「学校給食時の会話は可能」と、文部科学省から全国の教育委員会に11月29日に通達がありました。この知らせを受けた保護者や教育現場に携わる人、医療関係者などが「黙食」について思うことを投稿、賛同や反対などさまざまな意見がSNS上で繰り広げられています。

黙食はプラス面もマイナス面もあるのでは?

政府のこれまでの基本的対処方針では「飲食はできるだけ少人数、黙食で」と会話ができない状態でしたが、小学生の子どもを育てるいちはさん(@BookloverMD)は、「黙食」について揺れる思いをツイート。「「黙食かわいそう」と思っていたが、逆に黙食になって精神的に楽になった子も少なからずいるだろうな」と、考えたそうです。

「小学校に通う娘二人を育てる親としてどうかというと、黙食はやめさせてあげたい。でも、やめてみたら、黙食には実はすごい効果があったことが分かる、という事態になるかもしれないし……。 どっちにしても、俺の気持ち以上のものにはなりえない」と揺れる気持ちを綴ります。

コロナ禍以前の和気あいあいとした給食時間を経験したいちはさんの長女は「黙食はつまんない」と言い、黙食しか知らない次女は「うつりたくないから、そのほうがいい」と話しているそう。

「黙食」を好む子もいたのではないか?とのツイートには、「静かに自分のペースで食べたいタイプの人間からすると、救われる。自分が小学生ならマジで助かります」「食べることに集中できそう」「コロナ禍で飲み会がないの楽 と一緒」「当の本人たちはあんまり気にしてなかったり。そもそも給食の時間短いしそんな暇はない」「誰か机をくっつけてくれるかな?仲間に入れてくれるかな?と考えなくてすむから、黙食なんてブラボー」と黙食に理解を示すリプライが。

「黙食には効果が<ある><ない>、副作用が<ある><ない>、いずれもエビデンスがありませんので、どうコンセンサスを得るかなど、気持ちの問題が大きいのかなと思っています」といちはさん。

「どっちが良いとか良くないとかだけじゃなく、こういう時にこういう別の側面から物事を見られる人っていいなって思った。 こういう『あたりまえ』を、感じたい。」というリプライに対し、これこそ言いたかったこと、と話します。

黙食になったら、自由な時間が増え、残食が減った

では、この3年余り、給食での黙食を続けてきた子どもたちや教育現場の現状は? 「世間では“黙食は子どもたちがかわいそうだ”という意見が多いと思いますが、現場は必ずしもそうではありません」とは関東圏にある小学校の教員。

自治体によって異なりますが、多くの小学校では準備、片付けを含めた40分ほどを給食時間とし、その後、掃除、昼休み設けています。給食時間で準備、配膳、食べる、片付けを行うことを考えると、実際に食べる時間は15分前後。

「黙食が無かったころは、座席を4つくっつけてグループの形にして食べていました。楽しくおしゃべりをしているグループもあれば、黙々と食べるグループ、ふざけてなかなか食べないグループなどあったので、食べさせるのに苦労する面もありました。また、しゃべってばかりで食べない子もいて、時間内に食べ終わらず、残すという子も結構いました。ウケを狙うため、変な食べ方をする子(ロールパンの中身だけ食べてる、味噌汁の中におかずを入れるなど)がいて、その注意などもしていました」と、コロナ禍以前の給食を振り返ります。なかなか食べ終わらないので、給食終了の5分間は食べることに集中する時間(モグモクタイムなどの名前で)を設ける先生もいたそう。

机も全員前向きの状態にする黙食になってからは、子どもたちは食べることに集中。ウケを狙って変な事をする子も減り、給食中のトラブルは激減。子どもたちの残食も減り、「“先生、完食できたよ”と嬉しそうに報告してくれる子もいます」。

また、多くの学校は給食後が掃除時間。先の小学校教員は「給食が早く終わるようになったので、掃除も早く終わり、結果的に昼休みが長くなりました。そこでおしゃべりをしたり、思い思いに好きな遊びができたりしていますよ」。黙食のおかげで、自由な時間が増えた面もある今の給食スタイルも、それはそれでいいのではないかと現場で子どもたちを見ていると感じるそう。

「子どもたちは、授業、休み時間、様々な場面で楽しくおしゃべりしています。たった15分間の給食の時間は、集中して食べて、食べること自体を味わう時間。他の時間にコミュニケーションを楽しくとることはできます。黙食でも子どもたちは楽しく学校生活を送っています。子どもたちの対応力は立派なものですよ」。

「黙食に賛成!」「いや、反対だ!」など一方向からの見立てやどちらが正しい、という議論ではなく、いろいろな意見や行動をわかりあえるのが理想で、学校はそれを学べる場所。黙食したい子、おしゃべりしながら食べたい子、みんながそれぞれに満たされて、認め合える15分になればいいのではないでしょうか。

(まいどなニュース/Lmaga.jpニュース特約・宮前 晶子)