紆余曲折のあった東京五輪・パラリンピックが開幕しました。そこで注意してほしいのが熱中症です。今夏もすでにたびたび「熱中症警戒アラート」が発表されていますが、高温や多湿の環境下で起こる全身の熱障害が熱中症です。もちろん、屋外だけでなく、室内でも発症するので「五輪のおうち観戦」でも注意が必要です。マスク着用により、熱中症のリスクが高くなっています。野外、室内問わず、しっかりと対策を講じましょう。

おうちにいても「熱中症」になる危険性!

 夏は日差しが強く、気温も高いので、熱中症にかかる人が急増します。オリンピックが始まりましたが、気をつけたいのが、おうち観戦中の熱中症です。「家で熱中症?」と思われた方もおられるでしょうが、家にいても熱中症になる危険性はあります。家の換気や室温には注意を払いましょう。観戦に熱中するあまり、水分補給するのを忘れがちになる人も少なくありません。室内といえどもこまめな水分補給が必要です。

 もちろん、熱中症対策には水分は不可欠ですが、ビールに限らずアルコール飲料は水分補給にならないといわれています。というのもアルコールは利尿作用があり、水分補給したつもりでも逆に水分が排出することになり、脱水症状に陥ることがあります。それどころか、水分補給のつもりでガバガバ飲めば、急性アルコール中毒の危険性も高まるので注意してください。またコーヒー、紅茶、コーラ飲料などには利尿作用があるカフェインが多く含まれているので、こちらも要注意です。ジュースなども糖質が多く含まれていて、飲み過ぎると血糖値の上昇や肥満の原因にもなりかねません。

熱中症が起こりやすい条件は?症状は?

 環境省によれば、熱中症を引き起こす条件は「環境」と「からだ」と「行動」によるものが考えられるといいます。 「環境」の要因は気温が高い、湿度が高い、風が弱いなどがあげられます。「からだ」や「行動」の要因は、激しい労働や運動によって体内に著しい熱が生じたり、暑い環境に体が十分に対応できないことなどが考えられます。つまり、体温の上昇と調整機能のバランスが崩れると、どんどん身体に熱が溜まってしまいます。このような状態が熱中症を引き起こすのです。

 症状としては、だるさ、吐き気、めまい、あくび、顔のほてり、筋肉痛、頭痛、高熱、大量の汗など。症状が進むと、ぐったりしたり、反応しなくなったり。意識の低下も見られ、悪化すると、意識がなくなってしまうこともあります。頭痛や吐き気が伴えば、早急に医療機関へ。重症化すると、中枢神経障害や肝臓・腎臓障害などが起きたり、全身の細い血管に血栓が生じたりします。とにかく、疑わしいときは素人判断せず、早めに受診してください。

  熱中症にかかったと思ったら、すぐに風通しのいい場所に移動することです。衣服やベルトを緩め、足首や大腿の付け根、脇の下、そけい部などを冷やし、熱を逃がしてください。体を水平か上半身をやや高めにして、横になるようにしましょう。

 吐き気や嘔吐などがなければ、冷たい水やスポーツ飲料などを補給してください。体温が高いときは、水で絞ったタオルなどで全身を冷やす工夫をしましょう。反対に、皮膚が冷たく震えがあるときは、乾いたタオルなどで皮膚をマッサージするといいでしょう。

 熱中症を予防するには―。

①急に暑くなる日は危険!

 人間のからだには環境への適応能力が備わっていますが、急に暑くなった場合などは、からだが暑さに慣れていないことで、うまく適応できずに熱中症になってしまうことがあります。急に気温が上昇した日は要注意です。外出するなら帽子や日傘を使用し、水分補給をいつも以上にこまめにしましょう。また、マスクは野外で人との距離が十分離れている時や運動時は外しましょう。

②家庭内での対策も万全に!

 家庭内や日常生活の中で起こる熱中症も少なくありません。電気料金がもったいないとかぜいたくだ、などと思わずにエアコンを有効活用したり、服装で工夫したり、家庭内での対策もしっかり立てましょう。

③のどが乾かなくても水分補給しましょう!

 のどが渇かなくても軽い脱水状態になっていることがあります。特に高齢者は脱水症状が進んでいても、のどの渇きを感じにくいことがあるため、飲みたいと思わなくても外出や運動、入浴、就寝などの前後に水分をとることを心掛けるといいでしょう。

 熱中症に注意しながらオリンピックのおうち観戦を楽しんでください。

◆尾原 徹司 東京医科大学卒業。東京女子医科大学消化器病センターを経て、神戸鐘紡病院消化器科に赴任。昭和57(1982)年に独立し、医療法人社団つかさ会「尾原病院」(神戸市須磨区妙法寺荒打/神戸市営地下鉄西神山手線妙法寺駅徒歩3分)院長に。