ギャーギャーという鳴き声

よつばちゃん(9歳・メス)は、草むらの中から大声で助けを求めていた。よつばちゃんを保護したのは、大阪府に住む智さん。ゴールデンレトリーバーの麦太くん(享年11歳)とミニチュアダックスフントの小豆ちゃん(16歳)の散歩をしていた時、よつばちゃんの鳴き声に気づいたという。

「よつばは『ギャーギャー』と叫ぶように鳴いていて、最初は子猫の声だと思わなかったんです。山の中でよく鳴いている鳥の声のような気がしてそのまま通り過ぎたのですが、なんだか切迫した声だったので気になって戻りました」

声の主を探してみると、ある一軒家の庭の草むら、フェンスの向こうによつばちゃんが見えた。「こっちにおいで!」と言うと、「ニャーニャー」と返事をして、転がるように近寄ってきたという。その家の人に声をかけて「子猫を保護させてください」とお願いすると、ダンボール箱を用意してくれた。どうやら20分ほど前から鳴いていて、母猫はの姿は見当たらなかったそうだ。よつばちゃんは生後3週間くらいで、まだ乳歯も生えていなかった。

食の細い子猫

よつばちゃんは、離乳するとあまりごはんを食べなくなった。自分が食べたい時には食べるが、智さんがごはんを用意しても食べない。よつばちゃんが食べるタイミングに合わせてごはんをあげるのは難しかった。

智さんは子供の頃から犬や猫のいる暮らしをしてきたが、犬は外飼いだったし、猫は家の中と外を自由に行き来していた。自分で犬を飼うようになってから犬のことは色々勉強したが、猫のことはあまり知らなかったという。

「当時、私は猫がごはんを少しずつ食べることさえ知らなかったのです。心配ではありましたが、よつばは愛犬と遊んで転げ回っていました。『ごはんを食べていないのに、どうしてこんなに元気なんだろう』と思いました」

智さんはよつばちゃんの食事について相談するために、たびたび動物病院に行った。しかし、獣医師は、「死ぬまで食べてくれない子はいません」と言った。「そうか、そりゃあそうだなと納得してしまいました。それが間違いだったんです」

よつばちゃん、倒れる!

気がかりではあったが食が細いままにしていたら、ある晩、よつばちゃんが倒れた。足は強ばり、犬のようにハアハアと口呼吸していた。智さんはパニックになった。慌てて夜間救急動物病院に連れて行くと、「低カルシウム血症、上皮小体機能低下症の疑いがある」と診断された。食べていないことが原因だった。翌日からはかかりつけに通い、ごはんを食べさせるよう工夫した。

「いろんな本を買い込んで読み漁り、何かよつばが気に入って食べてくれるものはないか探しました。意外に納豆が気に入って、ごはんに納豆を混ぜてネバネバにすると、ガツガツ食べるようになりました。猫風邪の影響で目はグチュグチュしているし、鼻も詰まっていたので、匂いのきつい食べ物だと『ごはん』だと認識しやすかったのかもしれません」

食べられるようになると、よつばちゃんは元気に育った。甘えたい時には「抱っこ!」と飛びついてきて、ゴロゴロ喉を鳴らすが、ツンの時もあるそうだ。

智さんはそうした経験を今も生かしている。

「物言わぬ子たちの変化を敏感に感じ取れるように、常にアンテナを張っておきたいと思っています。疑問に思うことは放置せず、調べたり聞いたりするようになりました」

(まいどなニュース特約・渡辺 陽)