ブランドごと消えていた衝撃

「ターイトー♪」

 この文字列を見るだけで、楽しげな子供の声、青い三角形のロゴ映像が頭に流れる人も多いでしょう。また「バイ ハドソン」の文字を見るだけで、渋い男性の声(またはボンバーマンの声)とともに、ハチのキャラが浮かぶはずです。

 時代はまさに、ファミコン、スーファミ全盛期でした。これらは1980年代後半から1990年代に放送された、TVCMのサウンドロゴです。このメーカー名を聞くだけで、当時の少年少女はもうワクワクしました。

 ところでこれらのメーカーが今、どのような状況なのかご存知でしょうか。ゲームファンなら常識かもしれませんが、多くの方にとって「ターイトー♪」は懐かしい響きのはずです。ヒット作を次々に打ち出し、日本ゲーム市場の礎を築いた「タイトー」「ハドソン」の現在を簡単におさらいしましょう。

 まずは「株式会社タイトー」に関して、2023年に創業70周年を迎えた同企業は1970年代後半「スペースインベーダー」で社会現象を巻き起こし、ゲームセンター市場を開拓します。全く順風満帆かのように思えますが、開発事業においては2005年にスクウェア・エニックスが「友好的」に買収しました。とは言いながらも、ブランドとしての「タイトー」は継続しています。

 2018年に家庭用ゲーム事業への再参入を発表、2019年2月に『ダライアス コズミックコレクション』を発表しました。またアミューズメント施設の店舗ブランド「タイトーステーション」は全国展開されており、あのサウンドロゴは聞かなくなりましたが、変わらず「インフラ的存在感」を放ち続けているようです。

 一方で、「株式会社ハドソン」はどうでしょうか。『ボンバーマン』『桃太郎電鉄』シリーズなど、今でもお馴染みのゲームや家庭用ゲーム機「PCエンジン」の開発、さらには「高橋名人」なるスーパースターも生んだ名門中の名門です。ところがこちらも言われてみれば、CMなどはとんと見かけません。一体、どうしたのでしょうか。

 実は、盤石に思われたハドソンでしたが、実はもう世にはないのです。それも「タイトー」のようにブランド名は継続という形ではなく、法人ごと2012年に買収により解散してしまいました。

 ではどこに買収されたかといえば、2020年に「PCエンジン mini」を復刻し、現在もなお絶好調の「コナァミィ(株式会社コナミデジタルエンタテインメント)」(めちゃくちゃ良い発音)なのでした。2005年にはコナミの子会社となっており、そこから10年経たないうちの解散となります。今も人気のゲームを生んだからといって、会社がずっと安泰なわけではありませんが、面白いゲームの記憶と耳心地のよいサウンドロゴは「永遠」です。