洋服を着てのお散歩が大好きな茨城県のペンタくん。この8歳の男の子は、一緒に暮らすRINRINさんとのお散歩タイムが何よりのお気に入り。アパートの周りを何周も何周もします。看護師のRINRINさんが夜勤明けでもお構いなし。行きたくなると玄関にスタンバイ。

「おさんぽのじかんだよ」

といわんばかりにRINRINさんの顔を見上げます。そんなことをされたらRINRINさんも疲れはどこへやら。リードを付けて、アパートの周りを一緒に歩きます。

疲れたら、お日様がよく当たる場所で一休み。その隣では、RINRINさんも腰をおろし読書をしたりスマホをいじったり。RINRINさんは紫外線によるシミが気になるものの、ペンタくんが楽しそうな様子を見ていると、そんなことはどうでもよくなるみたい。

このお散歩、ペンタくんがお外に行きたいとせがむため、試しにリードをつけてやってみたら定番になったんですって。もう7年続いている習慣です。

正直、ここまでやるか!というぐらい甘やかされているように外野は感じていますが、RINRINさんはペンタくんのQOL(クオリティ・オブ・ライフ)を考えてのこと。つまり、他でかなり制約のある生活を送っているのです。

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制約のひとつが、ペンタくんのトレードマークの服です。服の下には火傷の跡があり、完全には治っていません。これを舐めないように、服を普段から着てもらっています。

もうひとつの制約はご飯です。火傷が原因かは分かりませんが、食品アレルギーもあるペンタくん。同居する他の猫たちと同じものは口に出来ず、アレルギー対応フードを毎日食べています。

以前は、毎日ステロイドの服用もしていました。今はそれが2日に1回になっただけでも、ペンタくんは楽になったかもしれません。

もし火傷がなければ…。RINRINさんはそう思うこともあるそうですが、この火傷がなければペンタくんと出会うことがありませんでした。

あれは7年前の5月のこと、RINRINさんは夜勤明けでフラフラになりながら病院の駐車場に向かっていました。その途中、足元に焼き鳥の缶詰が置いてあったのです。不思議に想い辺りを見渡すと、1匹の子猫がうずくまっているではありませんか。

慌てて近寄ると、脇腹にソフトボール大の火傷を負っています。体液はどくどくと流れていき、このまま手当をしなければ死んでしまうのは誰の目にも明らかでした。

ただ、野良猫ですし、このまま死ぬのも自然の節理。放置することもできました。しかし、看護師のRINRINさんにはそれができません。血や体液で汚れた子猫を抱き上げ、車に乗せ動物病院へ。治療を開始しました。

献身の看護をし、子猫は一命を取り留めます。一安心したものの、今度は発情が始まりました。子猫だと思っていたのは、栄養状態が悪かったせいで体が小さかっただけ。本当は1歳ほどだったようです。

この猫は「ペンタ」と名付けられ、RINRINさんと暮らすようになります。「ペンタ」という名前の由来は、オピオイド系の鎮痛薬「ペンタジン」から。これ以上ペンタくんに痛み止めは飲ませることはできない、でも鎮痛剤を与えたい元気になってほしいという想いから。この想いは通じ、今ペンタくんは制約はあるものの元気に過ごしています。

鎮痛剤の名前を付けられたペンタくん、今ではRINRINさんがつらい時悲しい時の痛みを取ってくれる存在に。名前の通り「鎮痛剤」のような子になりました。それに、同居する猫のふうちゃんとはちくんの良い兄貴分として、2匹から頼られる存在でもあります。

こんな幸せな日々が送れているのは、あの日、ためらわずにペンタくんへ手を差し伸べたから。なぜペンタくんが火傷を負っていたのか気にはなりますが、それを知ったところでペンタくんの制約がなくなるわけではありません。

RINRINさんとペンタくんは、これからも「今」を大切にし生きていきます。

(まいどなニュース特約・ふじかわ 陽子)