アメリカの動画配信大手ネットフリックスが9月から配信を始めた韓国ドラマ「イカゲーム」が世界的なヒットとなる中、にわかに脚光を浴びつつある日本の駄菓子があります。それは「型抜き菓子」です。

 型抜き菓子とは、お祭りの屋台や駄菓子店で販売されるラムネ味の板菓子で、花や動物、傘などの型に沿って押しピンや爪楊枝で破れないようにくり抜き、きれいに切り離すことができたら景品などと交換できます。

 劇中に「カルメ焼きの型抜きゲーム」が登場すると、昭和世代の人たちの記憶を呼び覚ましたようで、Twitter上では「イカゲーム見てたらピンクのお菓子思い出した」「お祭りの型抜きは良い思い出」「カタヌキ懐かしい」「型抜き成功してお金もらったなあ」「イカゲームで型抜きwww」などの声が上がっています。中には駄菓子の卸問屋で型抜き菓子を箱買いし、家族でチャレンジする人も。ドラマから懐かしの型抜き菓子を連想する人が増えていることは間違いなさそうです。

担当者「流行を予想し、いち早く調達」

 地下1700メートルから湧出する本格温泉が自慢の「昭和レトロな温泉銭湯 玉川温泉」(埼玉県比企郡)は21日、公式Twitter(@onsentamagawa)を更新。「今話題のかたぬき菓子入荷しました イカゲームゴッコにどうぞ!」と投稿しました。

 担当者に話を聞くと「イカゲーム人気を知り、ドラマの中で登場した『型抜き』が流行るだろうと予想し、いち早く調達しました」。同施設のTiktokアカウントでは型抜きにチャレンジする動画をアップしており、イカゲーム人気にあやかりたいと期待します。

大阪に“国内唯一”のメーカー

 前出の玉川温泉で取り扱う型抜き菓子を製造するのは、大阪の型抜き菓子メーカー「ハシモト」(本社、大阪市西成区)です。ドラマ配信後、売り上げに変化はあったのでしょうか。

 3代目社長の橋本健司さん(49)に尋ねると、「そんなに目立った影響ではないですが」と前置きしながらも、注文数は徐々に増えているといい、「緊急事態宣言が解除されたことと、ドラマの影響の半々のように思います」。橋本さん自身は数日前までイカゲームの存在を知らなかったそうで「流行っていると知りネットで検索したところです」。

 同社では戦後、初代社長がべっこう飴からヒントを得た「ヌキ飴」という絵入り商品を開発。その後、東京で流行していた型抜きを研究し、1960年ごろからオリジナルの型抜きの製造を始めました。

 作り方は、砂糖や片栗粉などをこねて柔らかい生地を準備し、パスタマシーンのような機械で薄くのばし、金型を使って型を抜き、1時間ぐらい乾燥させると出来上がり。

 製造は全て手作業で、橋本社長の家族4人とパート従業員5人の合計9人で行います。国内で型抜き菓子を製造する業者は「おそらくうちだけだと思います。急にたくさんの注文が入ったとしても、手作業なので少しずつしか作れません」。

 最近では衛生面を考えた箱入りの商品も販売中です。

 「ザ・かたぬき 3枚入り」(税込み40円、50個単位で販売)はラムネ味の型抜き菓子が3枚ずつ入った商品。型のデザインは、ハートやアヒルなど比較的丸い形状の簡単な型から、タツノオトシゴやカニなどとがったパーツが多い難易度の高い型まで。箱の中にはランダムに入っているので、サプライズ的な要素も楽しめそうです。

 個人での購入は、駄菓子店や駄菓子の卸問屋のほか、Amazonや楽天などのネット通販でも取り扱いがあります。詳細は同社サイト「カタヌキ菓子のメーカーのサイト 株式会社ハシモト」へ。

(まいどなニュース・金井 かおる)