人間観察力もすごい悲鳴嶼さん

 好評放送中の『鬼滅の刃 柱稽古編』にて、その悲しい過去が明かされるのが「岩の呼吸」を使う「岩柱」の「悲鳴嶼行冥」です。彼は原作ファンも作中のキャラたちも認める、「鬼殺隊最強」の存在であり、その実力は「柱稽古編」以降で遺憾なく発揮されます。アニメで彼の強さがどう表現されるのか、楽しみなファンも多いでしょう。

 また、悲鳴嶼は鬼殺隊のトップ「柱」たちのなかでも最年長の27歳で、会議でもまとめ役になることが多いです。柱稽古でも彼の「筋力強化訓練」が最後に設定されるなど、「柱のなかの柱」ともいうべき重要なポジションにいます。かなりの信頼を得ているようですが、ほかの柱たちからはどのように思われているのでしょうか。

 原作では、ほかの柱との会話シーンなどはさほどなかったものの、悲鳴嶼へのほかの柱たちからの評価は、『鬼滅の刃 公式ファンブック 鬼殺隊見聞録・弐』に収録された「柱相関言行録」という、柱同士の相互評価をまとめたコーナーで見ることができます。柱たちからの悲鳴嶼への評価は、シンプルにまとめると「尊敬している」「とにかく強い」というものでした。

 極端な性格の「風柱 不死川実弥」や毒舌家の一面も持つ「蟲柱 胡蝶しのぶ」、口下手で他の柱たちとのコミュニケーションがうまくいっていない「水柱 冨岡義勇」もそろって、悲鳴嶼への「尊敬」を語っており、「音柱 宇髄天元」は「クソ強い」、「霞柱 時透無一郎」は「一番強い人」と評価しています。

 アニメではまだ悲鳴嶼の活躍は描かれておらず、グッズの売り上げなどでも彼の人気は芳しくないことがたびたび話題になっていますが、柱たちからだけでなく、原作を全部読んだファンからも「戦闘力の凄さだけでなく、精神力、分析力、判断力、どれをとっても柱最強であることは間違いない」「現実で、こんな人が知り合いにいたら頼もしいし信頼できただろう」「岩柱は最強格に相応しい堂々たる立ち回りを魅せてくれ、かつ相手の格も落とさないという名勝負を見せてくれた」「強そう、ではなくちゃんと最強」と、絶賛されています。

 また、さまざまな人から称賛されている悲鳴嶼は、一方的に尊敬を集めているだけでなく、ほかの柱たちのことを誰よりも観察していました。本人も盲目であるがゆえに「大勢の人間を心の目で見てきた」と語っており、「柱相関言行録」ではその観察眼の鋭さを発揮しています。表向き派手好きな宇髄のことは「大口を叩きがちだが、冷静」「驕りはない」と分析し、常に丁寧口調で笑みを浮かべているしのぶのことは「無理をしがち」と心配しており、冨岡のことも「さすがに口下手すぎ」と指摘しつつ彼が言いたいこととと相手への伝わり方が違うことを見抜いていました。

 さらに悲鳴嶼は「蛇柱 伊黒小芭内」と「恋柱 甘露寺蜜璃」が互いに好き合っていること、しのぶと冨岡がそれぞれ互いと話すのが楽しそうであること、また不死川が亡き「花柱」でしのぶの姉「胡蝶カナエ」のことを好きらしいと、意外な事実まで感じ取っています。恐るべき観察力ながら、それらを誰かに言いふらすようなこともなく、みんなを優しく見守っており、彼のほかの柱との「全体的な打ち解け度数」は90で、亡き「炎柱 煉獄杏寿郎」の95に次ぐ数値でした。

 この「柱相関言行録」には、単行本のおまけページにも描かれていたように悲鳴嶼がやはり猫好きであることや、冨岡に定期的に話しかけていることなどが分かり、より彼の人となりが伝わる貴重な情報が書かれています。最終決戦でのある鬼との戦いでは、悲鳴嶼は単に肉体的な強さだけでなく、駆使する武器の考え抜かれた性能や、観察力、人間力に裏打ちされた実力で相手の「嘘」を見抜き、動揺させる頭脳戦も見せ付けました。

 悲鳴嶼の株が上がっていく展開までもう少し待つことになりますが、最終的にどれだけの人が彼を「尊敬」することになるのか、今から楽しみです。

※煉獄の「煉」は「火+東」が正しい表記