2022年はジャイアントパンダ来日50周年の記念の年、「上野動物園」(東京都台東区)を中心に盛り上がりを見せています。現在、日本には中国に次いで多い13頭のパンダがいますが、実はそのうちの7頭が和歌山「アドベンチャーワールド」(和歌山県西牟婁郡)で暮らしています。こちらは日本一パンダの飼育頭数が多い施設なのです。

みんな同じに見えるかもしれませんが、実は個性豊か。パンダファンであれば、パンダみんなが好きなのはもちろん、推しパンダがいらっしゃる方も。個性豊かな7頭について、身近でお世話をしているパンダチームのみなさんに、パンダライター・二木繁美がお話を聞きました。

はたして、それぞれどんなパンダなのでしょうか? 第1回は、パンダファミリーの末っ子、2歳のお誕生日を迎えたばかりのメスのジャイアントパンダ・楓浜(ふうひん)をご紹介します。

楓浜ってどんなパンダ?

2020年11月22日生まれ、現在2歳の楓浜。まだまだ子パンダらしいコロコロしたフォルムをしています。お母さんの良浜は高齢出産。コロナ禍で中国人スタッフが来日できず、パークで初めて日本人スタッフのみで出産を行ったパンダです。

体重も157グラムと元気に生まれた楓浜。実は前回生まれたお姉ちゃんパンダ・彩浜(さいひん)が、75gと標準より小さく、自力でミルクを飲めない状態で生まれていたため、心配していたパンダファンも安心しました。ママの良浜は、まるで⾚ちゃんを預けるかのように、楓浜をスタッフの⽬の前に置いて⽵を⾷べ始めるなんてことも。こんなことは10回の出産の中で初めてだったそうです。

そしてコロナ禍で実際にパークへ会いに来るのがむずかしいため、みんなに楓浜の成長を見守ってもらえるように、508日齢を迎えるまで毎日SNSで楓浜の様子を発信しました。生まれた頃からカメラに慣れている楓浜は堂々としたもの。まるでアイドルのように、あざといかわいさを見せてくれます。

みんなにお披露目されてからも、好奇心旺盛で物おじしない性格。いろいろなものに興味を持ち、新しい遊具もあまり怖がらずにすぐに遊び始めるのだとか。おてんばで、パークでも遊具で元気に遊んでいる姿が見られます。

頭の上の毛がピコンと立っているのと、目尻の黒い模様がちょっとはね上がっているのが特徴。頭の毛が立っているのは、パーク内では楓浜とお姉さんの結浜(ゆいひん)だけです。これは生え方のクセらしく、「楓浜はだいたい生後約10カ月頃から、結浜はだいたい⽣後4カ⽉頃目立ってきました」とのことです。

楓浜を見分けるために、どんなクセがあるのか尋ねると、「楓浜に限らず、この時期の子パンダ特有のところもあるかと思いますが、よく木の遊具の一番上で寝たり食べたりしています」と飼育スタッフ。

子どものパンダは母親が食事をしている時など、外敵から身を守るために木の上などの高い所へ登る習性があるので、今だからこそ楽しめる姿ですね。

好きな食べものはなに?

パンダの食事は、生まれたときは母乳からはじまり、小さく切ったリンゴやニンジンなどのおやつを与えてかじる練習をした上で竹に。楓浜は1歳頃から竹を食べ始めました。

アドベンチャーワールドでは京都と大阪から週に4回竹を入荷しているほか、スタッフさんが自ら竹を取りに行くこともあるのだとか。そうして仕入れた竹を、最初は母親のマネをしてかじって遊び、それからやわらかい葉っぱの部分を食べるようになります。

竹を吟味し、気に入らない竹は断固として食べない、グルメといわれる永明(えいめい)を父に持つ楓浜。同パークでは、グルメなパンダは右利きが多いと言われていますが、楓浜の利き手はまだ定まっていない様子。竹の好き嫌いはまだそんなにないようで、いろいろな竹を食べています。何でも食べるという母親の良浜(らうひん)に似るのか、これからグルメに育つのか、見守っていきたいですね。

ちなみに、竹を食べ始めるとフンにも混じるようになります。みなさんはパンダのフンを見たり、匂いを嗅いだりしたことはありますか? パンダは食べたものの約20パーセント程度しか消化できないと言われていて、竹の葉や稈(かん)がほとんどそのままの形でフンとして出てきます。そのため青い葉っぱのようなさわやかな香りなんです。

同パークでも「イベントやツアーなどでパンダのうんちから生態の解説などを行うこともあります」と広報スタッフ。機会があれば、ぜひ匂いを嗅いでみてくださいね。

楓浜の好きなこと

2022年4月に母親から離れてひとり立ちをした楓浜。その様子は4月24日の「まいどなニュース」の記事「ひとり立ちしたパンダ「楓浜」 パンダライターが追ったその道のり「意外に順応性が高くて、クール」でも紹介しました。群れを作らず単独で暮らす動物のパンダは、1歳から2歳頃にかけて親から離れてひとり立ちをします。

楓浜は現在、お姉さんパンダ、ふたごの桜浜(おうひん)、桃浜(とうひん)と、結浜(ゆいひん)が暮らすパンダラブで暮らしています。桜浜、桃浜にケージ越しに対面した際には、アプローチに反応せず、目をそらしてじっと伏せていたということですが、現在は慣れてきた様子。順応力が高い末っ子です。

そんな楓浜の好きなことは「遊具や氷の岩の上で遊ぶことですね。竹を食べて寝ていることも多いですが……」とのこと。一日のほとんどを寝て過ごすパンダですが、同パークでは、開園直後に竹を食べる元気な姿が見られることが多いようです。

最後にパークスタッフから、楓浜へのメッセージをいただきました。「楓浜は生まれた時から元気いっぱいで、赤ちゃんの頃は運動場に響き渡るくらいとても大きな声で鳴いていたのが印象的でした。すくすくとおてんばな子に成長し、2022年11月22日には2歳を迎えました。たくさん遊んでこれからも健やかに成長してほしいです」。

同パークが、休業のために延期されていた誕生日会は12月10日(土)に『オンライン誕生会「おめでとう楓浜!2歳の誕生日をみんなでお祝いしよう!」』として配信予定。1000組限定(先着順)、3500円、チケットは12月3日(土)の午前11時より発売予定。

【次回(2022年12月22日)はふたごのお姉さんパンダ・桜浜についてお話をうかがいます】

(まいどなニュース/Lmaga.jpニュース特約・二木 繁美)