キノボリカンガルーのイベントに訪れたときのことを描いた漫画が話題です。ニッチな動物だから余裕だと思って、イベント開始直前に到着したら…。漫画「動物園のイベントってもっとほのぼのしてるかと思ってた」を描いた漫画家の松本ひで吉(@hidekiccan)さんと、イベントを開催した「よこはま動物園ズーラシア」にお話を聞きました。

漫画「動物園のイベントってもっとほのぼのしてるかと思ってた」

 推し動物の特別イベントを見に、軽やかステップで動物園を訪れた松本さん。その動物とは、セスジキノボリカンガルーです。前日に旦那さんにどれだけ可愛くて珍しい動物かを力説した松本さんでしたが、旦那さんは興味がなさそうだったのでひとりで訪れました。

「まぁ、ニッチな動物ですからな、15分前に行けば余裕だと…」

 ところが到着してみると昭和のパンダ並みの人だかり! キノボリカンガルーガチ勢の熱量を見誤った松本さん。イベントハイライトのお花のプレゼントが始まると、シャッターチャンスとばかりに大勢の人がカメラを向けます。

 すっかり出遅れた松本さんは、うしろの方から写真を撮ろうとしますが、まるで見えません。

 あたふたしていると、飼育員のお姉さんが「みなさん、譲り合ってくださいねー」と声をかけました。

 いやいや、その気持ちはありがたいが、最前列の人たちはこの炎天下の中、少なく見積もっても30分は並んだはず。そう簡単には…と思った瞬間。最前列の人たちが一斉に、ザッと譲ってくれました。思わず「ゆずるんかい」と心の中で突っ込む松本さん。キノボリカンガルーファンはいい人ばっかり。

 この漫画に「オタクの正しい姿を見た」「やはりキノボリカンガルーに集いし者共…マナーが違う」「熱く語ってるのが可愛いしキノボリカンガルー見たくなりました(*´罒`*)」「『ゆずるんかい』のところで、すっごく気持ちよくイイね押させていただきました!!(≧∀≦)」と5.7万を超えるいいねがついています。松本さんに聞きました。

──キノボリカンガルーが推しになったのはいつ頃なのですか?

 大人になってからですが、図鑑で見てあまりにかわいく推し動物になりました。

──どんなところが推しポイントだと?

 やはり有袋類というところだと思います。面白動物が多い有袋類の中でもコアラほど知名度がないながらも、あの何とも言えない鼻の丸み、つぶらな瞳、しっかりしたお手て。これぞ「どうぶつ」といったフォルムでありながらあまり動物もいない特別感もいいです。

──好きが伝わります! ニッチな動物だと思っていたら、とても混んでいたのですね。

 びっくりしました…もともと見られるスペースが狭かったためみっちりでした。

──リプにはキノボリカンガルーが好きです!という方が多くいらっしゃいました。人気もうなずけますね。

 謎の魅力がありますのでファンは多いと思います。

──キノボリカンガルーは、お花をプレゼントしてもらって食べたのですか?

 お花を見たらそわそわして、わき目もふらず食べに行きました!葉っぱは捨ててました。かわいい。。

──そうなのですね。写真は撮れたのでしょうか?

 いっぱい撮らせてもらいました。腹とか背中とかをかく姿が人間ぽくて面白かったです。

──見てみたいです。これまでもキノボリカンガルーを見にいかれたことが?

 生で見るのは今回初めてでした。いつも行こうと思っていたのですがなんだかんだ後回しにしてましたが、この度イベントがあるということで駆けつけることができました。ありがたかったです。本当にかわいかったです…。ゆっくり動いていて。また会いに行きたいと思います。

セスジキノボリカンガルーって?

 セスジキノボリカンガルーは、メスはお腹に袋を持つカンガルーの仲間。その名の通り、木の上で生活するため、前足の爪はとても大きく発達しています。マッチョな体ですが、クリクリの瞳で笑っているような表情がキュート。

 そんなセスジキノボリカンガルーは、絶滅危惧種に指定されています。もっとキノボリカンガルーのことを知ってもらい、保護活動につなげていきたいと、キノボリカンガルーを飼育する世界中の動物園が5月21日を「世界キノボリカンガルーの日」としました。

 日本でキノボリカンガルーを飼育するのは、横浜市旭区にある「よこはま動物園ズーラシア」だけ。同園でも不定期で「世界キノボリカンガルーの日」のイベントを開催しています。松本さんが訪れたのは「キノボリカンガルーの日特別ガイド」でした。セスジキノボリカンガルーについて、よこはま動物園ズーラシアの担当者さんに聞きました。

──松本さんのキノボリカンガルーの漫画が話題になりました。

 イベントの様子が忠実に再現されていて「あーそうだった!」と楽しく読ませていただきました。多くの方にキノボリカンガルーやこのイベントを知っていただき担当としても大変うれしく思います。

──特別イベントではハイビスカスをプレゼントしたのですね。ハイビスカスはキノボリカンガルーの好物なのですか?

 ハイビスカスは好きです。季節によって与える葉は変わりますが、今の時期はサクラの葉やヤナギを与えています。花はフヨウとムクゲを定期的に与えています。

──お花を持って美味しそうに食べていますね。手のつくりは、木をわしっと掴めるようになっているのでしょうか?

 手よりも爪が鋭く発達しています。木に登るときは、手足の爪をひっかけて登っています。

──なるほど。木から落ちちゃうことは?

 木登りは得意なので落ちることはありません。

──2頭のセスジキノボリカンガルーを飼育されていますが、松本さんが見られたのはどちらなのでしょう。

 実施日は2日間あり、それぞれ別の個体に与えていたので、どちらを撮影しているかわかりませんが、26日はタニ(メス)2006年12月17日生まれの15歳、27日はモアラ(オス)2013年4月24日生まれの9歳です。

──どちらだったのかしら…。キノボリカンガルーについてどんなことを伝えたいですか?

 野生では生息地を伐採や採掘によって侵略され、数が減っています。野生での現状や、世界中の動物園が協力して、キノボリカンガルーの保全に取り組んでいることを知っていただけたら嬉しいです。

──数が増えていくといいですね。キノボリカンガルーは、どんなところを観察するのがおすすめですか?

 セスジキノボリカンガルーという名前の通り、背中の筋模様に注目してください。ズーラシアでは、地上で生活するアカカンガルーと、樹上で生活するセスジキノボリカンガルーが隣に展示されているので、体のつくりの違いを観察してみてください。

──見比べられる展示はおもしろそうです! キノボリカンガルーのほか、よこはま動物園ズーラシアはどんな動物園なのでしょう?

 「生命の共生・自然との調和」をメインテーマに掲げています。日本最大級の広大な敷地に世界の希少動物を数多く飼育し、その生息環境を再現しています。園内は世界の気候帯・地域別に8つのゾーンに分かれており、世界一周の動物旅行をお楽しみいただけます。ぜひお越しください!!

(まいどなニュース/Lmaga.jpニュース特約・太田 浩子)