「この町では刺青をしてる人の大半は漁師。溺死体は損壊が激しいから、彼等は本人確認のためにやっている」

日本の漁師たちに伝統的に残る刺青の風習がSNS上で大きな注目を集めている。この投稿はとある海辺の街の総合病院で耳鼻咽喉科専門医としてお勤めの「ぐっどせんせい」さん(@0RLandNTD)によるもの。

海外の水兵が水難事故に遭った時の特定用に刺青を施すことがあるというのは有名な話だが、同じ理由で日本の漁師にも刺青の風習があるというのは興味深い報告だ。ぐっどせんせいの投稿に対し、SNSユーザー達からは

「海外では割と一般的ですよね。ノルウェーの漁師さんとか、もしもの時の身元確認のために刺青入れてると聞きました」
「江戸時代、鳶職、火消し、木場人足等も、万一の時の身元確認用にそれぞれ刺青を入れていたといいますね」
「初めて知った。漁港近くの銭湯は刺青オッケーとかにしてあげてほしくなりますね」
「元漁師の伯父は入れていましたね。中年期に転職したので、温泉に入れない等々、何かと面倒になってしまったと若干後悔していましたが。親類が住む大きな漁港付近でも伯父より若い漁師で入れている方は聞かないので、今は消えつつある文化…でしょうか」

など数々のコメントが寄せられている。

ぐっどせんせいにお話をうかがってみた。

中将タカノリ(以下「中将」):コメントされた方へのリプライで「適当な絵柄が多い」とおっしゃっていましたが、たとえばどのような絵柄をご覧になったことがありますか?

ぐっどせんせい:適当というと語弊がありますが、あまり芸術性を感じない、文字だけとかそういうのですね。

中将:やくざ、任侠的な価値観とは異なる価値観なのでしょうか。また「若い漁師は刺青をしなくなっている」ともおっしゃっていましたが、刺青をした漁師はおおよそ何歳以上の方が多いでしょうか?

ぐっどせんせい:もう今は70歳とかが境界線じゃないでしょうか。これはあまり自信がありませんが…。

中将:お勤めの地域では刺青、タトゥーに対する偏見やアウトローなイメージは少ないと感じますか?

ぐっどせんせい:地域でのイメージについてはわかりません。そもそも病院は患者が集まる場所です。つまり自分が見ているのは全てではなく、病院に来る高齢者や、怪我をしやすい仕事をしている方たちが主なんですよね。若くて病院に来ないような層では、刺青してる人の大半はアウトローな人たちなのかもしれません。ツイートではあたかも町の人間全てが対象であるかのような書き方をしてしまい、ちょっと間違いだったかなと思ってます。また真偽不明ながら「(刺青は)遠洋に出る漁師の習慣であって、近海の漁は危険度が相対的に低く、そのため刺青もしない」という指摘もありました。

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お笑いタレントの田村淳さんも以前、漁師をしていた祖父について「僕の祖父は五島列島で漁師をやっていました。祖父は刺青を入れていました…左腕に『田村』という刺青です。漁に出て沖で事故が起きて溺死した場合、水死体は誰だか判別できなくなるから刺青を入れたと話していました」(2018年8月23日 Instagram投稿)と発言していたが、日本の漁民には少なくとも3世紀以前から刺青の風習があったようだ(「魏志倭人伝」の記述による)。

ぐっどせんせいがおっしゃるように近年では廃れつつあるようだが、このような風習があったという事実はその理由も含め、忘れずに語り継がれていって欲しいものだ。

(まいどなニュース特約・中将 タカノリ)