5つの会社のマネジメントを担い、会社全体で年商約40億円を稼ぎ出す女性がいる。複数の仕事を掛け持ちする「パラレルワーカー」という働き方だが、「若い頃は仕事ができず落ちこぼれだった」という。仕事をうまく回せるようになった背景には、何があるのか。話を聞くと、朝と夜のある習慣の積み重ねが肝だった。

 広島県福山市のsakkuraグループ代表・石丸さなゑさん(49)。現在は▽清掃会社の取締役総務部長▽飲食事業会社の社長▽エステサロンの社長▽タクシー会社の取締役▽弁当・土産会社の取締役−の5つの肩書を持っている。

 子どもの頃は「どちらかと言えば、ふわふわとしている女の子」。だが、短期大学卒業後に清掃請負事業を担う東京のベンチャー企業に入社することで、波乱万丈の人生になっていく。入社時はスキルが低く、がむしゃらに経理や労務管理を勉強。「仕事を頑張れば認められる」と自分の存在価値を感じられるようになり、30代前半まで仕事一筋だった。

 34歳で一度休職し、地元の広島県福山市に戻り、社内独立で経理事務を請け負う会社を設立。女性の自立支援をしたいと頑張っていたというが、「頑張って働きたくない。女性は結婚して子育てするだけで何が悪いのか?」と当時の部下の発言に価値観が覆されたという。女性の働き方について考えるきっかけになったという。

 2011年の東日本大震災で、本業のビルメンテナンス業界に経済影響が及び、案件がつぶれることが多発。アルバイトたちの勤め先になればと飲食業を開始した。ようやく軌道に乗ったと思えば、18年には広島などを襲った西日本豪雨。資金繰りができず、映画撮影のケータリングをするなど「現金をかき集める状態だった」。その後は、売り上げの出ていない店を撤退させるなどしながら、経営状況の改善を図った。

 「落ちこぼれでも変われる」。そう話す石丸さんの成長を支えたのが、26年間続ける朝と夜のルーティーンだ。起床後は1日のやるべきことを15分間、シミュレーション。就寝前にはベッドの上で1日のことを15〜20分、反省する。そうすることで1日の流れを掴み、頭の中でやるべきことが整理できるように。毎日欠かさず続けることで、少しずつ仕事が回せるようになっていったという。

 そんな石丸さんの気になる収入は、意外にも1千万円程度という。「税金でほとんど取られていってしまうんです。経理のスキルを活かして、税金対策をしながら収入よりも使える経費を増やすこともお金をうまく回すコツですね」と笑う。

(まいどなニュース・山脇 未菜美)