最後まで主人公を信頼するヒロインが泣ける

 さまざまなジャンルのアニメのなかには、グロテスクな描写を含んだ作品も数多くあります。そういった作品は人によっては途中で離脱してしまうかもしれませんが、なかにはトラウマ級のグロテスクなシーンの先に、感動的な場面が待ち受けていた作品もあり、多くの人が涙を流しました。そのような、グロテスクな描写がありつつも感動する作品を見ていきましょう。

※この記事は各作品のネタバレが含まれます。

●『ひぐらしのなく頃に』

『ひぐらしのなく頃に』は、同人サークル「07th Expansion」が制作した同題ゲームが原作のアニメです。昭和58年の「雛見沢村」を舞台に、村の祭り当日に起きる怪死、失踪事件を中心に物語が進みます。

 本作は「出題編」4編で謎を提示し、「解答編」4編で事件の真相や謎の解答を描く構成です。アニメ1期では4編の出題編と2編の解答編が、アニメ2期ではオリジナルストーリーと2編の解答編が描かれました。

 残酷な場面が多いことでも有名で、多くの視聴者にトラウマを残しています。例えば、解答編の「目明し編」では、「古手(ふるで)神社」の巫女「古手梨花」が対峙した村の有力者の次女「園崎詩音(しおん)」からの拷問を避けるため、自分の首へ何度も刃物を刺して自害するシーンがありました。このほかにも、無理やり生爪を剥いだり、鉈で頭をかち割ったりする描写があります。

 その一方で解答編の「罪滅し編」では、出題編の「鬼隠し編」の全容が明らかになり、主人公「前原圭一」の仲間である「竜宮レナ」と「園崎魅音(みおん)」の最期に多くの視聴者が感動の涙を流しました。レナは疑心暗鬼に陥っていた圭一へ「私を信じて」と最後まで手を差し伸べ、魅音もまた、圭一を心配して元気づけようとしていたのです。しかし、ふたりに殺されると思い込んでいた圭一は、彼女たちを殺害してしまいます。

 最期まで圭一を救おうとするふたりの姿は、ネット上でも「安心させるために最期まで笑顔だったのに泣いた」「愛の深さを感じた」と今も語り継がれています。

●『未来日記』

「少年エース」で連載されていた同題マンガが原作の『未来日記』は、殺し合いのサバイバルゲームが軸になっており、多くの残酷シーンが登場する作品です。それでも、最終話で描かれたヒロイン「我妻(がさい)由乃」の主人公「天野雪輝(ゆきてる)」への愛が美しく、泣ける作品と評価されています。

 本作では次期「時空王」の座をかけて、未来が分かる「未来日記」を持った12人が殺し合うサバイバルゲームが展開されます。雪輝は無差別に周囲の未来が分かる「無差別日記」を、由乃は雪輝の未来を予知する「雪輝日記」を所有していました。雪輝は由乃へ疑念を募らせながらも、自分へ異常な愛を向ける彼女と協力しながらサバイバルゲームに挑みます。

 由乃が敵の首を斧で切りつけたり、ナイフで首を切断したりと、残酷描写が多く、思わず目を逸らしてしまうほど衝撃的です。

 しかし、最終回は雪輝を大切に思う由乃の愛情を中心に描かれ、ネット上では「依存だと思っていた由乃の愛情が本物で泣いた」「ヤンデレだった由乃への見方が変わった」といった声も出ていました。最終回で雪輝は家庭に問題を抱え居場所がない由乃のために、「僕が死んで君の居場所を作る」と言い、自分を殺すように頼みます。しかし、彼を愛する由乃は殺害できず、自ら命を絶ってサバイバルゲームを終わらせるのです。

 由乃は「ヤンデレヒロイン」としても有名ですが、最後に見せた雪輝への愛には多くの人が心を打たれ、涙を流しました。

『メイドインアビス』キービジュアル第2弾 (C)2017 つくしあきひと・竹書房/メイドインアビス製作委員会

親友との別れのシーンに涙が止まらない

●『メイドインアビス』

 アニメ『メイドインアビス』は「WEBコミックガンマ」で連載中の同題マンガが原作で、かわいらしい絵柄に反してグロテスクなシーンが多いことで有名です。そのような同作のとある話では、胸を締め付けられるような別れが描かれました。

 本作は主人公の少女「リコ」がもうひとりの主人公でロボットの少年「レグ」とともに、「アビス」と呼ばれる巨大な大穴を冒険するお話です。アビスには下底部から上昇すると身体に影響が出る上昇負荷、通称「アビスの呪い」と呼ばれる事象があり、ときには死をもたらします。また、危険な生物も多く存在し、冒険は常に命懸けです。

 そうした場所が舞台なだけに過激で残酷な場面も多く、リコが原生生物「タマウガチ」に襲われたときには、毒が回らないように腕を切断するシーンもありました。また、原生生物「クオンガタリ」によって、大穴に挑んでいた「探窟家」が生きながらにして幼体の生き餌にされているシーンなども描かれています。

 このように過酷な物語が描かれるなか、アビスの深界四層に暮らす「ナナチ」と「ミーティ」の別れには、ネット上で「泣ける」「涙が枯れた」との声が聞かれました。探窟家の「ボンドルド」によってアビスに連れてこられたナナチとミーティは、一緒に過ごすうちに仲良くなり、おたがいにとって大切な存在になります。

 しかしある日、アビスの上昇負荷の実験体にされ、ナナチは獣人のような姿になり、ミーティは不死の崩れた獣のような生物に変身して人間性を失ってしまうのです。

 ナナチはミーティを連れてボンドルドの元から逃げますが、自分が死んだ後に取り残されるミーティの未来を憂います。そして、リコとレグに出会ったナナチは、ミーティを殺せる火葬砲を持つレグにミーティを殺してもらうのです。その直後に、ナナチは泣き崩れました。この場面には、「飄々としていたナナチが感情を露わにしたところが泣ける」「この時のナナチの表情がつらすぎる」と多くの視聴者が涙を流したようです。