一瞬の出来事で「彼氏改造」が大失敗に

 着せ替えや恋愛などが楽しめる女の子向けのシミュレーションゲームは数多くあります。『わがままファッション GIRLS MODE』シリーズや『ときめきメモリアル Girl’s Side』など、長く愛されている名作に隠れて、設定が個性的すぎる作品も世に出ていました。今の時代ではおそらく作れない、ぶっ飛んだ設定の女子向けゲームをご紹介します。

●『プリクラポケット2 彼氏改造大作戦』(1997年)

 女子高生を主人公としたゲームボーイの育成シミュレーションゲーム『プリクラポケット』シリーズの2作目。制作は『ペルソナ』シリーズ、『真・女神転生』シリーズなどを手掛けるアトラスです。

 主人公は高校卒業までの1年間で、自分の彼氏を理想のタイプに変えていきます。彼氏がいそうな場所に出かけて行き、会話やプレゼントで彼氏のステータスを変えていきます。プレゼントは彼氏の見た目が大きく変化する要素ですが、このランダムで現れる「プレゼントチャンス」が非常にクセモノで、ルーレットによって、欲しいものと違うプレゼントになる確率が高く、理想の彼氏になかなかたどり着けません。

 楽譜をプレゼントして、ベレー帽を被り芸術の道へ進む「そうぞうせいゆたかなかれ」になったり、スニーカーをプレゼントして1日でスケボー大好きな「やんちゃなかれ」になったり……。

 筆者がプレイした時は、参考書で成績優秀な彼氏にするつもりがマンガを渡してしまい、鼻水をたらして裸踊りをする、どことなく「ちびまる子ちゃん」の山田に似た「バカっぽいかれ」に変化、その後も会話の選択肢を外しまくり「メチャ不潔なかれ」を経て、いつもぐうたらしている牛になりました。

 もはや「人」ですらないのですが、彼のつくる乳製品はクラスメイトに好評のようでした。その後のプレゼントチャンスのエッチな本で「スケベなかれ」に変化。スカートのなかを覗かせろと要求され、当時本気で「もう別れたい」と思いました。

 他にも、プラモデルでオタク、口紅でニューハーフになるなど、90年代当時の偏見(?)も感じられ、今の時代なら炎上間違いなしの側面も。せっかくイケメンに育てても、ちょっとした会話や運で「ヤバい男」になってしまう、仮にイケメン状態をキープしてもミニゲームで自分のステータスを上げていないとフラれてしまう……といった難易度の高さ。発売から25年経ち、さまざまな育成ゲームが世に出ていますが、数少ないぶっ飛んだ設定の作品だと思います。

 ちなみに、本記事を書くにあたり久しぶりにプレイしてみましたが、プレゼントに数珠を渡して大仏になりました。

●『ガールズRPG シンデレライフ』(2012年)

『ガールズRPG シンデレライフ』(レベルファイブ)

『レイトン教授』シリーズのレベルファイブによるニンテンドー3DS用ソフト『ガールズRPG シンデレライフ』は、ネオ銀座が舞台。主人公は街の人を癒す「ネオジェンヌ」となって接客を行い、貯まっていく経験値で成長しながら、幸せを運ぶ伝説の蝶「ハッピーバタフライ」をめぐる世界の危機に立ち向かっていくという、「ガールズライフRPG」です。

 言葉のニュアンスは濁していますが、ズバリ「キャバ嬢育成ゲーム」。お客さんの心に響く会話を選んで満足度を上げていき、フィーバーモードで高級ドリンクを頼んでみたり、報酬から1000種類以上のドレスやアクセサリーをそろえて豪華なコーディネートを作ってみたりと、本格的な「キャバ嬢体験」(?)を楽しめます。

 そしてこのゲームでは、さまざまなアニメ作品とのコラボゲストが主人公の働くお店に来店してくるのですが、女の子向けゲームとは思えない、信じられないような顔ぶれなのです。しかも、コラボキャラは全てオリジナルの声優陣による録り下ろしです。

・『ルパン三世』:ルパン三世(CV:栗田貫一)、峰不二子(CV:沢城みゆき)
・『笑ゥせぇるすまん』:喪黒福造(CV:大平透)
・『サラリーマン金太郎』:矢島金太郎(CV:宮本大誠)
・『賭博黙示録カイジ』:伊藤開司(CV:萩原聖人)
・『のだめカンタービレ』:千秋真一(CV:関智一)
・『範馬刃牙』:範馬勇次郎(CV:乃村健次)
・『あしたのジョー』:矢吹丈(CV:あおい輝彦)
・『ガラスの仮面』:速水真澄(CV:森川智之)
・『美少女戦士セーラームーン』:タキシード仮面(CV:古谷徹)
・『イナズマイレブン』:円堂守(CV:竹内順子)、鬼道有人(CV:吉野裕行)

 各キャラクターのシナリオは原作者・出版社と相談を重ねて作り上げたものとなり、接客中はアニメの名演出をリアルに再現する「プレミアイベント」が発生することも。

 例えば、お店の壺を割って数百万の借金を背負うことになったカイジの「ざわ・・ ざわ・・」、「異様な気」を持つものを探しに範馬勇次郎が来店すると、初回は圧倒的な威圧感で全く接客ができません。回数を重ねていくごとに主人公の接客手腕を認め、「強くなりたければ…喰らう…!!」と決戦(?)を挑まれます。勇次郎から「喰らい尽くせぬ女であれ!!」というセリフを聞けるのは本作だけではないでしょうか。

 このように、キャラ設定をなるべく崩さないシナリオによって、原作ファンも楽しめるようなお楽しみ要素になっています。接客で原作ではあまり女性と絡まないキャラクターが照れている姿や、ドリンクを頼む姿など、一見の価値あり。ゲーム自体もやりこみ要素が十分に楽しめます。

 今では作れない設定や主人公の職業に時代を感じつつも、やりこみ要素や難易度の高さは隠れた名作と言っても良いのではないでしょうか。令和の時代にも、プレイヤーを惑わせるとんでもない設定の女子向けシミュレーションゲームが現れることを密かに期待しています。