子どもはとてもかわいい存在です。初めて産声を聞いたとき、初めて自分の手で抱いた時、初めて手を握ってくれたとき……愛おしさが溢れ、子どものためならどんなことでも乗り越えようと思えるくらい、かわいくて大切な存在です。

ただ、かわいいだけでは、うまくいかないのが子育てでもあります。

初めての育児で右も左もわからないママ・パパにとっては毎日が手探りで、時には失敗したり、投げ出したくなったりすることもあります。目まぐるしく過ぎていく日常の中で、子育ての大変さやしんどさを感じて疲れてしまう……そんな子育て世代の心に響くエッセイ絵本『今日もヘンテコないきものが2人います』つむぱぱ・著(大泉書店)が発売されました。

子育て真っ最中というSNSで人気のクリエイター・つむぱぱさんが描く本書は、クスッと笑えて、ぐすっと泣けて、疲れた心をじんわりとあたためてくれるような1冊。今日がどんなに大変でも、「今日という1日」の大切さに気付かせてくれるエッセイ絵本です。

ヘンテコないきものとの暮らしは奮闘の日々!

本書では赤ちゃんを『ヘンテコないきもの』と称し、ふたりの子どもと過ごす何気ない日常を描いています。ただし、そのふたりの子どもの日常は、子育て経験者にとっての「あるある」なヘンテコなエピソードばかり。たとえば、以下のようなことです。

「あらゆるおもちゃを差し置いてリモコンが好き」
「水遊びに遠慮がない」
「ゴキケンに遊んでいたと思ったら電池が切れたように寝落ちする」
「ほとんど逆さ文字」

戻りたくても戻れない…毎日がかけがえのない1日

こういうヘンテコなエピソードを前に、つむぱぱさんは当初驚いたり、「向き合いたくない」と思い、最低な気分になることもありました。しかし、同時につむぱぱさんは悟ります。

子育ては確かに大変であっても、何十年後かの未来の自分が、どうしても戻りたくなるような1日なのではないかと……。

こういった思いが、どこか切なくも、優しいイラストと少ない筆致で温かく綴られており、毎日必死にがんばるママ・パパの心をほぐし、ふっと気持ちを軽くしてくれるような一冊になっています。

子育てを卒業された方にも読んでほしい

本書の書籍化は、著者のつむぱぱさんと担当編集者の強い思いが合致し、実現したものとのこと。担当編集者にとって「2年越しの願い」でもあったそうです。制作時の話を聞きました。

「つむぱぱさんとは4〜5年前からお付き合いがあったのですが、『今日もヘンテコないきものが2人います』の元ネタとなったInstagramの投稿を拝見したときに『いつか絵本にさせていただきたい』と思い描き、今回2年越しの願いが実現しました。

おかげさまで本書は発売日前重版が決まり、Amazonランキング子育てノンフィクション部門1位も獲得し、大きな反響をいただいております。

今回、Instagramに投稿されたエピソードを加筆修正して制作したのですが、結末が決まっているため、どのようにラストに繋げていくかが通常の絵本制作より難航しました。子育てエピソードをパパ目線で描きながら、ママたちにも共感してもらえる『子育てあるある』を掘り起こす作業にも時間をかけました。

また子育ての大変さを表現するのに、ただ湿っぽくしたくないというつむぱぱさんの想いもあり、『クスッと感(クスッと笑える1コマ)』をどう絵本に落とし込めばよいのか構成もかなり悩みました。一進一退の打合せを何度も繰り返し、幾度となく悩み、その結果つむぱぱさんご本人がタイトルとエピソードをビシッと決めてくださったときは『さすがだな』と感動しました!」(大泉書店・担当編集者)

ここで語られた「子育てあるある」や「クスッと感」は子育て中の方はもちろん、子育てを卒業された方の心も癒してくれるように思いました。前述した「何十年後かの未来の自分が、どうしても戻りたくなるような1日なのではないか」という点は、特に子育てを卒業した人にとって、目頭が熱くなる一節でもあります。

「子どもは『あっという間』に大きくなってしまいます。『喉元過ぎれば熱さを忘れる』とはよく言ったもので、『あのときはかわいかったなぁ』とか『そんなに早く大きくならないで』と大変だったことをすっかり忘れてしまったりもします(その時の状況で悩みの種類も変わってきますが……)。

子育て中は何かと忙しなく心も身体も余力がないことが多いと思います。ですが、あたり前のように過ごしている『今日』という1日は、戻りたくても戻れないかけがえのない1日だということをいつも心に留めておけたらいいですよね。

子育て中の方はもちろん、子育てを卒業された方にもぜひお手に取っていただけますとうれしいです」(大泉書店・担当編集者)

読み終わったあとには、きっと今の幸せを噛みしめながらあたたかい気持ちでいっぱいになる一冊です。疲れた時に、ぜひチェックしてみてください。

(まいどなニュース特約・松田 義人)