「絵が下手で意味がない」「あなたの作品なんて1円の価値もない」

編集者にさんざんに罵倒された作品を漫画賞に出したところ賞金20万円獲得したというエピソードがSNS上で大きな注目を集めている。

このエピソードを漫画にして描いたのは「武蔵くんと村山さんは付き合ってみた。」などのヒット作で知られる漫画家のなるあすくさん(@naruasuku)。

そのスカッとする小気味いい展開にSNSユーザー達からは

「えらい!クソオッさんに負けるな高校生!ですね。」

「脅迫と言うか、所謂芸能界で言う"仕事を干す"のノリですよねこれ。何様のつもりなんだろうと毎回思いますね」

「ゴミ箱にポイした作品が世界中で読まれ買われ映画にもなった作品がありますね。編集者の匙加減で、もしかしたら黄金をどぶに捨ててるかも知れないと思うと面白い」

「ハリー・ポッターの作者も原稿を持ち込みに何社も廻ってたそうですもんね。最初は「こんな長いの子供は読まないよ」と目を通してくれなかったとか。」

など数々のコメントが寄せられている。

なるあすくさんにお話をうかがってみた。

中将タカノリ(以下「中将」):編集者に作品を罵倒された時のご心境をあらためてお聞かせください。

なるあすく:実はその出版社さんにはそれまで数回持ち込みさせて頂いていたのですが、それまでの編集さんはとても対応がよかったので、その方に当たった時にはとても驚いてしまいました。

なので、元々は大好きで毎回買っていたのですが、あの持ち込み以降は怖くなって、その出版社さんへの持ち込みも、出版されている本も読めなくなってしまいました。

約束の時間に行くと先に作品を見てもらっていた方がいて、自分より少し年上ぐらいの大人の女性だったのですが、泣きながらその場を後にする姿を見てしまい「大人の女性まで泣かせるところ」という印象がついてしまったのも余計に怖くなってしまったところかと思います。

中将:罵倒された作品を漫画賞に投稿しようと思ったきっかけをお聞かせください。

なるあすく:当時は高校でアニメや漫画に関する「アニメーション研究部」という部活に入っていたので、顧問の先生から「10代向け(学生向け)のマンガコンテストがあるから応募してみないか?」と言っていただき、そのままその作品を応募させて頂きました。

中将:自信を失わずご応募されて本当に良かったですね…。受賞された時のご感想をお聞かせください。

なるあすく:正直最初は信じられませんでした。「1円の価値もない」とまで言われていたので…でも、本当にとても嬉しかったです!!

中将:編集者の対応や当時の作品について、今振り返ってどうお感じになりますか?

なるあすく:自分は今回の漫画の中で「虫の居所が悪い」という表現をさせていただきましたが、編集さんは社会人として忙しくなさってると思うので、予想外な仕事だったり、寝不足だったりで疲れてしまって、あの日はそういった疲労がとても大きかったのかもと思います。

自分も漫画家デビューして16年以上になりますが、「普段は良い方なのに今日はどうしたんだろう??」という編集さんも何度も見させていただきました。もちろん一時期的なものなので仲良く仕事させていただいておりますが(笑)。

ただ、女性を泣かせてしまうぐらい追い込んだり、脅迫じみた言い方をするのはさすがにやりすぎだったように感じますね。

中将:今回の反響へのご感想をお聞かせください。

なるあすく:自分の実体験にこんなに反響いただけて本当にありがたく思いました。

今回このような実体験を描かせて頂いたのは、自分より若く実力のある漫画家さん達や、漫画家志望の皆さんがSNS上などで「〇〇で落選したからもうダメ」「夢は諦めます」
と言ったようなことを発言なさってるのを見たからです。自分の今回の体験が役に立つかどうかはわからないものの、少しでも新しい道を探すきっかけにしてもらえたら嬉しいです。

最近の若い漫画家さん達や、漫画家志望の皆さんは実力ので、むしろ頑張らなきゃいけないのは自分のほうなのですが(笑)。

◇ ◇

3月1日、なるあすくさんが昨年、漫画アプリ「GANMA!」で毎日連載していた作品「となりの遠距離恋愛」が1巻完結の電子書籍となって配信スタートした。アパートがとなり同士なのに妙にすれ違って出会うことのない主人公、ヒロインの日々を描いたユニークかつ胸キュンな作品だ。ファンの方はもちろん、なるあすくさんの作品を読んだことのないという方も、ぜひご覧になっていただきたい。

(まいどなニュース特約・中将 タカノリ)