実家の父親(70代)から「買ってきて欲しいものがある」と電話がかかってきました。

 「マ、マ、マト…何やったかなあ。マオ…なんとかいうお菓子。コンビニですぐ売り切れるってラジオで言うてた」

 聞いた瞬間「マリトッツォ」のことだと分かりましたが、まさかこんなおじいさんにまで広がっているとはーー。

2021年に入り情報量が急増

 マリトッツォとは、バターや牛乳を使用したブリオッシュ生地のパンにクリームをたっぷりとはさんだ古代ローマから伝わるイタリアの伝統的スイーツのこと。

 SNSで話題の料理関連ワードを選ぶ「2021年上半期のトレンド料理ワード大賞」(アイランド、11日発表)でも大賞を受賞し、タピオカ、バナナジュース、台湾カステラなどに続く話題のスイーツとして注目されています。

 日本国内では以前からイタリア料理店などで提供されていましたが、2020年春ごろからパン店やスイーツ店のメニューとしてじわじわと増え始め、現在ではデパ地下や有名ホテルなどでも取り扱う店が増えています。

 メーカーの新商品情報などを扱うプレスリリースの配信サイト「PR TIMES」にマリトッツォが初めて登場したのは2019年2月のこと。同年はこの1件のみ、翌2020年は3件でした。2021年に入ると情報量が急増し、6月13日の時点で98件と爆増しています。

売れ行きは「大ヒットと言える数値」

 400〜600円台のものが多い中、「1個100円」という低価格商品も登場しました。

 「100円ローソン」や「100均ローソン」などの呼び名で親しまれるローソンストア100(本社、東京都品川区)は9日、「マリトッツォ(チョコ入りホイップ)」(税抜100円)を発売しました。

 ツイッターにはさっそく「100円ローソンにマリトッツォあった」「マリトッツォが100円ローソンにあるってまじ?」「手にしやすくなってうれしい」「お値段以上のおいしさだった」などの投稿が相次ぎました。

 開発を担当した商品本部の宮永理恵さんに話を聞きました。

 ーー発売後の売れ行きは。

 「発売から5日間(6月9〜13日)で約12万6千個も売れています。これは大ヒットと言える数値です。ローソンストア100の、2021年上半期最も売れたスイーツになるかもしれない初速です」

 ーー「話題のマリトッツォが100円」というインパクトに驚きました。

 「ローソンストア100には『驚きの100円商品』を世に出すという、伝統と言いますか、DNAがあります。『えっこれが100円なの』という驚きをお客様に提供し、喜んでいただきたい、笑顔になっていただきたいという思いです」

 ーーマリトッツォを選んだ理由は。

 「今回、マリトッツォが入手困難になるほど人気急上昇のスイーツであることから、これが100円で提供できたらお客様にとても喜んでいただけるのではという一心で100円で発売できるような工夫を重ねて商品開発をしました」

 クリームを詰めた後にヘラで表面を滑らかに整えるという工程を省き、クリームを絞り入れる方式を採用。あらかじめクリームにチョコレートを混ぜ込みトッピングの工程も減らし、少人数でより多くの商品を製造できるよう工夫したといいます。

 また、当初は常温で販売する菓子パンを想定していましたが、パンにバランスよく合うクリームを追求した結果、生スイーツで使用するホイップクリームに方向転換。冷蔵デザート売り場での展開になりました。

 「見た目のボリュームに反して、クリームがあっさりとした味わいで、最後のひと口まで飽きることなくお召し上がりいただけます」

 ーーネット上でも話題です。若者だけでなく、幅広い層が興味を示しているようです。

 「率直にうれしいの一言に尽きます。私自身がマリトッツォに最初に出会った時の感激を、多くの皆さまにお手軽かつお気軽に味わっていただきたいです。専門店や洋菓子店に行くのはハードルが高いと感じる方もコンビニでしたら気軽にお買い求めいただけるため、幅広い層の方に手に取っていただけると考えています」

大手コンビニや製パンメーカーからも続々

 コンビニ大手では、セブン-イレブンが「オレンジピール&ベリーソース仕立て」(税抜230円)、ファミリーマートは「クリームシフォン マリトッツォ風」(税抜184円)を発売。大手製パンメーカー山崎製パンでは1日から「マリトッツォ」(税抜158円)の全国発売を開始しました。

     ◇

 ちなみに父親の食後の感想は「なるほどこういうものか」。クリームの多さには驚いたようでしたが、流行の味を知り満足げでした。

 高齢男性をも引きつけるマリトッツォ旋風はまだまだ止まりそうにありません。

(まいどなニュース・金井 かおる)