「できます」を信用してはダメ?

インドでビジネスする際の注意事項がSNS上で大きな話題になっている。きっかけになったのは以前、インドでお仕事をされていたという嶋田大貴さん(@shimariso)の「インドで仕事の打診をした時に「すいませんうちではそれ出来ないです」って言う人マジでいなくて、何でもできるって言って引き受けておきながら出来なくてそれでも金だけはもらおうとするパターンが大杉なので、もしインドで「うちではできません」て言う人いたらそれだけで超絶信頼する。」という投稿だ。

出来もしない仕事を引き受けて、代金だけはしっかり要求する…日本でなら詐欺罪などで罪に問われそうな行為だが、インドにはそれを良しとしてしまう感覚の違いがあるというのはインドを良く知る人の間では"あるある"のようだ。

嶋田さんの知人で、インドで会計事務所を経営する野瀬大樹さん(@hirokinose)も「(インド人は)契約締結までの情熱は本当にすごいんだけど、契約とってからは全然約束守らない」と嘆く。

日本とインドの感覚の違いとは果たしてどのようなものなのだろうか。野瀬さんにお話をうかがってみた。

中将タカノリ(以下「中将」):インドの方はなぜ出来もしない仕事を引き受けてしまう傾向にあるのでしょうか?

野瀬:日本人と「できる」の意味あいが違うからです。これは文化の違いだと思います。日本人の「できる」はそう言った以上、戦争や地震でもおきない限りやる必要がありますが、インド人の場合、それは「すべての条件が上手く進んだら…」です。逆に言うと「仕方なかった」の範囲が広いのです。

たとえば仕事の一つで銀行から証明書をもらう必要があった場合、銀行がなかなか証明書を出さなくても「自分のせいではない」と考えます。銀行に催促もしません。こういうことが山のようにあります。中には仕事が遅れた言い訳に「雨が降ってオフィスに行けなかったから」などと言う人もいます。ただ逆にインド人側もこちらの遅延には寛容です。

中将:インド人同士ならそれでも揉めないんでしょうが、感覚の違う国の人にとっては大変ですね…。

野瀬:私はインドの弁護士や会計士に仕事を振ることがありますが、たいていの人は「できる」の感覚の違いますし、「自分の周りしか自分の関与範囲でない」と考える傾向があります。

もし「400M×4リレーを何秒で走れるか?」と聞いた場合、日本人なら「過去には44秒で走ったことがありますが、今のメンバーの年齢などを考慮すると48秒がいいとろですかね。いや50秒かな」などと答えると思いますが、インド人は「過去に11秒で走ったから今は9秒くらいで走れるんじゃないかな。だから9秒です!」と答えるイメージです。

それを信じて仕事を進めると結局60秒くらいかかるのでトラブルになります。これは本当にインドあるあるの典型例です。どんな業種の仕事でも、基本的に彼らは「自分のパート」にしか興味がありません。

中将:インドで信頼できる方を見極めるポイントをお聞かせください

野瀬:これはもうトライ&エラーしかありません。私はインドで10年ビジネスやっているので何人か信頼できる人を知っていますが、最初は何度も酷い目に遭いました。

逆に気を付けたほうがいいのが「日本語ペラペラのインド人」「日本が大好き」というインド人です。もちろん良い人もいますが、こうやって日本語で日本人に近づいてきて、お金をだまし取るという例は非常に多いです。

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インド人の「超絶楽観主義」とでも言うべき感覚はビジネスで付き合うには大変だが、プライベートな友人として付き合うにはなんだか心地よさそうだ。日本とインド、はたしてどちらの文化に馴染んで暮らすのが幸せなのだろうか。

(まいどなニュース特約・中将 タカノリ)