中学校の図書館で司書をされているさおりさん(@harunabiyori)のツイートが注目を集めています。さおりさんはSNSで見かけた写真を元に企画を立案。それは本棚をイメージした掲示物で「新1年生に向けておすすめの本を在校生が紹介する」というもの。無事完成し、紹介のツイートをしたところ「素敵すぎる!」と話題に。詳しいお話をさおりさんに聞きました。

「みてみてー!
オリエンテーションで2.3年生に書いてもらった『新1年生におすすめの本』
本棚風にして図書館前の廊下に掲示してみました。
中々圧巻
色んな分類の本がおすすめされていいね」

本棚に並んだ背表紙のように、おすすめ本のタイトルがずらり

ツイートした写真には「〜中 おすすめ 本棚」と題し、廊下の窓下部分に本棚さながらに本の背表紙を模した画用紙がずらり。『永遠の0』『カレーライス』『13歳からのSDGs』『文豪ストレイドッグス』『胸キュンスカッと』など様々なタイトルが並び、下部には分類表のシールもきちんと貼られています。

「すてきな企画ですね。書名だけでなく、日本十進分類表(NDC)も書いてあって、さすがと思いました。学校図書館にも司書は大切、と強く思います」
「本のバリエーションも豊富で、私も読みたくなります」
「余ってた画用紙の切れ端も沢山再利用できてeco」
「まねっこしたいです!廊下にながーい掲示板あります!」
「題名だけだから生徒も気軽に書けるし、分類番号もあってわかりやすい!」
「眺めるのも楽しいですね」
「憧れの先輩が読んだ本を読むもよし、本に触れるきっかけになればいいですね」
「スゴイ!これは見入ってしまいます。こんな学校に通いたかった―!きっと読書に興味を持ってくれる人が増えると思います」
「図書委員会で提案してみたいです!」
「並ぶと迫力がありますね。どんな本が勧められているのか、写真を拡大して隅々まで見ちゃいました」

ツイートには、称賛の声や同職の方々からの温かいリプなどが続々と届いています。さおりさんにお話を伺ってみました。

サステナブルを意識して作成しました

――思わず写真を拡大してしまいました!

ありがとうございます。SNSで以前に小学校対象に掲示物を作られているものを拝見して、「これは時間のない中学生のオリエンテーションの中でもできるかも!」と思い企画しました。

――「オリエンテーション」とは?

図書館の利用方法や活用方法などについて生徒たちにレクチャーする時間のことです。我が校では国語科の先生が1時間時間をとってくださるので入学時はもちろん、進級のタイミングでも利用方法や分類の復習ができています。

今年度からその中の一環として、2・3年生のみんなに新1年生や仲間におすすめしたい本を紹介してもらいました。図書館が“インプットできるだけでなくアウトプットもできる場であること”を目指しています。

――生徒さんたちはどういった範囲から「おすすめの本」のチョイスを?

ここにある(中学校所蔵の)本の中から紹介してもらうことにしたので、「在校中に読んだ本」というニュアンスで説明し、選んでもらいました。

――掲示場所も図書館前の廊下でわかりやすいです。

はい。いつも図書館へ誘う掲示を心がけています!

――背表紙、色や形が異なりカラフルなのもいいですね。

使用した画用紙は、これまでの掲示物を作成した際に出た端材を再利用しています。なので、色などはバラバラです。実はこれはサステナブルを意識しました。

形が不揃いなのも端材利用のためですが、これがまたいい感じになって良かったです。これらの材料は私が準備し、貼り付けもまだ委員会が発足していない時期だったので自分で行いました。 

――2・3年生合わせて何名の生徒さんたちが書いたのですか?

