夫が会社に育児休業(育休)申請をした時の体験談がTwitterに投稿され、29万いいねを集めて大反響となりました。約2年前、今よりも更に男性の育休取得が浸透していなかったころにめぐりあった上司との出来事です。

 夫の上司への感謝の気持ちが込もったエピソードを投稿したのは、妻のかなかさん(@KanakaTsubaki)。以下、かなかさんのツイートと独自取材した内容になります。

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 夫から聞いた話になりますが、息子の出産前、夫が勤務先に2週間の育休を申請したところ、直属の上司に呼び出されたそうです。恐る恐る会議室に入ると、眉間にしわを寄せた上司が待っていました。怒られるかと思いきや、上司からひと言「そんなに短くていいの? たかが2週間の育休で君は何をするつもりなの?」と優しくおっしゃいました。あとから聞きましたが、その上司の方はご自身も奥様の出産時に半年間の育休を取得されたそうです。

 ありがたいお言葉をいただき改めて夫婦で相談しましたが、結局、2週間のまま取得しました。2週間は夫婦で子育てをした後、私が里帰りをしたためです。また、収入面や、夫もその会社に転職してまだ1年ほどでやっと慣れてきた頃だったため、あまり休みたくないという夫からの希望もありました。

 上司の方のありがたい対応は更に続き、「妊娠出産は何が起こるかわからないから」と、育休申請後すぐ、約4か月もの間、夫に関わる業務メール全ての宛先CCに自分を入れるように指示されました。夫の仕事をいつでも引き継げるように業務把握しながら、準備してくださいました。

 出産予定日の10日前に陣痛がきたことを上司に連絡すると、「承知しました。これ以後、仕事の携帯の電源を落としてください。グッドラック!」と即座に夫の全業務を引き継ぎ、事前に無理なく采配しておいた通りの業務分担を部内で行ってくださったようです。

 無事息子が生まれた後に「安産でした!」と連絡すると、「安産とは幸い死ぬような状態ではないというだけ。奥さんを労ってください。育休中は連絡不要」と仰ってくれ、実際、育休中の業務連絡は一切ありませんでした。私自身も、夫が安心してフルで育児に参加してくれて本当に助かりました。

 しかも出産祝いは会社に募金箱を設置して、希望者だけ上限500円という決まりを作り、集まった金額をAmazonギフト券にして贈ってくださいました。誰がいくら出したかはもちろん知らされず、内祝いも不要とのことでした。会社のママさんたちに聞いて回って、みんなが負担のない方法を検討してくれたそうで、温かい心遣いに感動しました。いただいたAmazonギフト券で、育児用品を購入させていただきました。

 夫を通して話を聞く限りでも、私たち夫婦にとって何が良いかを考えてくださるすばらしい上司でした。その方が上司の時に出産できて本当に良かったなと夫婦ともども感謝しています。私自身はフリーランスで働いていましたが、ありがたいことに私も仕事の関係者の方が皆さんとても協力的で、少しでも休めるように前倒しで仕事を進めてくださったり、私の担当業務を待っていてくださったりして、本当に感謝しています。男性も女性も、心置きなく育休を取得できる環境がもっともっと広がれば良いなと思います。

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 旦那様にも、復職後の会社の様子を聞きました。

「皆さん非常にウェルカム感が強く、他部署含め会社全体が温かい雰囲気で迎えてくれました。加えて、子持ちの方や子どもの誕生間近という方から声をかけてもらうことが増え、今までよりも会社内の人脈が広がり、そういった面でも育休を取得して本当に良かったなと感じています。うちの会社は海外企業との接点が多いことも影響しているのか、もともと男性含めて育休取得を奨励しており、上司は取得されたものの、当時はまだまだ男性の取得率は低い状況でした。しかし僕を皮切りに徐々に増えてきて、最近ではマネージャー職の男性社員も2か月取得されたそうです。」

 この素敵なエピソードに、リプライでは共感や絶賛の声が続々と集まりました。

「神様みたいに素敵な上司…うらやましすぎる!」
「こんな幸せな連鎖が続いてほしい」
「今の日本では夢のような出来事」
「これが当たり前の社会になってほしい」
「育休取得を通して、子どもの笑顔、親の笑顔があふれる国になってほしい」
「うちの会社の育休は最大3日と言われた…」
「うちの旦那は1か月申請したら、1年の間違いじゃないの?!と上司に言われ、3か月もらいました。育児が分担できて本当にありがたかったです。」

 2022年4月から段階的に施行が始まっている育児・介護休業法の改正法案により、企業に対して、従業員が育休取得するための雇用環境整備や、有期雇用労働者の取得緩和などが義務付けられました。2022年10月からは、いよいよ産後パパ育休(出生時育児休業)制度も創設されます。こちらは男性版産休ともいわれ、育児休業とは別で、原則休業の2週間前までに申し出ることで、出生後8週間以内に最長4週間休暇、2回まで分割での取得も可能になります。

 法整備に伴い男性が育休取得しやすくなったとしても、夫はもちろん、会社や同僚の理解や協力が欠かせません。他にも業務内容や収入面など、各人各様、考慮すべき点は多いものの、夫の育休取得を誰よりも望んでいるのは出産後の妻かもしれません。仕事と育児のワークライフバランスについて、会社・従業員・夫婦間にも変化が求められてきています。

(まいどなニュース/ラジオ関西・ししまる555)