員が迫害されることになりました。さらには、天竜人に戻りたいと懇願しても、一般人となったドンキホーテ一家の願いをマリージョアに住む天竜人は聞き入れてくれません。

 そして、母は病気で亡くなり、マリージョアに戻るためにドフラミンゴは実の父を殺します。しかし、マリージョアに戻るという願いは叶わず海賊になりました。彼は覇王色の覇気を持ち悪魔の実の「覚醒」に至るなど、海賊としての才能には優れていましたが、そうでなければ野垂れ死にしていたかもしれないほどの過酷な過去です。

●バーソロミュー・くま

 同じ元王下七武海のひとり、バーソロミュー・くまの壮絶な過去は、105巻から始まる「エッグヘッド編」にて明らかになりました。くまは「バッカニア族」という特殊な種族で、生まれながらに奴隷階級という一族だったのです。

 父親は天竜人に殺されるも、何とか支配から逃れて幸せな人生が送れるかと思いきや、最愛の女性であるジニーがさらわれて天竜人の嫁にされてしまいます。さらに、ジニーは病気になったという理由で天竜人に捨てられ、くまの元に帰ってきてすぐに絶命しました。

 さらに、くまが育てることを誓った父親不明のジニーの娘、ボニーも母と同じ病気を発症してしまいます。そして、病気を治すためにくまは世界政府の命令に従い、サイボーグになるのです。天竜人、世界政府の都合で人生を狂わされ続けたくまの過去編は、最終章のなかでも特に話題になり、多くの読者の涙を絞り取りました。