2016年7月に神奈川県相模原市の障害者福祉施設で19名が犠牲となる残忍な事件が起きました。この事件を受け、厚生労働省から社会福祉施設での防犯対策を強化するよう通達があり、全国の社会福祉施設で防犯カメラの設置が急速に進みました。しかし障害者を守るはずの防犯カメラが違う意図で使われている出来事があったのです。

今回取材を受けてくれたのは関東在住のYさん(20代)です。障害者施設で働くYさんは自身が働く職場で防犯カメラを利用したハラスメント被害に遭いました。

なぜ?自分の行動を上司が知っているのか…

Yさんが働いている施設には防犯カメラが設置されておらず、神奈川県の障害者施設で起きたあの残忍な事件のあと10台の防犯カメラが設置されました。防犯カメラが設置されたことで、施設の利用者の方からも安堵の声が聞かれたそうです。

施設としての防犯対策は整い働きやすい職場環境となったのですが、日々の業務に追われYさんは残業を余儀なくされていました。しかし残業するのは自分の要領が悪いからと思い、残業を申告せずにいたのです。

そんなある日、Yさんは上司に呼ばれました。上司からYさんは「無駄に施設に残っているのは、何かたくらんでいるのか」「就業時間外に利用者と話しているということは誰かに聞かれたくないことを話しているのではないか」と言われたのです。

その後、Yさんは先輩に相談し抱えていた業務を手伝ってもらい、上司に定時で帰れるようになったと報告しました。すると上司から信じられない言葉を言われたのです。

「トイレの回数が多くない?」「ポーチを持っているということは生理なの?」など業務とは関係のない言葉にYさんは恐怖を感じました。

その他にも「車の中で誰といつも話しているの?」と言われたこともあったのです。

防犯カメラをじーっとにらんでみると…

Yさんは上司の言葉に不信感を抱き、同僚や先輩に相談をしました。Yさんから話を聞いた数人の先輩たちは、もしかしたら防犯カメラでチェックしているのではないかと疑いはじめました。そこでわざと昼休みに防犯カメラを数分じーっと見ることにしたのです。連日違うスタッフが同じことを繰り返していたところ、上司は複数のスタッフに「なぜ防犯カメラをにらんでいる!文句があるなら言ってみろ」と立腹したのです。

そこではじめて上司が防犯カメラを毎日見ていることが判明しました。上司は最初、防犯カメラを見ていることを否定しましたが、最後には「防犯カメラをチェックして何が悪い!」と開き直りました。

どうやら、その上司はYさんに好意を抱いていたようです。しかし上司は職権を乱用したハラスメントを認め、結果的に退職しました。現在、Yさんを不安にさせた防犯カメラは利用者の方の安全を確保するために使用されているとのことです。

(まいどなニュース特約・長岡 杏果)