「木賊」…この名字、読めますか? 姓氏研究家・森岡浩氏が日本人の難読名字を紹介します。

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「木賊」と書いて「とくさ」と読む。極めて難読だが、名字としての特別の読み方ではなく植物の名前である。

トクサは北海道から本州中部にかけての山間の湿地に広く自生している植物で、「木賊刈る」という秋の季語があるほど、かつては一般的に知られた植物だった。現在では園芸植物として植えられることも多い。

トクサの特徴は、その茎の硬さ。茎にプラントオパールと呼ばれるケイ酸が蓄積して硬くなり、まるで砥石のように茎でものを砥ぐことができることから、「とぐ草=とくさ」になったという。

トクサは古くから薬用として利用され、乾燥させたものは「木賊(もくぞく)」という生薬として用いられた。ここから、トクサのことを漢字で「木賊」と書くようになった。

名字としては福島県の中通り地区に多く、関東地方にも点している。

◆森岡 浩 姓氏研究家。1961年高知県生まれ。早稲田大学政経学部卒。学生時代から独学で名字を研究、文献だけにとらわれず、地名学、民俗学などを幅広く取り入れながら、実証的な研究を続ける。NHK「日本人のおなまえっ!」にコメンテーターとして出演中。著書は「47都道府県名字百科」「全国名字大事典」「日本名門名家大事典」など多数。