ロシア名物「松ぼっくりのジャム」がSNS上で大きな注目を集めている。

「知る人ぞ知るロシア名物『松ぼっくりのジャム』。これはシベリア産です。よくロシアンティーでお茶うけにするヴァレーニエという食べ物で、ふつうは果物から作りますが、こういうのもあるんですよ。どんな味か気になりますか?甘く、やわらかく煮込んだ、おいしい松ぼっくりの味です!」

と、このジャムの存在を紹介したのはロシア方面の旅行、留学を仲介するJIC(@twiJIC)のTwitter公式アカウント。

「おいしい松ぼっくりの味」とはいったい…JICの投稿に対し、SNSユーザー達からは

「美味しい松ぼっくりの味 と言うパワーワード」
「怒れる王蟲の親戚か何かかと思ったら、確かによく見れば松ぼっくりだ…」
「有名らしいのでご存知かもですが、ロシアでは「マーシャと熊」がCGアニメで放映されてるみたいです。その中のジャム作り回で松ぼっくりのジャムが出てました。アニメなので架空の食べ物かと思ってましたが、実在したんですねぇ…」
「松ぼっくりの味というのがどのような味なのか想像できない・・・。百聞は一食に如かずということでとりあえず一度食べてみたい。」

など数々の驚きのコメントが寄せられている。

JICの担当者にお話をうかがってみた。

中将タカノリ(以下「中将」):このジャムはロシアでは一般的に食べられているものなのでしょうか?

JIC:ロシアでは一般的に食べられているものです。この食品はロシア語でヴァレーニエというのですが、日本人のよく知っているジャムよりもゆるく、シャバシャバした感じに仕上げます。ツイートにも書いたように果物から作るのが一般的ですが、その土地で採れるさまざまなものが材料になります。この松ぼっくりのヴァレーニエは、松が豊富に生えている地域では人気のある材料のひとつです。

中将:ロシアの方はこれをどのように召し上がるのでしょうか?

JIC:食べ方で一番多いのは、スプーンで直接すくって食べながら紅茶を飲む、いわゆるロシアンティーだと思います。日本では紅茶にジャムを混ぜて飲むのがロシア式だと思っている人が多いですが、実際にはあまりこういう飲み方をしません。ロシアでは紅茶とヴァレーニエは別の皿に用意して、交互に口に運んで味わうのが普通です。

お茶うけ以外では、ロシア式クレープのブリヌィに合わせて食べたり、市販のお菓子と一緒に食べたり、自由に楽しまれています。

中将:松ぼっくりにはどうしても硬いイメージを持ってしまうのですが、このヴァレーニエの味わいや歯触りはどんな感じなのでしょうか?

JIC:松ぼっくりのヴァレーニエは、まだ若い、青い松ぼっくりから作るのですが、これは煮込むと案外やわらかくなるんですよ。写真では濃い茶色になっていますが、煮ているうちに自然とこういう色になるのです。

作るときは松ぼっくりと同量くらい砂糖を入れるので、基本の味は甘いです。そこに強い松の香りとわずかな渋みを付け加えたものを想像してください。歯ざわりは煮込み具合によって変わりますが、ちゃんと柔らかいです。例えば写真のものはゴボウよりも柔らかくなっていますし、さらに煮込むと形も崩れてドロドロになります。ツイートでは「松ぼっくりの味」と書きましたが、本当はそう表現するのが一番ぴったりなんです。食べればみんな納得します(笑)。

中将:これまでのSNSの反響へのご感想をお聞かせください。

JIC:「松ぼっくりの味」わかんねーよ!という反応をたくさんいただきました。ごもっともだと思います。味の説明が難しくて、無理に何かに例えるよりも、いっそストレートに表現した方が伝わるんじゃないかと思ったのですが、ダメでした(笑)。結果的に多くの方が興味を持ってくださったことは嬉しく思います。

それから、見た目が気持ち悪いという反応もありました。写真の松ぼっくりの姿から、イモムシ状の生物を想像してしまった方が結構いらっしゃるようですね。その気持ちもわかります。日本の習慣では食卓に上るものではないですから、一瞬脳が混乱しますよね。驚かせてすみません。

本当の味が知りたい方は、ぜひ実物を試してみてほしいと思います。ロシアに行って現地の味を確認していただくのが理想ですが、今は新型コロナの影響でちょっと難しいですよね。だから、自作してしまうのもありです。インターネット上には、日本の松ぼっくりで作ってみた方の記事があるのですが、これはすごく参考になります。私達よりもよっぽど詳しいですので(笑)、挑戦してみてください。ロシア人も自慢のレシピ動画をたくさんアップしています。材料がシンプルなので、言葉がわからなくてもまねすれば作れますよ。

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食べる習慣のない者にはにわかに理解しがたいがロシアの方は松の風味を好むようで、ロシアにはこの他にも「松の種子のジャム」や「松ヤニのガム」といったものも存在するらしい。文化の多様性とはつくづく興味深いものだ。

なおJICは8月28日にオンライン旅行イベント「シベリア鉄道でつなぐ、ウランウデとイルクーツク・バイカル湖」を開催予定。

無料コースとおみやげ付きの有料コースがあり、JICスタッフが現地ガイドと共に、ロシアのウランウデとイルクーツク、そして「ロシアの真珠」と呼ばれるバイカル湖の魅力を紹介するという興味深い内容だ。このコロナ禍のご時世、旅行業界は大変な苦境にある。ぜひ多くの方に興味を持っていただければと思う。

(まいどなニュース特約・中将 タカノリ)