「※早送りではありません 」と、カルガモ親子が引越しのために川を移動する動画をツイッターに投稿したmochi(o さん(@mochico251)。この時期、カルガモ親子がヨチヨチ歩いて引越す姿がよく報道されますが、そこに映っていたのは、画面の端から端までわずか1秒半ほどで高速移動するカルガモ親子の姿!

あまりの高速ぶりに、「こんなに高速なの?」「早送りじゃないの?!?!?!」と戸惑うリプライが、日本だけでなく海外からも殺到しました。

「えっ‼︎ 早っ」
「1、2秒の出来事」
「通勤快速通過しまーす!」
「笑ってしまうほど速いです」
「何回見ても爆笑するw」
「ついてく子ガモ凄すぎるw」
「mumther, plea-- WEEEEEEE」
「流れに乗ってますねぇ……」

予想外の高速で移動するカルガモ親子の姿に、車ファンから絶大な人気を誇る漫画『頭文字D』のアニメ主題歌や、「F1」のエンジン音やテーマ曲を動画につける人も登場。リプ欄は大いに盛り上がりました。

そんなカルガモの高速引越し動画を投稿したmochi(o さんは、野鳥や愛鳥のインコ、身近な生き物や草花・自然を動画撮影されているカメラマンさん。mochi(o さんは自身のYouTubeチャンネル『身近な生き物語』でも、さまざまな動物たちの生態を撮影した動画を公開されています。

そんなmochi(o さんに、今回撮影されたカルガモ親子の高速引越し動画についてうかがいました。

ーー今回のカルガモ親子の高速引越し動画を撮影された時の様子を教えてください。

「昨年からなんとなく、毎日通る近所の川の様子を動画に撮り始めていました。この時もいつものように動画を撮影していたところ、偶然このカルガモ親子の引越しに遭遇しました。

実はこの場所のカルガモ親子は動画は、今年の6月5日に放送された『みんなのどうぶつ園』というテレビ番組でも放送されていて、日々投稿している動画から番組で動画を使ってもらったこともあります。番組に提供した映像は、鳥ではなく、魔のブロック地帯と言われる、子ガモにとって命の危険がある場所の改善工事が入る様子を偶然私が撮っていたもので、環境の変化などにフォーカスした映像でしたので、放送していただけて嬉しかったです」

ーーそれにしても、カルガモの親子がこんなに高速移動するとは驚きました。よくある光景なのですか?

「カルガモ親子は引越しする際に、ある程度目的を持って素早く川を下っていきます。エサを食べながらゆっくり下ることもあるのですが、お腹の好き具合が影響するのか…謎です。ただ、流れの速い場所での長距離に渡る引越しになると、わりと頻繁に高速で引越す姿が見られますね。この日は途中でヒナが他のカルガモにかなり激しく襲われてしまったこともあり、母鳥は急いで距離をとろうとしていたのかもしれません」

ーー危険を回避するための高速移動だったんですね。

「私自身、自分のYouTubeチャンネル『身近な生き物語』シリーズで撮影し始めた時に、偶然にもカルガモ親子の引越しに初めて遭遇したのですが、その時もあまりの速さに驚きました。その時遭遇したカルガモ親子は、昨年、『天才!志村どうぶつ園』で放映された親子でした。当時の私はそのことを知らずに撮っていたんですけどね」

ーー今回の動画の高速引越しカルガモ親子は、この後どうなったのでしょう?

「この後も毎日この川を撮影していたのですが、次の日には一気にヒナの数が減ってしまいました…。『身近な生き物語』では、『カルガモ親子I組』として記録しています」

ーーその『カルガモ親子I組』ですが、『身近な生き物語』には、迷い込んできたよその子ガモをこの母ガモが殺してしまう場面もあり衝撃を受けました……。

「引越しの途中や、心ないエサやりで密集してしまったヒナが他のカモに攻撃される様子もよく目撃していたのですが、私自身、殺意をもった母鳥の動きを初めて見たので、ショックが大きかったです。カルガモのヒナの生存率は20%ほどと聞いていましたが、実際には引越しで溺れるか、捕食されるか以外ではヒナが減ることはなかったため安心して見ていたので…」

ーーそれでも撮影したくなる「カルガモ」の魅力とは?

「カルガモは通年観察できる身近な鳥であり、求愛ダンスや交尾の仕草もユニークで、喧嘩もヤンキーのようなやり方をすることがあって、とても面白い生き物です。見ていて心が痛い時もあり、怪我をして飛べなくなった子も見かけますが、そういった部分も含めて、自然で生きる厳しさなども教えてくれます。マガモとの交雑で生まれる雑種個体<マルガモ>の存在や、鉄分の多い場所にいたカルガモのお腹が錆びるのか、赤く変色したりするなど、いろいろな発見もあります」

思わず笑ってしまう、カルガモ親子の高速引越し動画。しかしそこには、壮絶な母ガモの防衛本能が隠されていました。

ただ可愛いだけではない、野生動物の残酷な現実

mochi(o さんのツイッターやYouTubeチャンネルには、ただ可愛いだけではない、残酷な現実も赤裸々に記録されています。

「個人的にはあくまで傍観者でいたいという気持ちで撮影しています。年間の観察をしている中で、餌付けや保護など、<野鳥が可愛そう、助けたい>という理由で手を出した結果、カモ同士が喧嘩になったり、奇形の子が生まれている現実を目にしています。

動画を投稿していて、可愛そう、助けるべきという声が想像以上に多かった時に、ヒナを救助したこともありました。しかし、私が助けたことは美化されるべきではないと思っています。それでももし助けたいなら、自然についてもっと調べた上で行って欲しいんです。命を助けたいという気持ちはよく分かりますが、その気持ちから生まれる行動で生態系が崩れているのをみると、少し切ないです」(mochi(o さん)

懸命に生きる動物たちを愛おしく思うからこそ、人間が無闇に手出しすることで生態系を崩さないよう、「野生動物は手を出さずに見守って…」と語るmochi(o さん。ご自身の日々の観察結果を元にしたメッセージを込めたポスターを、地元の方にお願いして掲示してもらっているそうです。

「カルガモにとっての魔のブロックを改善すると、ブロックに住む魚を食べているカワセミが減ってしまいます。ヒナを捕食動物から助けてほしいという声もありますが、カラスや猛禽類もそうして生きているわけですし、カルガモも虫を食べて生きている…。こうやってバズったりすることで、生態系について野鳥や動物の専門家の方がどういう見解を持っていらっしゃるのかなど、根拠にできる情報が増えれば嬉しいなと思っています」(mochi(o さん)

mochi(o さんのツイッターやYouTubeチャンネルには、厳しい現実を生き抜く野鳥や動物たちのリアルな姿が生き生きと記録されています。彼らが懸命に生き抜く姿を通して、我々が学ぶことはたくさんありそうです。

(まいどなニュース/Lmaga.jpニュース特約・はやかわ かな)