最愛の母を失うだけでも辛いのに

 マンガのなかには、残酷描写や衝撃的な展開で、読者を驚かせる作品もしばしばあります。そういった場面は、アニメ化された際はカットやマイルドな描写に変更されるケースもありますが、なかにはファンも驚くほどしっかりと再現されたケースもありました。

●自分の繰り出した技で腕の肉が裂け骨がむき出しになる『範馬刃牙 2期』

 地上最強の高校生「範馬刃牙」が地上最強の生物の父「勇次郎」を超えるため、さまざまな強敵と闘う人気格闘マンガ「刃牙」シリーズ(著:板垣恵介)は、独特なタッチで描かれるバトルシーンが魅力の作品です。地下闘技場を中心になんでもありの格闘が描かれるため、痛々しい描写が多く、3部にあたる『範馬刃牙』でもその過激さは顕在でした。

 アニメ『範馬刃牙 2期』7話では、1億9000万年の眠りから覚めた「最強」といわれる原始人「ピクル」と、天才空手家といわれる「愚地克巳(おろちかつみ)」のバトルが描かれます。克巳にとっては、試行錯誤を重ねた音速を超える打突を繰り出す技「マッハ突き」の、改良版の見せ場でもありました。

 天才の克巳がイメージの力で全身の関節を実際よりも増やし、各関節を鞭のように加速させて放つ「真マッハ突き」は、鋼の肉体を持つピクルにも効きダウンを奪います。しかし、物体が大気中で音速を超える際に生じる衝撃波のせいで克巳の手足も破壊され、一撃ごとに彼はボロボロになっていきました。それでも立ち上がるピクルに対し、克巳は相手に攻撃が当たる寸前に引き戻して速度を最大化させる、最終形態の技「当てない打撃」を喰らわせます。そして、彼の右腕からは血しぶきが上がり、肉は裂け、骨がむき出しの状態になってしまうのです。

 アニメでは血や筋肉の繊維、骨の色まで鮮明になり、より痛々しくリアルに描かれています。ネット上では「黒塗りもモザイクもなしでそのまま放映されたのはビビった」「克巳のかっこいいシーンでもあるから、グロいけどちゃんと無修正で放送されて嬉しかった」などという声が挙がり、原作に負けないインパクトに残るシーンとなっていました。その後もピクルと克巳の友情や、克巳の周囲の人間への「感謝」も描かれ、作中屈指の名勝負と名高い一戦がしっかり再現されています。

●母が巨人に捕食される『進撃の巨人』

 人類と巨人の戦いを描いた『進撃の巨人』(原作:諫山創)は、世界中で絶大な人気を誇るマンガ作品が原作です。物語の面白さだけでなく、人間が巨人に捕食されたり、惨殺されたりする残酷描写も多く登場し、たびたび話題に挙がる作品でもあります。

 なかでも主人公「エレン・イェーガー」の母「カルラ」は、アニメ版の第1話で悲惨な最期を迎え衝撃を与えました。彼らの住む「シガンシナ地区」が巨人の襲撃に遭い、カルラはその衝撃で崩れた家の下敷きになってしまいます。エレンと「ミカサ・アッカーマン」、駆け付けた駐屯兵団の兵士「ハンネス」が救出を試みるも結果は虚しく、カルラは「生き延びるのよ…!!」とエレンらに告げ、そのまま巨人の餌食になってしまうのです。

 巨人から逃げるハンネスに抱えられたエレンは、泣き叫びながらも母が捕食される姿をしっかりと目撃しており、彼の巨人への憎しみにつながります。

 原作でも大きなインパクトを残したこのシーンは、アニメでもセリフや表情、効果音に至るまで余すことなく再現されていました。エレンらが去ったあとのカルラが、涙を流しながら「行かないで」と本心をつぶやく場面も悲壮感を際立たせており、「このシーンは辛すぎて何回観ても慣れない」「血が飛び散るのがアニメだとよりリアルで怖かった」「原作で『パキパキ』の擬音だった咀嚼音までしっかり再現されてグロテスク」と、序盤にして作中屈指のトラウマシーンとして語り継がれています。

『ベルセルク 黄金時代篇 MEMORIAL EDITION』「蝕」のビジュアル (C)三浦建太郎(スタジオ我画)・白泉社/BERSERK FILM PARTNERS

衝撃のトラウマ「儀式」

●目の前で恋人を凌辱される『ベルセルク』

 主人公「ガッツ」の復讐の旅を描いたダークファンタジー『ベルセルク』(著:三浦建太郎)は、躊躇のない残酷描写、性描写も有名な作品です。特に、ガッツの過去を描いた「黄金時代篇」終盤の「蝕」の場面は、マンガ界屈指のトラウマシーンとして語り継がれてきました。

 その「蝕」の場面は、最初のアニメ化作品『剣風伝奇 ベルセルク』の24話と25話、黄金時代篇を描いた映画3部作の最終章『ベルセルク黄金時代篇III 降臨』、映画シリーズをアニメ用に分割、編集したTVアニメ『ベルセルク 黄金時代篇 MEMORIAL EDITION』の11話から13話でも描かれます。

 ガッツが所属していた傭兵団「鷹の団」の、カリスマ的な団長「グリフィス」は、ガッツが鷹の団を去った後、自暴自棄になって仕えていた「ミッドランド王国」の王女「シャルロット」と肉体関係を持ったことで罪に問われます。

 激しい拷問の末、ガッツや仲間に救い出されるも再起不能になったグリフィスは絶望し、人間が超越的存在である「ゴッドハンド」に転生するための儀式「蝕」を引き起こしました。そして、鷹の団の仲間は召喚された怪物「使徒」に次々と殺害されていくのです。少しでも仲間を救い逃げ出そうとするガッツの前で、ゴッドハンドの「フェムト」に転生したグリフィスは、見せしめのようにガッツの恋人「キャスカ」を凌辱しはじめました。

 各アニメ版でも、鷹の団の仲間たちの無残な最期、魔物に左手を食われながらキャスカを助けようと叫び抗うガッツや、キャスカの恍惚とした表情まで、じっくりと再現されています。ネット上ではそれぞれ、「『剣風伝奇』は年齢制限なしでキャスカの身体が細部まで描かれてて、今思うとすごいな」「たまたまTVつけて『剣風伝奇』の『蝕』見て永遠のトラウマになった」「キャスカもなんか受け入れちゃってる感じが辛い」「黄金時代篇も原作の絶望的な雰囲気がそのまま」「映画でも感じたけど、蝕のガチ描写といい、スタッフの本気度を感じる」など、蝕の凄惨さを際立たせる再現度が評価されていました。