みりんちゃん(生後11カ月・メス)は、奈良県内の住宅地に兄弟と一緒にいた。母猫がいる様子はなく、近所の人が気にかけて様子を見ていたが、雨が降ってきたのを機に保護された。母乳を飲んでいなかったので、全員ガリガリにやせて栄養失調になっていた。

草むらにいた子猫たち

2020年6月、奈良県内の住宅地の草むらに4匹の子猫がいた。生後3週間くらいだった。心配した近所の人がしばらく様子を見守っていたが、親猫が迎えに来る様子もなく、雨が降ったのを機に保護したという。

子猫たちは泥と雨にまみれて汚れていて、ガリガリにやせていた。ひどい脱水状態だったが、保護主が動物病院に連れて行ったので一命をとりとめた。元気を取り戻すとミルクをよく飲むようになり、その後、預かりボランティアのところに行った。生後2カ月になった頃、猫カフェにデビューし、里親を募集した。

このチャンスを逃すもんか!

奈良県に住む神谷さんは三人姉弟で、昔から何度も親に「ペットを飼いたい」と声を上げていた。しかし、当時の環境ではペットを飼うことはできず却下され、あきらめムードが漂っていた。

ある日、末っ子の弟がぽろっと「猫、飼いたいなあ」とこぼすと、それまでずっと反対していた母親が妙に乗り気になって、「なあ、この猫ちゃん見て」と猫を飼うことに興味を示した。弟が「近くに保護猫カフェっていうのがあるらしい」と見つけてきて、家の中がそわそわしだした。神谷さんも「このチャンスを逃すもんか!」と、猫を迎えるために行動した。

弟が高校生になったので家庭も少し落ち着き、さらにコロナ禍のステイホームで家族が揃っていることが多く、動物を飼う心構えや迎えた後の生活について皆で真剣に話し合い、意識を共有することができたので、「今なら飼えるかも…」ということになったという

小さくて折れそう

神谷さん一家は、家の近くの保護猫カフェを調べて、行ける範囲のところ数軒に足を運んだが、保護猫カフェでは兄弟一緒に里親を募集していることが多かった。

「兄弟一緒にいた方が寂しくないのでないかと考え、ある兄弟の子猫2匹を引き取ろうと考えていました。8月中旬、その兄弟に会うために猫カフェに行ったのですが、動物を飼うのが初めてで分からないことばかりだったので、家族とよく話し合い、まずは1匹を精一杯かわいがろうと決めました」

そうしたことを踏まえて店主に相談すると、1匹なら人見知りしない子がいい、人が好きで甘えん坊なみりんちゃんがいいのではと勧められた。

「みりんはとにかく可愛くて小さくて折れそう…という感じでした」

当初は他の兄弟猫を迎えるつもりだったので、他の子猫よりもひときわ小柄でかわいいとしか思わなかったが、いまでは「こんなにかわいい子になぜ気付かなかったんだろう」と家族で話しているという。

「今思えば一度目の訪問では弟の膝の上に、二度目の訪問では妹の膝の上にまっすぐに乗ってきて寝ていたので、この子を迎える運命だったのかもしれません」

8月下旬、みりんちゃんを迎えに行った日、家族全員「猫連れて帰るんや!」とドキドキしながら猫カフェに向かった。みりんちゃんは保護猫カフェでキャリーに入れる時も自分からスッと入り、車の中でもみんなの心配をよそに余裕の表情で横になり、店主が持たせてくれたお気に入りのおもちゃと一緒にくつろいでいた。

コロナ禍、猫が癒してくれる

みりんちゃんは家に着くと早速、弟自作のハンモックでくつろぎ、甘えた様子ですりすりごろごろした。

「寂しがって鳴いちゃうかなあと心配していたのですが、迎える人間の方がどぎまぎしてしまいました」

名前を決める時はもめにもめたが、弟が「みりんちゃんは?」とぽろっとこぼした時、家族みんなスッと胸に落ち、みりんちゃんに落ち着いた。響きもかわいくて呼びやすく、あまり洒落過ぎていないところが気に入っている。

神谷さん一家はもともと仲が良く、会話も多かったのが、皆で愛でる対称ができたことで家の中の雰囲気がよりよくなったという。

「春からの新生活の時期、コロナによりひきこもる生活が続いたり、私生活で問題を抱えたり、それぞれが精神的に追い込まれていたが、みりんちゃんが自由気ままに家で過ごしていろんな顔を見せてくれるので、家族全員本当に癒されています」

(まいどなニュース特約・渡辺 陽)