テリーの悲しい過去が影響?

『ドラゴンクエストVI 幻の大地』にまつわるひとつの都市伝説として有名なのが、「テリーがダークドレアムになった」という説です。公式設定として発表されているわけではないので、あくまで推測にすぎず、噂話の域を出ません。

 しかし、実際にダークドレアム撃破後に見られる隠しエンディングでは、テリーとダークドレアムの意味深な邂逅(かいこう)シーンがあり、その説を後押ししたのも事実です。

 ダークドレアムとは、『ドラクエ6』をクリアした後に戦うことができる「隠しボス」のような存在です。一方、テリーは剣士として登場し、ゲーム後半で仲間に加わるキャラクターでした。

 一見関係ないように思える両者ですが、ゲーム内にはテリーとダークドレアムの間に謎の接点が生じる描写が存在します。

 先述した隠しエンディングでは、テリーがひとりでどこかに向かっていくシーンが描かれています。そのテリーがたどり着いた先にはダークドレアムの姿が……。テリーのシーンはそこで終わるので、その後何が起こったのかは謎に包まれたままです。

 そのため、ネット上では「ダークドレアムに意識を乗っ取られたのではないか」「テリーとダークドレアムは一体化したのでは?」などと推測する声が上がっていました。

 さらに『ドラクエ6』は、「肉体と心が別々の世界に分離されている」という世界観ですが、主人公たちが冒険を進めるなかで、肉体と心がひとつになるイベントが発生します。

 このイベントでは新技を覚えたり、キャラクターが強化されたりするのですが、テリーだけはこのイベントが発生しません。そのこともテリーが特別な存在と感じる要因であり、もしかすると隠しエンディングのダークドレアムとの邂逅こそが、そのイベントに該当するのでは……といった見方もできます。

 テリーには、姉のミレーユがさらわれるのを阻止できなかったという悲しい過去がありました。テリーが強さに執着するようになった根底には、最愛の家族を助けられなかった時の無力さがあるのは間違いないでしょう。

 周りが心配するほど、なりふり構わず力を追い求めたテリー。その強すぎる思いを抱いた彼が、たったひとりで「破壊と殺戮の神・ダークドレアム」に会いに行った場面には大きな意味があるはずです。

 わざわざ隠しエンディングのみで見られる意味、あえてぼかされた結末から察するに、彼がダークドレアムと一体化したという驚きの展開が隠されていたとしても不思議はありません。

 もしもこの仮説が正しいとすれば、テリーは強大すぎる力を得た代償に、大切なものを失ったことになります。

 テリーが最愛の姉を守れなかった後悔の念を抱き続け、最終的に人ならざる魔神と化したとすると、なんだか切ないものを感じざるを得ません。そのあたりの真実が今後の作品で明らかになると興味深いですね。