サッカーの京都サンガFCがJ1に昇格して以降、京都市と京都府亀岡市を結ぶ「嵯峨野トロッコ列車」に乗車する対戦チーム(アウェーチーム)のサポーターが急増している。試合会場のサンガスタジアム京セラ(亀岡市)への移動手段として、利用しているためだ。他の経路よりも費用や時間はかかるが、試合前に京都の絶景を楽しめることから人気を集めている。

 サンガが川崎フロンターレと、スタジアムで対戦した5月29日。キックオフ3時間前の午前11時、トロッコ嵯峨駅(右京区)のホームには、水色のユニホーム姿の川崎サポーターがずらりと並んだ。記者が数えるとその数99人。トロッコ列車の乗客約250人の4割を占めた。

 列車が出発すると、川崎サポーターは保津峡の渓谷や沿線沿いの新緑にカメラを向けたり、時折すれ違う保津川下りの船の乗客に手を振ったりしていた。ユニホーム姿の会社員奥川祐記さん(43)=川崎市=はツイッターでトロッコ列車を知り、初めて乗車した。「せっかくスタジアムに行くので乗ってみたいと思った。景色も最高で、癒やされます」。ツイッターには、トロッコ列車を楽しむ写真とともに「#フロサポ修学旅行」の言葉があふれた。

 トロッコ列車を運行する嵯峨野観光鉄道(同区)によると、今年の運行を開始した3月以降、試合日にアウェーチームのユニホームを着た乗客が増えた。昨年は見られなかった光景で、今シーズンからJ1に昇格し、スタジアムの観客動員数が増えたことが要因とみている。4月29日のアビスパ福岡戦や5月14日の清水エスパルス戦でも大勢の利用があった、という。

 ただ、トロッコ列車は通常のアクセスよりも不便だ。トロッコ嵯峨駅に隣接するJR嵯峨嵐山駅から、スタジアム最寄りのJR亀岡駅まではJR山陰線で所要時間約10分、運賃は200円。一方、トロッコ嵯峨―トロッコ亀岡(亀岡市)間は所要時間25分で、運賃は880円。下車後も約2キロ先のスタジアムまで歩くか、500メートル先のJR馬堀駅で乗り換えるなどしなければならない。

 同鉄道ではサポーター向けの宣伝はしておらず、大半はネットなどで観光情報を調べて乗車しているとみられる。営業担当者は「これほどの利用があるとは思っていなかった。安価で早いJRがあるのにありがたい」と語る。

 J1昇格の波及効果は、トロッコ亀岡駅周辺の観光業者にも広がる。駅とスタジアム近くの保津川下り乗船場を馬車でつなぐ「京馬車」の5月29日11時35分発の便は、乗客の9割が川崎サポーターで埋まった。京馬車の担当者は「J1に昇格した時点で、利用客が多少は増えると思っていたが予想以上だ。サンガの健闘で、今後も利用が増えてほしい」と期待する。

(まいどなニュース/京都新聞)