妊娠中の投薬治療は医者、患者ともに非常に悩ましいものです。妊娠4週から15週にかけては器官形成期になりますので、内服による奇形を来す可能性が高いとされています。

 特に妊娠初期の臨界期と呼ばれる4〜7週の期間に内服をすると胎児に奇形が発生する確率が高くなることが知られています。では0〜3週の間の投薬はと聞かれると間違って内服をしても胎児奇形の可能性はほぼありません。なぜならば、胎児奇形が起こった時点で流産するからです。ですから妊活をする場合には、薬を飲んではいけません。

 今は、薬局で様々な薬を購入することができるようになりました。妊活時には薬を飲まないこと、妊娠中も安易に薬を飲んではいけません。ただし、気管支喘息の吸入薬、点眼薬、皮膚に塗る薬はおおむね問題ないです。

 妊娠16週の内服は、胎児に直接影響を及ぼすことが知られています。胎児の腎臓が悪くなったり、発育不全になることがあります。この時期には、ある種の痛み止め、降圧剤などは飲んではいけません。特に気を付けて頂きたいのは痛み止めです。若い女性は片頭痛を持っている人が多く、市販の痛み止めを多用している人を多く見ます。これを16週以降に繰り返すと胎児にとって大事な動脈管という血管が閉塞することがあるのです。

 ちょっと難しい話になりますが、大切なので頑張って読んでください。動脈管は、お母さんのお腹にいるときは非常に大事です。肺動脈と大動脈を繋いでいて、酸素が少ない血液を胎盤に送り込む役割を果たしています。この血管が閉じてしまうと胎盤に酸素の少ない血液を送り込みにくくなるだけではなく、胎児の肺に負担がかかりうっ血性心不全になってしまうのです。

 安易に薬が手に入る時代だからこそ、妊娠中のお母さんには気を付けて頂きたいものです。内服の際には主治医に相談してください。

◆谷光 利昭 兵庫県伊丹市・たにみつ内科院長。外科医時代を経て、06年に同医院開院。診察は内科、外科、胃腸科、肛門科など。