プロデビュー前に一般読者として投稿していた人物とは?

『ONE PIECE』のコミックス巻末には、読者が投稿したイラストを掲載する「ウソップギャラリー海賊団(通称:UGK)」というコーナーがあります。ファンが熱を入れて書いた力作が集まり、新刊が出るたびに楽しみにしている読者も多いことでしょう。

 2024年5月現在、108巻までコミックスが刊行されている『ONE PIECE』には約27年もの歴史があり、その「UGK」の投稿者のなかから、実際にプロの漫画家になった人まで現れているのをご存知でしょうか。

 今回は、一般の投稿者からプロデビューを果たした貴重なケースをご紹介します。

 最初に紹介するのは、コミックス6巻(1998年発行)の「UGK」に投稿イラストが掲載された「藤原ゆか」先生です。藤原先生は、2002年に「りぼん新人漫画賞準入選」を受賞して、同年デビューを果たします。少女マンガから小説の挿絵、アニメのキャラクターデザイン原案など、幅広い分野で活躍されている漫画家です。

「UGK」に掲載された当時、13歳だった藤原先生は、ルフィ、ナミ、ゾロといったキャラクターを独特のタッチで描き、見事「UGK」の大賞を受賞しています。

 なお、藤原先生の作品『CRASH!』の第1巻の帯には、『ONE PIECE』の尾田栄一郎先生がコメントを寄せていました。

 そして藤原先生と同様に、コミックス74巻(2014年発行)の「UGK」で大賞を受賞し、漫画家としてデビューしているのが「氷室慶大」先生です(UGKでは別のペンネームを使用されています)。このとき氷室先生は、プロ顔負けの圧巻の画力でリアルタッチの青キジのイラストを投稿していました。

 その後、78巻のSBSのコーナーにて、氷室先生が「月刊アフタヌーン」で読み切りデビューを果たしたことを尾田先生が報告しており、同巻の「UGK」にも氷室さんが描いた「コラソン(ドンキホーテ・ロシナンテ)」のイラストが掲載されています。

 最後に紹介するのは、コミックス23巻(2002年発行)の「UGK」に投稿イラストが掲載された「堀越耕平」先生です。堀越先生は、現在「週刊少年ジャンプ」(集英社)にて『僕のヒーローアカデミア』を連載中で、『ONE PIECE』と同じ雑誌で描いている人気漫画家です。

 堀越先生が「UGK」にイラストを投稿したのは15歳の頃で、迫力あふれる「白猟(はくりょう)のスモーカー」のイラストを投稿していました。

 ちなみに堀越先生はデビュー後、新年会で尾田栄一郎先生と対面した際に、かつて「UGK」に掲載してもらったお礼をしたそうで、その喜びを自身のSNSにて明かしています。尾田先生もそのときの出来事を77巻収録の「SBS」でネタにしているので、気になる人はチェックしてみてはいかがでしょうか。

 100巻超えの長い歴史がある「ウソップギャラリー海賊団」のコーナーには、これからもどんどん投稿作品が増えていくはずです。もしかすると、今後さらに「UGK」出身の漫画家が増えるかもしれませんね。