「間口20cmの極細ドア、隣の建物が解体され駐車場になったことでますます意味不明さに拍車がかかる」

音楽家の片岡嗣実さん(カタオカツグミ@tsugsan)が投稿した写真が、Twitterで注目されています。そこには、一体何のために設置されたのかわからないほど細い1枚のドアが…。以前は建物と建物の間にあったらしいのですが、片方が解体されたため、現在は「異様に細いドアが屋外でただただ屹立している」という不可思議な光景になっているのです。いや、これが仮に建物と建物の間だったとしても、人が通れる幅なのか?そもそもドアは必要なのか?という疑問は残ります。設置された理由を取材しました。

このドアがある場所は、東京都小平市。カタオカツグミさんによると、更地になる前は猛禽類の専門店があったそうです。

もともとは防犯用

2021年10月現在、ドアが残っている側の建物に入居するのは、畳や襖、障子などの製作販売を手掛ける会社「フォーユー」。電話してみると、社長の吉岡克将さんが快く応対してくださいました。Twitterで話題になっていることもご存知の様子でした。

「ここで営業を始めたのは2016年頃からですが、そのときにはもうこのドアがありました。私が聞いた話では、ドアは防犯用。隣のペットショップでは貴重な猛禽類を扱っていて、ドアを設置する前はこのわずかな隙間から泥棒に入られたことがあったそうです」

Googleストリートビューで遡ってみたところ、最も古い2008年3月の時点ですでに極細ドアの存在が確認できました。吉岡さんによると、ペットショップは2年ほど前に閉店。今年に入ってから解体工事が行われましたが、ドアはそのまま残されたといいます。

そもそも人は通れるのか?

それにしても……細い!もはやドアとしての存在意義は失われてしまっていますが、どう考えても細すぎます。こんな幅20cmほどしかないドアを人が通れるのでしょうか。

「これが意外と通れるんですよ。裏側にウチのエアコンの室外機がありまして、電気工事の人がここを通ったことがあります。まあ、その人はかなり細身でしたけど。私は無理ですね(笑)」(吉岡さん)

かつて前衛美術家で作家の赤瀬川原平さんらが発見・提唱し、後世に多大な影響を与えた謎の建築物を指す概念「超芸術トマソン」。この極細ドアも典型的なトマソンで、一見すると無用の長物としか言いようのない代物ですが、設置の経緯を調べてみるとちゃんと意味はある(あった)んですね。

ちなみに吉岡さん、普段このドアの存在を意識することはほとんどないそうです。

(まいどなニュース・黒川 裕生)