新型コロナウイルスワクチンの接種率が頭打ちとなっている米国だが、動物園や保護している動物へのワクチン接種がスタートしている。

 米オハイオ州のシンシナティ動物園は19日(日本時間20日)6週間かけて、80の動物に対し、ワクチン接種を完了したと発表した。動物園の発表によると、多くの動物が麻酔なしで、接種を受けることに成功した。成功の背景には、トレーニングがあった。動物たちに、注射を受けるときに目に入るもの、感じるものに慣れてもらうようにした。

 動物たちのワクチンも、短い期間に2回の接種を受ける必要がある。しかし、スタッフたちは、1回目の接種の痛みの記憶が生々しく残っているのではないかと懸念し、痛みの記憶によって2回目の接種が困難になるのではと予想していた。これまでも動物たちは予防接種を受けてきているが、1年に1回だったのだ。しかし、トレーニングの効果があったようで、実行に移すと思いのほかうまくいったようだ。スタッフは「2回目の接種は、1回目の注射から3週間以内に行わなければなりませんでした。 動物たちがケアスタッフやアニマルヘルスチームと強い絆で結ばれていることが成功につながりました」と話している。

 また、ミシガン州のデトロイト動物園でも、ゴリラ、チンパンジー、トラ、ライオンから接種を始めている。動物園によると、哺乳類の多くはこれまでにもいくつかの予防接種を受けており、このような医療的ケアを受けられるよう訓練もなされているという。

 動物園だけでなく、大型動物を保護する施設でも、ワクチン接種を行う。

 米テキサス州には、私的に飼育されていたが飼えなくなったり、動物園の廃園によって行き場を失ったライオン、トラ、ヒョウなどを保護しているC.A.R.Eという団体がある。ここでも、接種をスタートさせることが決まった。

 この団体にはギネスブックから認定を受けた世界最年長の24歳の黒ヒョウの「レイバン」がいる。レイバンは野生のヒョウの平均寿命より10年以上長生きしており、健康状態も悪くはないが、加齢により体力は落ちているそうだ。「レイバン」にもワクチン接種をすることで、感染から守られることをうれしく思うとこの団体のスタッフは喜んでいる。動物用のワクチンは米ミシガン州カラマズーに拠点を置くゾエティス社が製造。寄付によって運営しているC.A.R.Eはゾエティスからワクチンを寄贈される。

(まいどなニュース特約・谷口 輝世子)