240名ほどです。 

本の分類表についても学べる機会に

――タイトル下のシール「日本十進分類表(NDC)」について教えてください。

本の内容を数字で表したもので、1番左の数字で哲学、歴史、社会科学など10の内容に分類し、左から2番目の数字でさらに細かい10の内容に分類、左から3番目の数字でさらにさらに細かい10の内容に分類した日本国内図書館での共通のルールのことです。

生徒たちには「本の住所のようなもの、本棚がそれぞれのおうちだね」のように補足します。

――なるほど!すごくわかりやすいです。

「この分類のことを知っていれば、中学校の図書館で探す時はもちろん、市の図書館をはじめ、多くの図書館で本を探す時に役立つよ」と説明しています。また、掲示物をみてその本を読みたいと思った子が図書館で見つけやすくなるとも思いました。

――実際、参加した生徒さんたちからはどのような感想を?

「これ私が紹介した本だよっ」などと友だちと教え合っている姿をみかけます。

――入学してきた1年生はどうですか?

まだなかなかゆっくり話す時間が無くて個別では聞けていません。

――他の先生方からは?

国語科の先生にも「短時間で書いてもらったわりに、これだけ集まるとは立派な本棚ができたね!」と好評で嬉しいです。

――生徒さんが書かれた中で印象的な本や意外性のある本はありましたか?

特定の本という訳ではないですが、9類の小説系だけではなく、色々な分類の本が紹介されていることを嬉しく思いました。

――現在、当該ツイートに6000件を超えるいいねがつき、たくさんリツイートされています。

多くの反響をいただいて、びっくりです。まず、本のタイトルに関するコメントが多くて、紹介している本までじっくり見ていただけていることを嬉しく思いました。

また、「わくわくする!」や「なんか見てるだけで泣けてくる」などの嬉しいお言葉や同職の方からの「やってみたい」という声も嬉しいです。「こんな学校に通いたかったー」「中学校の図書館がどれだけ充実しているかって、生徒たちの将来をめちゃめちゃ左右すると思う」というご意見には背筋がピンとしました!

――同職の方々からも好意的なリプライがたくさん届いていましたね。

私も毎月の掲示など、いつもアイデアの参考にさせてもらっています!特に学校図書館は基本1人での作業になるため、近隣の同職の方とのコミュニケーションはもちろん、SNSを通しての交流はアイデア的にも心の面でも大切にしていきたいなと思います。

多感な時期の子どもたちと過ごしながら本との架け橋になれたら

――今後、どのような図書館運営を心がけていきたいと?

タブレット学習が進む中で、図書館がおいていかれないように、どちらの良さも伝えていけるよう先生方と一緒に頑張れたらと思っています。また、「図書館」という教室とはまた違う空間で、先生方とはまた違う立ち位置の「図書館の先生」として、多感な時期の子どもたちと過ごしていきたいですね。

――昨今報じられている「子どもたちの読書離れ」、現役の司書としてはどのように感じていますか?

確かに昔に比べて情報が溢れる世の中になったので、「本は二の次」感は否めません。ただ、「子どもたちはきっかけさえあれば意外と本を読む!」とも感じています。だからこそ、子どもたちに「読みたい!」と思ってもらえる様なきっかけづくりをして、本との架け橋になれたらと思っています。

そのためにも、今回の掲示物の制作もそうですが、季節・学校行事などを通して、子どもたちの「今」に寄り添える「活きた図書館」でありたいです。

6月のコーナーは現在悩み中ですが、「時の記念日」があるのでそれに合わせたコーナーを作成していきたいと思っています。

◇   ◇

さおりさんのお話を聞きながら「こんな司書の先生に本の指南をして欲しい!」と思わずにはいられませんでした。本によって培われる想像力や知識はきっと人生において何物にも代えられない唯一無二のもの。たくさんの良い本と出会える仕組みやきっかけ作りをしてくださっている司書の先生方のすごさにあらためて気づいた次第です。

中学生がどんな本をおすすめしているのか、気になった方はぜひさおりさんのTwitterを訪ねてみてくださいね。

(まいどなニュース/Lmaga.jpニュース特約・太田 真弓)