新型コロナウイルスの感染拡大にともない、現在も感染予防のために、さまざまな場面で新しい生活様式が導入されています。これまで当たり前に行っていたことが、当たり前のことではなくなってしまいました。日常生活においても慣れない生活様式に戸惑う場面は多くありますが、医療機関ではさまざまな課題を抱えています。そのひとつが「患者と家族の面会制限」です。私の友人もこの面会制限で心が悲鳴を上げてしまうことになったのです。

■子どもがケガをして入院!…1カ月会えなくなった親子

私の友人は、6歳の男の子のママです。ある日、子どもが遊具から落ちてしまい動けなくなりました。すぐに子どもを病院に連れて行ったのですが、足を骨折しており、入院して手術が必要と診断されました。入院期間も1カ月ほどになるのではないかとのことでした。

彼女はただでさえ幼い子どもの大けがに動揺していたのですが、そこで看護師さんから言われた言葉で頭が真っ白になったそうです。     

「お母さん、いまから病棟に行きますね。しっかり手を握ってあげてください。手術の日は、手術前にガラス越しでお顔は見れますよ」

彼女は一瞬何を言われているのかわからなかったそうです。

すぐそばにいた看護師さんに「ご家族様は病棟に上げられないので申し訳ありませんが、退院日まで会うことはできないんですよ」と言われて状況を把握したのです。

■毎日子どもが泣いていた

彼女の子どもが入院した部屋は4人部屋。そこには中学生や高校生も入院していたそうです。

中学生・高校生であれば少しの間、親と会えなくてもそれほど困ることはないようです。スマートフォンを持っていれば、テレビ電話もでき、友人ともSNSなどでつながっているため寂しさを感じることも少ないようです。必要な物や食べたい物があれば、自分で親に連絡することもできます。

しかし幼い子どもの場合、まだまだお母さんが恋しかったり、欲しいものがあっても遠慮して看護師さんに言うことができない場合があります。

友人は毎日、子どもの大好きなお菓子やジュースを差し入れに持っていき、看護師さんから子どもの様子を聞いていたようです。

毎日夜になると、布団を頭からかぶり泣いていると聞きました。家にあるお気に入りのぬいぐみや枕など、寝るときに使っているものを持ってきてもよいと言われたそうです。

ですが、それらを届けても毎夜泣いてしまうことに変わりはなかったのです。

その話を聞いてから友人も毎日眠れなくなり、心配でいてもたってもいられなくなりました。仕事も休みがちになり、私に泣きながら電話をかけてくることもありました。

彼女の話を聞くにつれて、彼女と子どもの心が悲鳴を上げていると思いました。足の痛みはもちろんですが、心も同じようにもしかするとそれ以上に痛めているような気がしました。

■リモート面会がもっと普及したらいいのに…

彼女は子どもが入院してから10日ほど経ったとき、スマートフォンを子ども用に契約しました。看護師さんが子どもに使い方を教えてくれたこともあり、毎日子どもと彼女は顔を見て会話することができるようになったのです。

スマートフォンが親子の心を救ってくれたのです。

現在ではリモート面会が普及してきていますが、まだまだ導入されていない病院もたくさんあります。

病院に限らず入所施設でも、こうしたリモート面会の導入が徐々に増えてきています。病院や施設で面会ができない状態が続くと、その中は閉ざされた空間となってしまいます。

コロナ禍において家族がつながることができない環境は、心や体にも大きな影響を与えてしまいます。ぜひ、多くの病院や施設でリモート面会ができる環境が整うことを切に願います。

(まいどなニュース特約・長岡 杏果)