慣れてきた頃が一番用心するべきとは言われますが、いつもならしないようなミスをしてしまう事ってありますよね。それはキャンプでも起こることです。ソロキャンパーがランタンの充電を忘れたことで起こった悲劇をお話しします。

キャンプ歴10年以上のソロキャンパーのTさん

Tさん(埼玉県在中、50代、会社員、既婚)の楽しみは、休日に群馬や長野の近郊へとキャンプに行くこと。学生時代は山岳部に所属し、若い頃からアウトドアを趣味としていました。

子どもが小さいうちはファミリーキャンプにでかけることがありましたが、大きくなった今はソロキャンプに目覚め、各地のキャンプ場に足を運んでいます。

キャンプブームも手伝って、自宅に揃ったキャンプ用品は数知れず。自身が学生の頃はなかった軽量化されたアイテムの虜になってしまいました。

折り畳み式のコンパクトなソロ用テントやイスにテーブル、使い慣れたキャンプ道具一式をバックにまとめ、キャンプにでかけるのがTさんのルーティンです。

いつものキャンプで起こった悲劇

10月某日、Tさんは秋の紅葉をお目当てに名所の多い長野県にソロキャンプに行きました。予約をした長野の山間部に位置するキャンプ場はフリーサイトが広いことが特徴です。

老夫婦が経営するそのキャンプ場は、最低限の設備しかないのですが、ファミリーキャンプやグループキャンプの利用者が少なく静かに過ごせると、ソロキャンパーの口コミ評価が高いことが決め手でした。早めに到着し、紅葉を眺めながら愛用のキャンプバックから次々と荷物を取り出し設営に取り掛かります。

手慣れたもので、すぐに設営を終え大好きな焚き火でくつろぐことに。静かな自然の中で、揺れる炎を眺めながら何も考えずボーっとできる時間が、日々の仕事のストレスを忘れさせてくれます。好きなお酒をたしなみながら、至福の時間を過ごしていると、そろそろ夕方です。その時、あることに気が付きました。なんと、すべてのランタンの充電が切れていたのです!

明かりの準備をしようとランタンのスイッチをつけると…

Tさんは、昔はオイルランタンを使用していましたが、今は小さくても明るいLEDランタンを使用していて、手元明かりもヘッドライトを使用しています。

バックの中も、車の中も探してみましたが、替えの電池も充電ケーブルも見当たりませんでした。

刻一刻と真っ暗になっていく状況で、あたりを見渡しても広いフリーサイトにソロキャンプであろう方々が遠くに見えるだけ。夕方になると管理人のご夫婦も帰宅してしまいます。先ほど、焚き火をしながら飲酒をしてしまったので、車で近くの店舗に買いに行くこともできません。

手持ちの明かりは、スマートフォンのライトだけでした。

真っ暗な山の中で、焚き火を消したらスマートフォンの明かりしかない恐怖。22時にはクワイエットタイムになるので焚き火は出来ません。しかも、寒いところなのでスマートフォンの電池消費が早いのです。急いで省エネモードに切り替えます。いつもなら、なんてことのない就寝準備も一苦労です。

夕食の洗い物も普段は就寝前に済ませますが、この日はテントの中にしまい、翌朝になって日が出てから行うことにしました。

慣れているはずの夜のキャンプ場も、明かりが無いとトイレに行くことさえ大変です。外灯もなにも無い真っ暗な夜のキャンプ場をスマートフォンのライトで足元を照らしながら進みます。

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なんとか、焚き火の明かりとスマートフォンのライトのみで朝を迎える事ができましたが、このような時の対処法や気を付けておいた方がいいポイントはあるのでしょうか。

フリーランスWebライター・デザイナーとして活躍している側、キャンプインストラクターとして活動している田中颯さんにお話を伺ってみました。

慣れてしまうと忘れがちなキャンプの準備

ーー明かりなくキャンプすることの危険性はどのようなものがありますか?

手元、足元が見えないことによりやはり怪我のリスクが高まってしまいます。何か切ろうにもおぼつかないですし、ガイロープなどに足を引っ掛けて転んでしまうリスクもありますよね。私はメインのランタンだけでなく、100均で売っているランタンを予備として複数持っていきます。雰囲気はオイルランタンや暖色系のランタンには劣りますが、明るすぎるぐらい明るいものもあり、実用性は高いですよ。モバイルバッテリーも必須かと思います。

怪我なく追われたとしても、心細い状態だとキャンプを心から楽しめないので、しっかり準備しておきましょう。

ーー慣れてしまうと忘れがちなキャンプの準備で、怠ると危険なことについて、他にどのようなことがありますか?

危険という点でいうと服装でしょうか。夏場であっても標高の高い場所などでは夜間はかなり冷える場合もあります。分厚いアウターを準備するだけでなく、インナーダウンやフリース、ネックウォーマー、タイツなど細かく重ね着できるように複数種類衣類を用意しておくとよいでしょう。キャンプ自体には慣れていても、はじめての場所でキャンプする場合は、色々と勝手が違うこともあるので、使う使わないに関わらず、どんなことがあっても快適に過ごせるような装備を用意しておくのがベターです。

◆田中颯(キャンプインストラクター)
県庁を退職し、フリーランスのWebライター・デザイナーとして活動中。幼い頃よりアウトドアに慣れ親しみ、キャンプインストラクターとしても活動している。大学時代は子ども向けのキャンプイベントを企画運営し、現在は干し野菜や発酵食材を活用したキャンプ料理なども考案している。https://www.instagram.com/tanaso_yokutaberu/

(まいどなニュース特約・ヨシダ コウキ)